乳がんの啓発について

(このブログは2021年8月27日に更新しました。)
今回は東京医科歯科大学のときから拝見している患者さんの活動についてご紹介します。

患者さんとの最初の出会いは患者さんが乳がんに罹患後、抗がん剤治療を受けていたころでした。治療中に出現した白血球減少が長引くため血液内科に紹介されました。原因は自己免疫が関与する血球減少でしたが、感染のリスクもあり血液内科で経過観察させていただきました。
お会いしたばかりのころは、病気に対する心配に加え、乳房を切除したことに大変落胆されていました。私は男性なので「乳房を切除すること」に対して想像をするしかありませんが、「授乳」という機能的な側面ではなくアイデンティティに関係する非常に重要な決断をされたことを強く印象づけられる患者さんでした。

通院が進むにつれて患者さんは乳房形成術を受けられ、化学療法も終わりご自身の髪の毛も取り戻されました。ウィッグなしで来院されたときのうれしそうな顔が印象的でした。

その後、患者さんはご自身のような経験をされた女性の方たちのためにピンクリボンアドバイザー(上級)の資格を取得されました。2021年7月現在108人のみの極めて難しい資格で、中高生への乳がんの啓発活動や社会を変える活動に積極的に取り組んでいらっしゃいます。

患者さんの活動が実り、多くの女性のみなさんが罹患される乳がんについて正しい知識を得て、適切な検診を受けられることをぜひお願いしたいと思います。
乳がんについて
乳がんは全国がん登録によると日本人女性の罹患数95,525人(2016年)、死亡者数は14,653人(2018年)です。部位別の罹患数は日本人女性の第1位で、9人に1人(10.6%)が生涯で乳がんに罹患すると推定されています。つまり、一般的な40人学級で女性20人のクラスでは2人以上が乳がんに罹患するということになります。
一方で死亡数は日本人女性の第5位であり適切な治療で根治する可能性がある疾患です。早期発見が極めて重要で厚生労働省は40歳以上の女性は、2年に1度のマンモグラフィによる検診を推奨しています。(参照:日本がん治療認定医機構テキスト)
乳がんエコー
最後に
当院では乳がんなどの化学療法の一般的な副作用に対する初期対応を行っています。最近は外来化学療法を行うケースが多く、口内炎、便秘、嘔気、下痢、発熱などでお困りの方も多いと思います。血液内科は抗がん剤治療の専門家であり、がん治療認定医の資格も生かしこれまで肺がん、乳がん、卵巣癌、GISTの治療後の副作用に対する初期対応を行っています。お困りの際にはご相談ください。