起立性調節障害について

立ち上がったときのめまい、ふらつき、失神など「貧血」と表現される症状は医学的には起立性調節障害と呼ばれます。今回は起立性調節障害について解説したいと思います。

【症状】
急に姿勢を変えたときなどに起こる、「力が入りにくい、感覚が鈍くなる、めまい、もうろうとする、目の前が暗くなる、首の後ろが痛くなる」などの症状。

【起立性調節障害はどのくらいの患者さんがいるの?】
日本小児心身医学会によると小学生の約5%、中学生の約10%のお子さんが起立性調節障害です。
成人の5~20%で高齢になるほど多くなります。

【どういう病気なの?】
普通の人は立ち上がると
➀交感神経という興奮させる神経が働き
➁副交感神経というからだをリラックスさせる神経が抑えられ
➂足や内臓の血管が細くなり、心臓に戻ってくる血流が増え
血圧が維持できます。
起立性調節障害の患者さんはこの仕組みがおかしくなり「脳貧血」という状態になってしまいます。

【こういう人が危険です】
・仰向けで血圧が高い。
・頸動脈が狭い(50%以上の狭窄)。
・薬を飲んでいる(高血圧、糖尿病、抗うつ薬、向精神薬など)。

・アルコールを飲んでいる。

・貧血や脱水がある。
 

・パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などの変性疾患がある。
・糖尿病、シェーグレン症候群、アミロイドーシスなど末梢神経に障害を起こす病気がある。
・高齢者(血圧の変化を感じにくいため)。

【似た病気】
体位性頻脈症候群(POTS)起立時に血圧は下がらないが、脈が早くなる病気です。若い女性に多く、症状は起立性調節障害と同じで目の前が暗くなったりします。原因不明で血液量の減少、静脈の機能低下、心機能の低下、交感神経の活性化などが推定されます。脱水などを避け、適度な運動をすることが有効です。

食後低血圧食後15分~90分で血圧が下がる病気です。食後に内蔵への血流が増加することが原因と考えられています。

反射性失神:何らかの刺激が原因で血管が拡がり、脈が遅くなることで脳貧血を起こします。刺激としては感情の変化、痛み(注射をしたあとなど)、恐れ、長時間の立位、暑い中にいるなどのほか、排尿、咳、排尿、排便、嚥下などが刺激となります。足をクロスさせるのが有効です。

【診断】
仰向けの状態から立ち上がり(2~5分後に)収縮期血圧20mmHg以上あるいは拡張期血圧10mmHg以上低下する。原因の解明のために診察や採血などを行います。

【治療】
治療の目標は症状を取ることで、血圧を正常にすることではありません。
①原因となる薬の中止
②生活指導 ゆっくり起きる、緊張を避ける、激しい咳をしない、暑い中を歩かない、いきんで排便しない、上体を少し起こして寝る、適度な運動をする、血糖値が上がりやすいものを食べない
③弾性ストッキングや腹帯を使う
④足をクロスして立つ、口をすぼめて息を吸う
⑤飲水(1.5リットル以上)と塩分摂取を増やす。

これらでも改善しなければ薬による治療を行います。交感神経を刺激するミドドリンやドロキシドパを用いますが、副作用の注意が必要で、長期に使った場合の効果などについて十分な報告がありません。

副作用のリスクが少ない漢方薬では苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯なども有効とされています。

【まとめ】
血圧は自律神経という神経が調節してくれています。しかし、病気のある人、薬を飲んでいる人、脱水やアルコールなどの条件によって調節がうまくいかなくなり脳にいく血流が落ちると「貧血」と言われるような症状を起こします。体位性頻脈症候群、食後低血圧、反射性失神なども大きくみると同じで自律神経の調節がうまくいかないために起きる病気です。いずれも原因の回避、身体処置(足をクロスするなど)、飲水が有効で、薬で治すような病気とは言えません。自粛期間開け~夏場にかけて明らかに増えている症状ですので注意して生活してみてください。

参照:
Up to date
Topic 5103 Ver23.0 Mechanisums, causes, and evaluation of orthostatic hypotension.
Topic 5105 Ver18.0 Treatment of orthostatic and postprandial hypotension.
Topic 5100 Ver12.0 Postural tachycardia syndrome
Topic 1050 Ver32.0 Reflex syncope in adults and adolescents : Clinical presentation and diagnostic evaluation.
Topic 111958 Ver11.0 Reflex syncope in adults and adolescents : Treatment
Topic 1032 Ver30.0 Syncope in adults : Managemet
起立性調節障害 日本小児心身医学会HP

