貧血

《貧血とは》
貧血とは、「赤血球中のヘモグロビン値が低下すること」です。
体のすみずみまで酸素を運ぶトラックのような役割をするヘモグロビンが減少することで疲れやすい、動いた時に息切れがするなどの症状が出ます。
ゆっくりと貧血が進むとからだが貧血状態に慣れてしまい重症でも気づかないことがあります。
しかし、重症になると心臓や腎臓に負担がかかりそれぞれの機能を落とすこともあります。
ヘモグロビン 7 g/dl 未満では心不全になることがあり、輸血を考慮する重症な状態です。

また、お子さんの場合はスポーツや学校の成績の低下、などといった形で症状が出る場合もあります。

よく言う「立ちくらみ」「ふらつき」は貧血の症状ではありません
血管迷走神経反射や起立性調節障害と言われる症状であり貧血とは異なるものです。
参照:当院Blog「起立性調節障害について

《貧血の原因》
大きく分けると4つです。

➀材料不足
、ビタミンB12、葉酸、銅などヘモグロビンを作るのに必要な材料が不足する。
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➁材料をうまく使えない
慢性の炎症や腫瘍(がん)、腎臓が悪い場合など材料があってもうまく利用できなくなります。
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➂工場(骨髄)の問題
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・血液のがん(白血病、多発性骨髄腫など)
・血をうまく作れない病気(骨髄線維症、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血など)
・がんの骨髄への転移
などにより血液がうまく作れなくなる。
これらの病気ではたいてい正常な白血球や血小板も低下します。

④作ったあとに壊されてしまう
肝硬変、溶血性貧血など正常に血液が作られても壊されてしまう。

《診断について》
問診などで貧血が疑われる場合は、採血しヘモグロビンの低下を確認します。
そのうえで、貧血の原因を調べます。

血液の工場(骨髄)に問題がある場合に限り骨髄検査を実施します。
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《治療について》
診断に応じて治療の内容が異なります。
「貧血だから」と鉄剤を内服するだけでは重大な病気を見逃す可能性があり、原因をしっかり調べることが重要です。
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高尿酸血症

《高尿酸血症とは》

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0 mg/dlを超える状態のことです。

原因として最も多いタイプは、体質に過食や肥満・飲酒などが重なって起こります。この他に、特殊な遺伝病や他の病気(甲状腺機能低下症、慢性腎臓病、多血症など)に伴って起こるタイプ、他の病気の治療で使っているお薬によって起こるタイプもあります。

 

《尿酸値が高いと 何が問題なのですか?》

健康診断で「尿酸値が高いので生活習慣を見直しましょう。病院を受診しましょう。」と言われたけれど、症状がないのでぴんと来ない方もいらっしゃるかもしれません。

高尿酸血症は数字が高いことそのものが問題なのではなく、血液の中に溜まった尿酸が結晶(かたまり)になって体のあちらこちらにくっついて、様々な病気を引き起こすことが問題です。

痛風:主に手足の関節に尿酸の結晶がくっついて、急に関節が腫れあがります。「風が吹いても痛い」という名前のとおりの激痛です。尿酸値を下げないと、症状がいったん良くなっても度々くり返します。

尿路結石:尿路に結晶がたまると尿路結石となります。その激痛は大人の男性がのたうち回るほどです。

痛風結節:皮下にたまるとぼこぼことした膨らみができてしまいます。

痛風腎:尿酸の結晶が腎臓に沈着して腎臓が悪くなります。

この他に、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、狭心症や心筋梗塞などとも、深い関係があります。例えば、最近増えている慢性腎臓病ですが、高尿酸血症は慢性腎臓病の原因になり得ますし、更に腎臓が悪くなることで尿酸を外に出せなくなり、高尿酸血症が悪くなるという悪循環が起こります。

この様に、尿酸値が高いと全身に影響が出ることがあるので、症状がなくても医師と一緒に治療に取り組んでいきましょう。

《尿酸値が上がる原因は?》

体の中の尿酸は食品からの取り込み(プリン体など)が6分の1、体内で作られたエネルギーやDNAのかすが6分の5です。それらが主に尿中に排泄されます。このバランスが崩れると体内に尿酸が増えていきます。

