インフルエンザの発生状況について

当院におけるインフルエンザ罹患数の推移です。(現時点ではA型のみです。)

インフルエンザ罹患

当院の周囲では12月初旬に認めた流行は一時終息傾向のようです。

今年の患者さんの印象としては通常どおりの38℃以上の発熱、悪寒などで来院される方と翌日には36℃台に解熱する比較的軽症の方の2パターンがあります。翌日解熱した場合もインフルエンザを考慮して対応することが必要です。

また、この発症パターンからはA(H1N1)pdm09とA(H3N2)の両方が流行しているものと考えられることから同じ人がAに2回かかる可能性も十分に考えられ、一度かかった患者さんも注意が必要です。

例年ですと12月後半からが本格的な流行の時期となります。感染予防と体力の維持に努め、体調不良の際には早めの受診をお願いします。

高齢者におすすめするワクチン 破傷風

【破傷風について】

破傷風は世界中の土の中にみられる破傷風菌が外傷や火傷などをきっかけに感染して発症する病気です。破傷風が感染すると、菌が生み出す毒素により筋肉が動かなくなり、口が開かない、筋肉が硬張する、呼吸ができない、などの症状が生じ最終的には死に至ることもあります(致命率20~50%)。

【破傷風の抗体について】

小児の4種混合ワクチンにも含まれているため、小児では抗体を十分に持っていますが、高齢者では抗体が少なくなり、感染のリスクが上がります。(破傷風抗体保有)

実際に2016年の報告では発症者120人のうち78人(65.0%)が70歳以上でした。

【破傷風予防接種のおすすめ】

土いじりをする高齢者は破傷風を発症する可能性があり、もし発症した場合は命に関わります。ガーデニングや家庭菜園などを趣味で行っている高齢者は注意が必要な疾患であり任意での接種をお勧めいたします。

当院では3,700円で実施しております。

肺炎球菌ワクチンについて

【肺炎球菌感染の重要性について】

肺炎は死因の第 3 位です。肺炎を起こす細菌は多数ありますが、そのなかで肺炎球菌はおよそ2割くらいと言われています。

肺炎球菌性肺炎は、敗血症(菌が血液中にまわり臓器障害を起こす状態)、髄膜炎(脳のまわりに菌が侵入する)などの侵襲性肺炎球菌感染症を合併し重症化しやすいことが知られています。また、インフルエンザと合併しやすく、インフルエンザ後の肺炎の原因として重要な病気と言えます。

【予防接種の効果について】2014年10月から65歳以上の成人を対象に開始された肺炎球菌の定期接種では高齢者介護施設入所者で肺炎に対する予防効果(肺炎球菌性肺炎:63.8%, 全ての肺炎:44.8%)が認められました。また、75歳以上で予防接種を受けた方は、接種後 2 年間の入院率が 41.5%まで減少したことが報告されています。さらに、ワクチン接種 1 年間の 75 歳以上の高齢者では肺炎医療費が減少しました。

【課題】23価肺炎球菌ワクチンでカバーされない肺炎球菌による感染が増加傾向であることが現在の課題として残っていますが、腎臓、心臓、肺などに病気のある高齢者にはぜひお勧めしたい予防接種です。

当院では定期予防接種のほか、5年経過後の追加接種も実施しております。費用は8000円です。

参考;

日本感染症学会「65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方
(第2版 2017-10-23)」

国立感染症研究所「23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(肺炎球菌ワクチン)ファクトシート」

高齢者におすすめするワクチン ①水痘帯状疱疹ワクチン

水痘(水ぼうそう)は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされる伝染性疾患です。皮疹が軽快した後にVZVは神経に潜伏感染し加齢、疲労、ストレスなどにより免疫力が低下すると再活性化し帯状疱疹を引き起こします。

50歳以上になると帯状疱疹の発症は増加し、70歳以上でさらに高くなり85歳までに半数の人が経験すると報告されています。さらに2014年10月から水痘ワクチンが小児への定期接種として開始されたことから、一度水ぼうそうにかかった方はVZVウイルスとの接触する期会が減っており、免疫が維持されにくくなることで、ますます帯状疱疹になりやすくなるものと予想されます。

帯状疱疹の合併症では10~20%に発症する帯状疱疹後神経痛が重要です。皮疹消失後3か月以上にわたって痛みが持続することを指し、焼けるような耐え難い痛みが続きます。皆さんの周りにも苦しんでいる方がいるのではないでしょうか?

日本では2016年3月から50歳以上の人に対する帯状疱疹の予防として水痘帯状疱疹ワクチンを接種することが認められました。治験では60歳以上で、帯状疱疹の発症が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛の発症が 66.5%減少し、50歳~59歳で帯状疱疹発症が69.8%減少しました。副反応は注射部位の皮膚反応が主で重篤なものはみられませんでした。(効果は一般的に5年程度と考えられています。)

9月16日は敬老の日でした。来年の御両親、祖父母へのプレゼントとしてワクチンを検討されてみてはいかがでしょうか?

参考資料:

M.N. Oxman, M.D. et al.  N Engl J Med 2005; 352:2271-2284

帯状疱疹ファクトシート(厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000184909.pdf)

スマホアプリで健康増進

新型iPhone発売のニュースが世間で話題になっていますが、今やスマートフォンの普及率は85.1%(2019年2月)と多くの方がスマートフォンを利用されています。

ではスマートフォンのアプリを健康増進(食生活、運動、座ったままの生活の改善)に利用できないでしょうか?2006年~2016年までに報告された論文27報(小児~若年者4報、大人23報)をまとめた報告によると小児では効果あり(1報)、一部効果あり(1報)、変化なし(2報)と評価が定まっていません。一方で、大人では変化なし(6報)に対して効果あり(17報)と有効な可能性があることが示されました。また、教育、カウンセリング、やる気の出るメール、ウェブサイト、歩数計などをアプリと併用することで効果が上がる可能性がある、と報告されました。

同様に「ポケモンGo」の活動量への効果を見た論文が香港より報告されています。これによるとiPhoneを持つ13~65歳までの210人がポケモンGOをインストールし、歩行距離の増加(18.1%:0.96㎞)がみられたそうです。ただし、24日で飽きてしまいその効果が打ち消されたとのことでした。(米国では飽きるまで42日だったそうです。)

これらの結果からスマートフォンのアプリは生活習慣病の予防や改善に役立ちそうで、長く続けることが重要と言えます。

ハレノテラスにはNTTドコモ、ワイモバイルの店舗もあり、きっとそれぞれの店員さんが親切に教えてくれることと思います。スマホを健康に役立ててみるのはいかがでしょうか?

参考文献)

Schoeppe et al.  International Journal of Behavial Nutrition and Physical Activity (2016)13:127

Ben D Ma et al. Journal of Medical Internet Research (2018)20:e217