壊死性リンパ節炎について

コロナウイルス感染症が流行していた2020年5月には発熱、リンパ節の腫れで来院された患者さんが数名いらっしゃいました。
生検をしていないので診断は確定できませんが、菊池病と考えられ、どなたも自然に改善しています。
「コロナウイルスが流行していても普通の病気がお休みしているわけではない」という良い教訓でした。
今回、大学病院勤務時代にカンファレンス用に作った資料を公開いたします。参考になさってください。

菊池病

別名 菊池-藤本病、組織球性壊死性リンパ節炎、亜急性壊死性リンパ節炎
概要 1972年に初めて報告され、これまで733例の報告がある原因不明の良性リンパ節炎。
好発年齢 20歳~35歳 (実際には広い年代に見られる)
性別 男:女=1:2 (12歳以下では男児に多い)

原因
不明だが以下が考えられる
・感染?(EBV、HHV6、HHV7、HHV8、HSV、HIV、HTLV-1、Parvovirus B19、Yersinia enterocolitica、toxoplasma)
・アジアからの報告が多く、ヨーロッパからはまれ。⇒HLAハプロタイプとの関連(DPA1*01、DPB1*0202?)
・自己免疫機序 全身性エリテマトーデスとの関連(アジア28%、ヨーロッパ9%)

症状
・急性~亜急性に出現する局所特に頚部リンパ節腫大、発熱、上気道症状、嚥下痛など。
・非典型的な症状として悪寒、盗汗、関節痛、体重減少。ときに肝脾腫。
・腫大リンパ節は後頚部が多く(90%)、痛みを伴う。中間サイズ(0.5-4.0㎝)が多い。
・全身リンパ節腫大に至る症例は1~22%。
・リンパ節外病変は皮膚が最多(30-40%)

(菊池病 69 例の臨床的検討 都立駒込病院感染症科:感染症学雑誌 第83巻 第 4 号)

検査データ
・(ときに血球貪食が関連する)軽度の血球減少(白血球19~43%、貧血23%)。
・赤沈亢進(40-79%)、LDH上昇(53%)、ALT上昇(23%)。末梢血異型リンパ球(25%)

診断 
リンパ節生検。
針生検では偽陽性37.5%、偽陰性50%を認め正診率56%。

鑑別
感染性リンパ節炎(結核、トキソプラズマ、Bartonella henselae、HIV、EBV)、結合織異常(SLEなど)、リンパ増殖性疾患など。

鑑別診断(臨床所見および画像所見)

治療 自然軽快(64%)、ステロイド使用(10‐40%程度)、クロロキン

予後
おおむね良好だが0.5~2.1%で死亡 (心筋浸潤、脳出血、全身性エリテマトーデス、血球貪食症候群)。再発4~15%。全身性エリテマトーデス、混合性結合性組織病、シェーグレン症候群などとの合併あり。

まとめ
壊死性リンパ節炎は原因不明の良性リンパ節炎です。
アジア人に多く膠原病との関連が言われていることが特徴的です。
治療なしでも自然に良くなるケースが多いものの、一部重症化し、再発も比較的多いので注意が必要な病気です。
若い女性で熱、リンパ節の腫れ、血球減少などをみたら疑うべき病気です。

糖尿病の検査の限界について

糖尿病の管理ではいくつかの指標を使います。
一般的には血糖値、HbA1cが用いられ、多くの患者さんはこの2つで管理できます。
患者さんがほかの病気を持っている場合や特定の薬を内服している場合にはこれらが役に立たないこともあります。
今回は糖尿病の検査における落とし穴について解説したいと思います。

【そもそもヘモグロビンA1cとは?】

ヘモグロビンは赤血球の中に含まれる酸素と結合するたんぱく質です。
通常は2つのα、2つのβから構成されます。
血糖値が高い状態だとヘモグロビンに糖分がくっつきヘモグロビンA1cが作られます

 ヘモグロビン(Hb)

 ヘモグロビンA1c(HbA1c)

いったんヘモグロビンに糖分が結合してヘモグロビンA1cが作られると赤血球の寿命が尽きるまで壊されません。
このため赤血球の寿命( 120日)の間にどれだけ糖分がくっついてしまったか?=血糖値が高い状態がどのくらいあったのか?をヘモグロビンA1c/全ヘモグロビン(%)で調べることができるのです。
1~2か月前の血糖値の状態を知るのに最適です。