《治療について》

高酸血症の治療は、まずは生活習慣の改善、次にお薬による治療です。

尿酸値がとても高く既に症状が出ている方は、お薬を始めます。尿酸値が少し高い位で無症状という方は、生活習慣の改善をして、それでもよくならなければお薬を始めることもあります。普段の生活で気をつけることを並べます。

1.食事

・ プリン体を多く含む食べ物の摂取を減らす

例:ビール(特に地ビール)、紹興酒、レバー、白子、エビ、イワシ、カツオ

・ 果糖を多く含む食べ物の摂取を減らす。

果糖は、ジュース・コーラなどの清涼飲料水、お菓子に含まれており、成分表示に「果糖ブドウ糖液糖」「フルクトース」と書かれています。

* 果糖は、くだものよりも清涼飲料水やお菓子に多く含まれているので、くだものは食べすぎなければ問題ありません。

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・ アルカリ性食品を多く食べる。

尿がアルカリ化することで尿酸を排泄しやすくする効果があります。

例:ひじき、わかめ、干しシイタケ、ダイズ、ほうれんそう、人参、大根、サツマイモ、ジャガイモなど。

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・ 水分をよく飲む(特に夏は脱水にならないように)

水をよく飲んで尿を出すことで、尿酸の排泄につながり、尿路結石の予防にもなります。

・ 高血圧や脂質異常症の合併も多いので、食べすぎや塩分・油もののとり過ぎにも注意しましょう。

 

2.運動

体重が多い方は適正体重になるようにしましょう。速歩やマラソン、水泳、サイクリングのような有酸素運動も取り入れましょう。

短距離走や筋トレの様な無酸素運動は一時的な高尿酸血症を起こして痛風発作を引き起こすことがあると言われています。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

 

3.処方されたお薬は、毎日決まった時刻に飲みましょう。

お薬には、尿酸の排泄を促すものと尿酸の生成をおさえるものがあります。病状に応じて薬を選択します。

・尿酸の排泄を促す薬 ベンズブロマロン、プロベネシド

排泄を促すため、尿のアルカリ化が必須です。尿が酸性の状態で排泄が増えると尿路結石の危険が増します。このためウラリット🄬という尿をアルカリ化する薬を併用します。

・尿酸の産生を抑える薬 アロプリノール、フェブリク🄬、ウリアデック🄬

また、既に痛風になっている方は、痛風発作が来そうな時に飲むお薬や、痛みが出ている最中に飲むお薬もありますので、飲み方を医師によく聞いてください。

最後に:高尿酸血症は、数ヶ月で治しておしまい…ではなく、合併症を起こさないためにも10年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。お薬をうっかり飲み忘れてしまうときもあるでしょう。タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

 

糖尿病

《2型糖尿病とは》

私たちの体では、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンにより血液中の糖分がからだに取り込まれる仕組みになっています。ところが、2型糖尿病の方では、インスリン分泌が悪くなったりインスリンは出ていても働きにくくなったりすることで、慢性的に高血糖になってしまいます。

原因として、遺伝(体質)、過食や運動不足、肥満、ストレス、加齢などがあります。

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《血糖値が高いと 何が問題なのですか?》

血糖値が異常に高くなると、のどが乾く、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすいなどの症状が出ます。

 

しかし、初期のうちは無症状のことが多く、医師から「生活を見直しましょう。お薬を飲みましょう。」と言われても、調子が悪いわけではないのでぴんとこない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、糖尿病を治療しないで放置すると、恐ろしい合併症が起こります。

1.糖尿病の3大合併症

①網膜症…徐々に進行すると見えにくくなり、最悪失明に至ります。糖尿病の患者さんの20%くらいの患者さんに失明の危機があります。

②腎障害…尿にたんぱくが出たりむくんだり、貧血や高血圧になったりします。血液透析になる患者さんの一番多い原因は、糖尿病です。

③神経障害…手足のしびれ、感覚の低下

2.心筋梗塞、脳梗塞、足の血管がもろくなることによる足の潰瘍、感染症にかかりやすくなる、脂質異常症、高血圧、がん(特に大腸がん)など

これ以外にも多くの合併症が知られています。

 

