高齢者におすすめするワクチン 水痘帯状疱疹ワクチン

【水痘(水ぼうそう)とは】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされる伝染性疾患です。皮疹が軽快した後にVZVは神経に潜伏感染し加齢、疲労、ストレスなどにより免疫力が低下すると再活性化し帯状疱疹を引き起こします。
【帯状疱疹の発症頻度は?】
50歳以上になると帯状疱疹の発症は増加し、70歳以上でさらに高くなり85歳までに半数の人が経験すると報告されています。
【帯状疱疹になりやすい原因は?】
年齢とともに免疫が低下していくことに加え、2014年10月から水痘ワクチンが小児への定期接種として開始されたことから、一度水ぼうそうにかかった方はVZVウイルスとの接触する期会が減り、免疫が維持されにくくなることで、ますます帯状疱疹になりやすくなるものと考えられます。
【合併症としての帯状疱疹後神経痛】
帯状疱疹では10~20%に帯状疱疹後神経痛が発症します。皮疹消失後3か月以上にわたって痛みが持続することを指し、焼けるような耐え難い痛みが続きます。
【ワクチンの意義】
日本では2016年3月から50歳以上の人に対する帯状疱疹の予防として水痘帯状疱疹ワクチンを接種することが認められました。弱毒化した水痘を接種することでもう一度水痘にかかって免疫を強くするワクチンです。治験では60歳以上で、帯状疱疹の発症が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛の発症が 66.5%減少し、50歳~59歳で帯状疱疹発症が69.8%減少しました。副反応は注射部位の皮膚反応が主で重篤なものはみられませんでした。(効果は一般的に5年程度と考えられています。)
さらに2020年1月には乾燥組み換え帯状疱疹ワクチン シングリックス🄬が発売されました。2回の筋肉注射で投与するワクチンで治験では日本人を含む50歳以上の成人で接種4年後の時点で97.16%、8年後の追跡調査でも84.1%と高い効果を認めました。注射部位の痛み(79.1%)、筋肉痛(46.3%)、疲労(45.9%)など副作用の発症率は高いものの、いずれも許容範囲内であり新型コロナワクチンと比較すると軽微な印象です。

接種についての詳細は来院時にお問い合わせください。

参考資料: M.N. Oxman, M.D. et al.  N Engl J Med 2005; 352:2271-2284 帯状疱疹ファクトシート(厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000184909.pdf)