鉄欠乏性貧血

《鉄欠乏性貧血とは》

鉄欠乏性貧血とは、鉄分の不足によっておこる貧血で、貧血の中では一番多いものです。慢性に貧血が進むと高地トレーニングをしている運動選手のように、からだが貧血状態に慣れてしまい重症でも気づかないことがあります。

 

 

《鉄欠乏性貧血の原因は》

必要量と失う量のバランスが崩れたときに鉄欠乏性貧血になります。原因として以下のようなものがあります。

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➀出血

月経:他人と月経の量を比較することは少ないため自覚されていない方が多いです。一般的に下腹部に力を入れると血液の塊が出る夜用ナプキンを昼にも使うような方は月経過多と考えられます。

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婦人科系の病気;子宮筋腫や子宮内膜症などで出血が増加することがあります。絶対に見逃してはいけない疾患として子宮がんがあります。

慢性の消化器疾患:胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、痔など。胃がん大腸がんは絶対に見逃してはいけません。

当院では婦人科へのご紹介、便潜血検査などを実施し、出血の原因となる病気を見逃さないようにご案内しています。また、出血を起こしやすい病気があれば評価します。

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➁需要の増大

妊娠・授乳:胎児や乳児のために必要量が高まり、妊娠中期以降は普段の約2.4倍の鉄分の摂取が必要です。不足により容易に貧血になります。

成長期:筋肉の発達に伴い鉄の需要が増します。このため成長期には男女問わず鉄分を多く摂取する必要があります。特に激しい運動をするお子さんでは汗や尿中への鉄の喪失、筋肉トレーニングによる筋肉の著しい発達により普通のお子さんより貧血になりやすい傾向があります。スポーツや学校の成績にも直結します

(2015年日本人の食事摂取基準より)

➂摂取不足

欧米では多くの国で小麦粉への鉄の添加を行っており鉄欠乏性貧血の割合は激減しています。一方で日本人は2001年以降、平均8㎎以下まで減少し慢性的な鉄不足の状態です。過度なダイエット、インスタント食品の多食、偏食は鉄の摂取不足をさらに悪化させます。

 

④吸収の低下

胃の手術後や慢性胃炎、強力な胃薬の長期内服により胃酸が出ない状態が続くと鉄の吸収が減少します。

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《治療について》

鉄分の補充と出血源のコントロールが治療の中心となります。

鉄分の補充は貧血が回復後、貯蔵鉄(フェリチン)が回復するまで行います。鉄欠乏性貧血は鉄の借金をしている状態ですので貧血から回復し、貯金ができるまで治療を続けないと簡単に借金生活に戻ってしまいます。体調が良くなっても粘り強く治療を続けましょう。

 

➀鉄剤の内服

フェロミア🄬、フェロ・グラデュメット🄬、フェルム🄬などを内服します。内服により10~20%くらいの患者さんに吐き気、便秘、腹痛、下痢などの消化器症状が生じます。内服時間の変更、内服薬の変更(当院ではインクレミンシロップ🄬を処方することがあります)で対応可能なことがほとんどです。

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➁鉄剤の静脈注射

重症の貧血の場合、副作用が強く鉄剤を飲めない場合、胃などの病気のため吸収が非常に悪いときなどに行います。むやみに静脈注射を続けると鉄過剰症を起こし肝臓、腎臓、心臓、すい臓などの機能が落ちることがあるためです。静脈注射を行う際には専門医で行うことをお勧めします。

➂出血のコントロール

 

出血源の治療、止血剤の投与、女性の過多月経であれば低用量ピルの内服などにより出血量を減らすことも重要です。

《鉄の多い食べものとは》

鉄と言えば「レバー」と思い浮かぶかも知れませんが、毎日食べるのはなかなか難しいように思います。院長のお勧めはあさりです。日本の土には鉄分が少ないため野菜からの摂取は難しいようです。

(引用:鉄剤の適正使用による貧血治療指針「日本鉄バイオサイエンス学会」)

 

最後に:鉄欠乏性貧血は国民病と呼べるほど多くの患者さんがいるものの専門的な評価が行われず鉄剤だけ内服し続けている方が多いのが現状です。貧血を起こす原因も含めて治療をしていくことが肝心です。

 

投稿者:

kwathema

さいたま市見沼区島町の内科・血液内科のクリニック ハレノテラスすこやか内科クリニックの院長です。東大宮駅から徒歩13分のショッピングモール内で内科のクリニックを開院しています。