この様に全身に影響が出てから糖尿病の治療を始めても、悪くなってしまった眼や腎臓、神経などの病気が改善することはほとんどありません。こうした糖尿病による怖い合併症を防ぐためにも、症状がなくても医師と一緒に治療に取り組んでいきましょう。

 

《検査値について》

糖尿病の状態を定期的に確認するために、採血や検尿を行います。

血糖値:その時の血液中の糖分を測定します。正常は126未満です。

HbA1c:過去1~2ヶ月の血糖値の平均を表します。体温と同じ、と覚えましょう。つまり、6.5%(6度5分)であれば正常、7%(7度)は微熱、8%(8度)は高熱、9%(9度)以上となったら重症です。もし、あなたが8度のお熱が出たら病院に行きますよね?

1.5AG:一日の中の血糖値の変動が多ければ低下する数値です。平均の数値が落ち着いていても食後に高血糖になっている場合は合併症が進行しやすい、と言われており安定している患者さんの血糖変動を見るのに有効です。

尿:たんぱく尿が常に出ているようになったら腎臓への障害が進行した状態です。アルブミン尿を見ることで早期の腎症を見つけていきます。

《治療について》

まず食事・運動による血糖値の改善が最初の治療になります。それでも改善しない場合に、お薬による治療になります。原因が他の病気にある場合は、そちらの治療も行います。血糖値やHbA1cをどこまで下げればよいかは、患者さんの状態によって異なりますので、医師にご確認ください。

 

1.体重管理

肥満の状態では血糖をからだに吸収させるインスリンの作用が鈍ります。これはぎゅうぎゅう詰めの押し入れに荷物を入れるのが難しいのと同じです。体重を落とし、適度な運動をすることで押し入れに余裕を持たせてあげましょう。

まずは毎日の体重測定が重要です。ご自身の健康管理の第一歩として同じ時間に体重をはかるようにしましょう。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

2.食事

1日にご自身がとって良いカロリー(kcal)を計算してみましょう。

  • 軽労働の方(デスクワーク、家事のみ):25~30 kcal×適正体重(kg)
  • 中間労働の方(立ち仕事、家事以外に家族の世話がある):30~35 kcal×適正体重(kg)
  • 重労働の方(力仕事が多い):35~ kcal×適正体重(kg)

食事内容については、食品交換表という表を使って1日の食事で何をどのくらい食べたらよいかを決めるのが最適です。

 

難しい場合は以下のことを参考に食事を工夫してみましょう。また、最近は外食でもカロリーを表示してあることが多いので、カロリーを見てから食べるものを決めましょう。

糖尿病の方は高血圧や脂質異常症も合併しやすいので、それらに対応した食事も示してあります。

・ 食事中の血糖値の急上昇を避けるために、野菜を先に食べましょう。

・ 甘いものは控えましょう。

甘いものだけでなく、塩っぽいお煎餅も食べ過ぎはカロリーや塩分のとり過ぎになります。果物も血糖値を上げやすいので、食べ過ぎに注意しましょう。

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おやつをどうしても食べたい時は、少量を食事の直後に食べましょう。間食として食事と食事の間に食べてしまうと、血糖値が1日の内で何度も急上昇してしまい、糖尿病が悪化しやすいです。

 

・ 積極的に食べた方がいいもの(魚、食物繊維が多いもの)

魚、大豆、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、玄米、麦ごはん、雑穀 などを多めにとりましょう。乳製品、果物、卵は適量を。

・ 動物性脂肪・コレステロールの摂取を減らす。

お肉の脂身、鶏肉の皮、バター、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ菓子、レバー・臓物、たらこ・いくら等の魚卵 などを減らす

・ 塩分は1日6g未満(一度、自宅のはかりで6gをはかってみましょう)