【ヘモグロビンA1cが正確に評価できない場合とは?】

ヘモグロビンA1cは赤血球が120日の寿命であることが大前提です。
このため赤血球の寿命が通常と異なる方では異常値が出る可能性があります。

主な原因を説明します。

➀輸血のあと

いちばん極端な例ですが、たくさんの赤血球輸血をされたあとではもはや誰の血を検査しているのかわかりません。

➁貧血の回復期 → HbA1cは低くなる(下図➁)
・鉄欠乏性貧血に鉄剤を投与した
・ビタミンB12欠乏性貧血にビタミンB12を投与した
・腎性貧血にエリスロポエチンを投与した
など、赤血球の造血がさかんになると若い赤血球(糖分にさらされていないヘモグロビン)が増えるためヘモグロビンA1cは低下します。

➂溶血性貧血、脾機能亢進(ひきのうこうしん)→ HbA1cは低くなる(下図➂)
・赤血球の膜に生まれつきの異常がある
・赤血球を攻撃する抗体をもっている(溶血性貧血)
・赤血球を壊す機関である脾臓が腫れている(肝硬変)
では赤血球の寿命が短くなりヘモグロビンA1cは低下します。

④慢性の鉄欠乏性貧血 → HbA1cは高くなる(下図④)
・赤血球の寿命が延長し、糖分に接する機会も多くなるためヘモグロビンA1cは高めになります。

赤血球の寿命とHbA1c

健康    

➁回復期   若いHbが多い

➂溶血    寿命が短い

④慢性貧血  寿命が長い

【ヘモグロビンA1cが正確に測れないときにはどうするの?】

グリコアルブミン(GA)が適切です。

この検査では体の栄養成分であるアルブミンというたんぱく質に結合した糖分の割合を調べます。
HbA1cと同じく血糖が高い状態が続くとグリコアルブミンは増加します。

アルブミン  

グリコアルブミン 

アルブミンは体の中から15日くらいで半減するため過去1か月、なかでも2週間くらいの血糖の状態をみるのに最適です。
ヘモグロビンA1c × 3 =グリコアルブミン くらいで換算されます。

ただし、ヘモグロビンA1cと同様にアルブミンの代謝が早くなっている場合(バセドウ病、ネフローゼ症候群、ステロイド製剤の使用中)には低下するために注意が必要です。

【血糖値が乱高下しているときにはどうするの?】

ヘモグロビンA1cは1~2か月の血糖値の平均を表します。

たとえば下の図で黒線で示したAさんは血糖が乱高下していますが、平均するとHbA1c 7%(青線)です。緑色のBさんも同じくHbA1cでは7%ですが、血糖値の変動は少なくなっています。

臨床の場面では
Aさんは食後に血糖が高くなったり夜間に低血糖を起こしたりしている人
Bさんは一日の変動も日毎の変動も少ない人
のことを表します。
血糖が乱高下すると自律神経の緊張が高まり脳卒中、心筋梗塞などの危険が高まることが知られています。
Aさんの治療をより適切な方法に導くためにはどうすればよいでしょうか?

こういうときには

1.5アンヒドロ-D-グルシトール(1.5AG)

を測定することが有効です。

1.5AGは血糖に似た物質で、腎臓で「ろ過されたのち99%が再吸収」されます。
しかし、高血糖になると腎臓では尿中に排泄される血糖の再吸収に手いっぱいになるため1.5AGは尿中に出て行ってしまいます。
つまり、血糖が一時的にでも高くなると血液中の1.5AGは低下するのです。
食後血糖が上がっているような患者さんでは1.5AGが下がるため数日間の患者さんの血糖変動を見るのに有効です。

もちろんここでも検査の限界はあります。尿中に糖分を排泄させる薬(SGLT-2阻害薬)を内服中の患者さんでは1.5AGが低下してしまうため検査に適しません。

その場合には自己血糖測定器あるいは「持持続血糖測定器」が有効です。

【まとめ】
多くの方は血糖値とHbA1cで十分な評価ができますが、一部の患者さんでは適切な検査方法を選ぶことで糖尿病をより良いコントロールにすることが可能になります。
また、HbA1cが安定した患者さんでは1.5AGを測定し日内変動も抑え、合併症を減らすことが可能となります。