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減塩する為の工夫として、香辛料やハーブ、減塩味噌・醤油・ポン酢、レモンなどを使ってみましょう(スーパーでも減塩調味料を売っています)

 

3.運動

有酸素運動:速歩やマラソン、水泳、サイクリングのようなややきつい、と思う程度の運動が有効です。1日20分以上行うことがお勧めです。

筋力トレーニング:足や背中の筋肉を強くすることでインスリンの効果が高まります。

* 糖尿病以外に心臓病、腎臓病のある方や、眼の合併症がある方、糖尿病の状態が悪い方は、食事や運動に制限があることもあるので、医師にご確認ください。

3.飲酒量は減らして、たばこは禁煙しましょう。

4.処方されたお薬は、毎日決まった時刻に使いましょう。

5.定期的に眼科を受診しましょう。眼の合併症(網膜症)は気付かないうちに進行します。糖尿病の治療によって悪化する場合もあります。

6. 定期的に歯科を受診しましょう。糖尿病の方は歯周病になりやすいことが知られています。歯肉の炎症は糖尿病を悪化させ、歯を失うことで噛むことができなくなると血糖値が上がりやすくなります。

 

《お薬について》

糖尿病の治療のお薬には、飲み薬や注射があります。

飲み薬の中でも色々な効き方をするものがあるので、必ず指定された時に飲むようにしてください。例えば食「前」に飲むように指定されたお薬は、食事の直前に飲むことで効果が出るものなので、必ず食事の前に飲むようにしましょう。注射についても、必ず指定された量を決められた時間に打つようにしてください。

 

《注意すること》

糖尿病の方では、血糖値の管理がとても重要になります。

その際に、血糖値が極端に高すぎたり低すぎたりすると命に関わることもあるので、次のことを知っておいて下さい。

 

1.低血糖症状 について

お薬を使って治療をしている方は、具合が悪くてほとんど食べられないことが続いた時にお薬を使い続けると、低血糖を起こすことがあります。また、食べられていても仕事や運動をし過ぎて糖が消費されて、低血糖になることもあります。

低血糖になると、心臓がドキドキする、冷や汗が出る、気持ち悪い、手が震える、頭が痛い、眠い などの症状が出ます。普段と違うこれらの症状が出た場合には、飴を一粒なめたりジュースを飲んだりしてください。それでも症状が続く場合には、速やかに受診してください。

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万が一に備えて、外出の際は飴などを持ち歩くことをおすすめします。

もし、具合が悪くて長く食べられないようなことがあれば、お薬を使い続けるべきか医師にご相談ください。

2.異常な高血糖 について

糖尿病の治療経過が良い方はさほど心配する必要はありませんが、まれにひどい感染症やストレス、下痢、脱水、インスリン治療の中断・減量などが引き金となり、極端な高血糖になることがあります。

症状としては、口が乾く、脈が速くなる、血圧が低くなる、気持ち悪くなったりお腹が痛くなったりする、ぼーっとする などがあります。

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低血糖の症状と似ていますが、低血糖と違い冷や汗が出ません。

普段はさほど心配しなくて良いのですが、もし上に書いてあるきっかけと症状に当てはまることがあれば、速やかに受診してください。

3.お薬の飲み忘れ、打ち忘れ について

・飲み薬を飲み忘れたことに気付いたら…

食前のお薬は、気付いたのが食事中や食直後であれば、その時に飲んでください。食後のお薬は、気付いたのが食後1~2時間以内であればその時に飲み、それ以降であれば次の食事の時からまた飲んでください。次の食事の時に、忘れた分もまとめて飲まないように!

・インスリンを打ち忘れたことに気付いたら…

インスリンの種類や量によって対応が異なるので、忘れてしまった場合の対応を事前に医師に相談しておきましょう。

 

・インスリン以外の注射薬は、食事とは関係なくいつ打ってもよいです。

 

最後に

糖尿病は、合併症を起こさないためにも10年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。

お薬をうっかり飲み忘れてしまっても、そういう時もあるでしょう。タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

鉄欠乏性貧血

(※このブログは2020年7月12日に更新しました)

鉄欠乏性貧血とは、鉄分の不足によっておこる貧血です。
貧血の中では一番多い病気です。鉄欠乏性貧血の原因と治療について血液内科専門医が解説します。

《鉄欠乏性貧血の症状は?》
息切れ、動悸、疲れやすさなどの症状がおこります。
長い時間かけて進行していると自覚症状は感じにくいことがあります。
これは1つあたりのヘモグロビンが運べる酸素量が増えるためです。
しかし、ヘモグロビンが7 g/dlを切るようになると運搬効率を上げても対応できなくなり安静にしていても心臓に負担がかかってきます。
また、特有の症状としてさじ状爪と言われる爪が反り返るような所見や異食症と言われる氷などを食べたくなるような症状が現れることもあります。

《鉄欠乏性貧血の原因は?》
必要量と失う量のバランスが崩れたときに鉄欠乏性貧血になります。
原因として以下のようなものがあります。
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➀出血
月経:他人と月経の量を比較することは少ないため自覚されていない方が多いです。一般的に下腹部に力を入れると血液の塊が出る夜用ナプキンを昼にも使うような方は月経過多と考えられます。
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婦人科系の病気;子宮筋腫や子宮内膜症などで出血が増加することがあります。絶対に見逃してはいけない疾患として子宮がんがあります。

慢性の消化器疾患:胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、痔など。胃がん大腸がんは絶対に見逃してはいけません。

鉄欠乏性貧血の際には婦人科での診察、便潜血検査などを実施し、出血の原因となる病気を見逃さないことが重要です。
また、出血を起こしやすい病気があれば評価が必要です。

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➁需要の増大
妊娠・授乳:胎児や乳児のために必要量が高まります。妊娠中期以降は普段の約2.4倍の鉄分の摂取が必要です。不足により容易に貧血になります。

成長期:筋肉の発達に伴い鉄の需要が増します。このため成長期には男女問わず鉄分を多く摂取する必要があります。特に激しい運動をするお子さんでは汗や尿中への鉄の喪失、筋肉トレーニングによる筋肉の著しい発達により普通のお子さんより貧血になりやすい傾向があります。スポーツや学校の成績にも直結します
中学生、高校生は採血する機会があまりないと思いますが、原因不明の成績低下などの際には疑ってみましょう。

(2015年日本人の食事摂取基準より)

➂摂取不足
欧米では多くの国で小麦粉への鉄の添加を行っており鉄欠乏性貧血の割合は激減しています。一方で日本人は2001年以降、平均8㎎以下まで減少し慢性的な鉄不足の状態です。過度なダイエット、インスタント食品の多食、偏食は鉄の摂取不足をさらに悪化させます。

④吸収の低下
胃の手術後や慢性胃炎、強力な胃薬の長期内服により胃酸が出ない状態が続くと鉄の吸収が減少します。

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《治療について》
鉄分の補充と出血源のコントロールが治療の中心となります。
鉄分の補充は貧血が回復後、血清鉄、さらに貯蔵鉄(フェリチン)が回復するまで行います。
鉄欠乏性貧血は鉄の借金をしている状態ですので貧血から回復し、貯金ができるまで治療を続けないと簡単に借金生活に戻ってしまいます。
体調が良くなっても粘り強く治療を続けましょう。

➀鉄剤の内服
フェロミア🄬、フェロ・グラデュメット🄬、フェルム🄬などを内服します。
内服により10~20%くらいの患者さんに吐き気、便秘、腹痛、下痢などの消化器症状が生じます。
内服時間や回数の変更(2日に1回の内服)、内服薬の変更(当院ではインクレミンシロップ🄬を処方することがあります)で対応可能なことがほとんどです。