【最後に】
糖尿病の検査の限界について赤血球寿命が気になる血液内科医が解説しました。
健康診断でHbA1cが低いと言われた方は赤血球寿命に異常のあることが疑われます。
血液内科へご相談ください。

花粉症

《花粉症とは》

花粉症は、アレルギー疾患の一つです。アレルギー疾患にはアトピー皮膚炎や喘息、アレルギー性結膜炎などがあり、これらにかかっている人や家族にそういう方がいらっしゃる方は他のアレルギー疾患も起こしやすいことが知られています。

花粉症の原因となる花粉には主にスギ(2~4月)やヒノキ(3~5月)、イネ(5~9月)、ブタクサ(8~9月)などが知られています。花粉が鼻や目に入ってくると、人体の粘膜にもともといるマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンという物質が放出されて、鼻や目の血管・神経を刺激して、くしゃみや鼻水・鼻づまり、眼やのどのかゆみが起こります。更には、皮ふのかゆみや副鼻腔を引き起こすこともあります。

原因の正確な評価には、皮膚反応試験、誘発試験が有用ですが、血液検査でも大まかに調べることができます。

 

《花粉症の治療にはどんなものがありますか?》

治療として、次のようなものがあります。治療は症状が出始める前、つまり花粉が飛び始める頃より前から始めるのがおすすめです。

1.お薬による治療 <症状をおさえたり、軽くしたりする>

・飲み薬:

①抗ヒスタミン薬:アレルギー治療の基本です。現在主に使われているものは第2世代という眠気や沈静作用の少ないタイプです。1日1回のタイプや2回のタイプがあり、効果の強さも色々なものがあります。

主な副作用として眠気(最も多い)・頭痛・吐き気・めまい・だるさなどがあります。車を運転する方や仕事で高所作業をする方には運転制限のない薬を選んで処方します。

➁ロイコトリエン拮抗薬:鼻づまりへの有効性が高いお薬です。喘息の治療にも使われます。

➂遊離抑制薬:ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどアレルギー反応に関与する物質が出ていくのを防ぐ薬です。妊娠中に使えない薬も含まれます。

④ステロイド薬:非常に症状が強い場合にはステロイド薬の短期内服を行う場合があります。

・点鼻薬:鼻にたらすタイプやスプレーするタイプのお薬で、鼻水の症状が強い方におすすめです。

・点眼薬:目のかゆみが強い方には、点眼薬の使用もおすすめします。

・貼り薬:最近発売された新しい治療法で、1日1回貼りかえるタイプのお薬です。他のお薬と共通の副作用以外に、このタイプでは貼ったところが赤くなったりかゆくなったりする副作用があります。

 

☆次の3つの治療は、アレルギー専門医への紹介が必要となりますが、ご希望の方は医師におっしゃってください。

2.アレルゲン免疫療法(特異的減感作(げんかんさ)療法) <花粉症の治癒をめざす>

症状を和らげるお薬による治療とは異なり、花粉症の原因物質(アレルゲン)を少しずつ体に入れて、アレルゲンに対する体を慣れさせていく治療法です。ただし、スギ花粉症とダニアレルギーにしか使えません。治療には数年かかりますが、治癒や症状がない期間を長くできる効果が期待できます。デメリットは、治療に通院の手間と時間が多くかかることや、花粉の時期以外も通院が必要なこと、喘息やじんま疹などの副作用が出る可能性があることです。このアレルゲン免疫療法には、次の2種類があります。

①皮下免疫療法

病院で皮下注射をします。初めは1週間ごとの通院で、徐々に2週間、1ヶ月と通院間隔がのびていきます。メリットは毎日のお薬がいらないこと、デメリットは最初は通院回数が多いこと・注射なので痛いことです。

②舌下免疫療法

舌の裏に液体や固形のお薬を置きます。通院回数が少ない(1か月に1-2回)、皮下免疫療法よりは喘息やじん麻疹などの副作用が出る頻度が低いというメリットはありますが、デメリットは自宅で毎日お薬を使わなければならないということです(12歳未満ではおこなえません)。

https://www.torii-alg.jp/

*いずれの場合も、ステロイドやβブロッカーというお薬を内服中、不安定な気管支喘息がある、抗癌剤治療中、妊娠中、自己免疫疾患のある方は、アレルゲン免疫療法をおこなえない場合があるので医師にご確認ください。また、花粉が飛んでいる時期に開始することは控えます。