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➁鉄剤の静脈注射
重症の貧血の場合、副作用が強く鉄剤を飲めない場合、胃などの病気のため吸収が非常に悪いときなどに行います。むやみに静脈注射を続けると鉄過剰症を起こし肝臓、腎臓、心臓、すい臓などの機能が落ちることがあるためです。
ときにサラセミアなど鉄欠乏のない患者さんに静脈注射が行われ、鉄過剰症を起こしているケースも見受けられます。静脈注射を行う際には専門医で行うことをお勧めします。

➂出血のコントロール
出血源の治療、止血剤の投与(トランサミン2000mg/日:欧米では4000mg/日使われますが日本の保険では最大2000mg/日)、女性の過多月経であれば低用量ピルの内服などにより出血量を減らすことも重要です。

《鉄の多い食べものとは》
鉄と言えば「レバー」と思い浮かぶかも知れませんが、毎日食べるのはなかなか難しいように思います。
私のお勧めはあさりです。
日本の土には鉄分が少ないため野菜からの摂取は難しいようです。


(引用:鉄剤の適正使用による貧血治療指針「日本鉄バイオサイエンス学会」)

なお、サプリメントは鉄の補充方法として有効ですが、1日に摂取できる鉄の量は10㎎程度です。

【最後に】鉄欠乏性貧血は国民病と呼べるほど多くの患者さんがいるものの専門的な評価が行われず鉄剤だけ内服し続けている方が多いのが現状です。貧血を起こす原因も含めて治療をしていくことが大切です。

 

睡眠時無呼吸症候群

《睡眠時無呼吸症候群とは》
肥満や加齢などにより気道が狭くなること、あるいは呼吸調整システムが不安定化することでいびきや呼吸停止が生じる病気です。10秒以上の呼吸停止が1時間あたり5回以上みられることで診断されます。

《症状》
多くの方は一緒に睡眠をとっている人から「いびき」「無呼吸」を指摘されます(90%程度)。

日中の過剰な眠気、熟睡できない、だるい、夜間頻尿、集中力の低下などさまざまな症状を起こします。

《睡眠時無呼吸症候群の何が問題なのですか?》
狭心症、心不全、脳卒中、心房細動、大動脈解離、突然死など命に関わる重大な合併症を起こしやすくなることが知られています。また、夜間や早朝の血圧があがるタイプの危険な高血圧や糖尿病になりやすいことも知られています。

日中の過剰な眠気は居眠り運転による重大事故や作業効率の低下にもつながる可能性があります。

《検査について》
携帯用の機械による簡易検査を行います。当院では下図のウォッチパット ユニファイド (フィリップス🄬) を貸し出し、検査を実施します。

指先のセンサーで体の中の酸素の状況と覚醒状態をモニターし、胸部につけるセンサーで体の動きを検査します。鼻のモニターなど煩わしい機械は不要でどなたでも簡単に検査を行えます。

この検査で軽症~中等症の睡眠時無呼吸症候群と判断された方や持病に心不全などがある方については入院で行う精密検査 (終夜睡眠ポリグラフィー) が必要ですので当院より紹介させていただきます。

《治療について》
睡眠時無呼吸症候群は、年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めからがんばり過ぎず、無理のない範囲で治療していきましょう。コツは、「多少細くても長く続けること」です。次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

1.生活習慣の改善
体重が多い方は脂肪により喉が狭くなるため減量をおすすめします。

アルコールは喉の筋肉の緊張を緩め気道を狭くする原因になります。就寝前の飲酒は控えましょう。

30分~60分の有酸素運動を週に4回以上行いましょう。

喫煙は気道の炎症を起こし気道を狭くするため控えましょう。

2.持続気道陽圧(CPAP)

鼻マスクを通して気道に圧をかけることで気道の閉塞を防ぐ機械です。出張などの際にも持ち運びが可能なほど小型で、治療の記録はインターネットを通してご自身とクリニックで共有することが可能です。治療により日中の眠気や生命予後の改善が期待できます。

3.口腔内装置
CPAP療法が続けられない、あるいは軽症でCPAPは導入できないが自覚症状のある患者さんでは下あごを固定する装置が使われます。専門的な歯科での作成が必要なため対象となる方は専門医をご紹介いたします。