3.手術

 重症の鼻症状のある花粉症の方で、鼻や副鼻腔の形に問題が場合には、手術が適応になることもあります。

 4.抗IgE抗体(ゾレア🄬)

花粉症で起きる最初の反応は花粉を敵として反応するIgE抗体が、マスト細胞の表面に結合することです。ゾレア🄬はIgE抗体とマスト細胞の結合を阻害する分子標的薬で花粉症の反応の根本を抑えることができます。(抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などはこの反応の下流を抑える薬です。)これまでは重症の気管支喘息や慢性じんま疹で使われていましたが、今シーズンより重症、最重症の花粉症でも使えるようになりました。

2~4週間に1回の治療で劇的な効果がある一方で薬価が1回で12~18万円程度(体重とIgE抗体量による)と非常に高価ですのでIgE抗体が高く、ほかの治療では無効の場合のみ投与されます。

https://secure.novartis.co.jp/kafun_kyousei/severe_pollinosis/

 

《日常生活で、症状を悪化させないために》

1.花粉が多く飛ぶ時の外出を控える。外出する時は、マスクやめがねを使う。

2.表面がなるべくつるつるした服を着る(毛羽だった服は花粉がつきやすい)

3.帰宅したら、服や髪についた花粉をはたいてから家に入る。

直ぐに、顔を洗い、ガラガラうがいをして鼻をかむ。皮ふはよく保湿する

4.花粉が飛ぶ時期は、窓や戸を閉めておく。

空気清浄機を使う(花粉除去機能つきのものも)。

5.花粉が多く飛ぶ時期は、外に洗濯物を干さない。

6.部屋の掃除をこまめにする。水拭きも有効。

肥満症

《肥満症とは》

体の脂肪が過剰に増えてしまった状態を「肥満」と言います。

BMI (body mass index:肥満指数) 25~35が「肥満」、35以上が「高度肥満」と定義されます。また、体脂肪率が男性で25 %以上、女性で30 %以上で、体脂肪率が高いとされ、これも目安になります。ご自身のBMIを、当てはめて計算してみましょう↓

BMI:体重 (  )kg ÷ 身長(   )m ÷ 身長(  )m=(  )

例)身長170㎝、体重85㎏なら…85÷1.7×1.7=BMI 約29.4 「肥満」

一方で「肥満症」は単に肥満なだけでなく、肥満に関連する健康障害が合併している、あるいは合併が予想される状態で医学的に減量を必要とする状態を言います。

《肥満に関連する健康障害とは》

1.耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)
2.脂質異常症
3.高血圧
4.高尿酸血症・痛風
5.冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症
6.脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作(TIA)
7.脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患/NAFLD)
8.月経異常,不妊
9.睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群
10.運動器疾患:変形性関節症(膝,股関節)・変形性脊椎症,手指の変形性関節症
11.肥満関連腎臓病

 

《肥満症でからだ中に障害が起きてしまう理由》

脂肪は単に脂肪として存在するだけではなく脂肪細胞からアディポカインと呼ばれる生理活性物質が分泌されます。この分泌は肥満の程度により制御されています。

善玉のアディポカイン=アディポネクチン :肥満で低下

悪玉のアディポカイン=TNF-α、MCP-1   :肥満で上昇

このアディポカインの分泌異常により脂肪組織の慢性炎症を起こし、全身にさまざまな障害を起こします。内臓脂肪は特にアディポカインの分泌に強く影響するため問題となります。

肥満症のこわいところは、今は体調に問題がなくても体の中でじわじわと病気が進み、高血圧や糖尿病、脂質異常症を経て、ある時突然脳卒中や心臓病を起こすところです。また、がんの原因にもなります。合併症を起こさないために、今から治療(対策)をしていくことが大切です。

 

《メタボリックシンドロームとの違い》

メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積に加えて高血糖,高血圧,脂質
異常を生じた状態です。

肥満症は肥満に健康障害が生じた状態です。内臓脂肪の蓄積は診断に必須ではありません。

どちらも内臓脂肪の蓄積が影響している病気であり重なり合う概念です。

《治療について》

肥満の90%以上は単純性肥満(食べ過ぎ、運動不足)で残りはホルモン異常(クッシング症候群、甲状腺機能低下症など)、薬剤による影響などが考えられます。ホルモン異常などがあればこれらの治療を行います。

単純性肥満の場合は食事・運動が基本です。まずは3%の体重減少を目標にしましょう。

 

1.食事

1日にご自身がとって良いカロリー(kcal)を計算してみましょう。

まず、ご自分の適正体重を当てはめて計算してみましょう↓

適正体重(kg) :身長(  )m × 身長(  )m× 22=(  )kg

例)身長が170㎝なら…1.7×1.7×22=約63㎏

→ 肥満症:1日あたり 25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

高度肥満:1日あたり 20~25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

栄養素の配分は糖質 50~60%, たんぱく質 15~20%,脂質20~25%が推奨されています。極端な糖質制限はあまり長期的な差はなく、あまりお勧めできません。たんぱく質が少ないと筋肉が減り、かえって代謝が落ちる場合があります。

具体的には

・ 野菜を多めに、食事の初めにとるようにしましょう。

・ 積極的に食べた方がいいもの(魚、食物繊維が多いもの)

魚、大豆、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、玄米、麦ごはん、雑穀 など

を多めにとりましょう。乳製品、果物、卵は適量を。

・ 塩分は1日6g未満(一度、自宅のはかりで6gをはかってみましょう)

減塩する為の工夫として、香辛料やハーブ、減塩味噌・醤油・ポン酢、

レモンなどを使ってみましょう(スーパーでも減塩調味料を売っています)

・ 動物性脂肪・コレステロールの摂取を減らす。

お肉の脂身、鶏肉の皮、バター、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ

菓子、レバー・臓物、たらこ・いくら等の魚卵 などを減らす

 

2.運動

体重が多い方は適正体重になるよう、速歩や歩行などの有酸素運動を週に5回程度行いましょう。

また、肥満指数(BMI)によって体重を減らすペースが異なります。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

3.飲酒量は減らして、たばこは禁煙しましょう。

これらの治療を6カ月以上行っても改善が見られない高度肥満症では胃を小さくする手術なども検討されます。

《最後に》

生活習慣病は、数ヶ月で検査値をよくしておしまい…ではなく、合併症を起こさないためにも年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。

タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

* 心臓病や糖尿病、腎臓病がある方は食事や運動に制限があることもあるので、

医師にご確認ください。

高尿酸血症

《高尿酸血症とは》

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0 mg/dlを超える状態のことです。

原因として最も多いタイプは、体質に過食や肥満・飲酒などが重なって起こります。この他に、特殊な遺伝病や他の病気(甲状腺機能低下症、慢性腎臓病、多血症など)に伴って起こるタイプ、他の病気の治療で使っているお薬によって起こるタイプもあります。

 

《尿酸値が高いと 何が問題なのですか?》

健康診断で「尿酸値が高いので生活習慣を見直しましょう。病院を受診しましょう。」と言われたけれど、症状がないのでぴんと来ない方もいらっしゃるかもしれません。

高尿酸血症は数字が高いことそのものが問題なのではなく、血液の中に溜まった尿酸が結晶(かたまり)になって体のあちらこちらにくっついて、様々な病気を引き起こすことが問題です。

痛風:主に手足の関節に尿酸の結晶がくっついて、急に関節が腫れあがります。「風が吹いても痛い」という名前のとおりの激痛です。尿酸値を下げないと、症状がいったん良くなっても度々くり返します。

尿路結石:尿路に結晶がたまると尿路結石となります。その激痛は大人の男性がのたうち回るほどです。

痛風結節:皮下にたまるとぼこぼことした膨らみができてしまいます。

痛風腎:尿酸の結晶が腎臓に沈着して腎臓が悪くなります。

この他に、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、狭心症や心筋梗塞などとも、深い関係があります。例えば、最近増えている慢性腎臓病ですが、高尿酸血症は慢性腎臓病の原因になり得ますし、更に腎臓が悪くなることで尿酸を外に出せなくなり、高尿酸血症が悪くなるという悪循環が起こります。

この様に、尿酸値が高いと全身に影響が出ることがあるので、症状がなくても医師と一緒に治療に取り組んでいきましょう。

《尿酸値が上がる原因は?》

体の中の尿酸は食品からの取り込み(プリン体など)が6分の1、体内で作られたエネルギーやDNAのかすが6分の5です。それらが主に尿中に排泄されます。このバランスが崩れると体内に尿酸が増えていきます。

《治療について》

高酸血症の治療は、まずは生活習慣の改善、次にお薬による治療です。

尿酸値がとても高く既に症状が出ている方は、お薬を始めます。尿酸値が少し高い位で無症状という方は、生活習慣の改善をして、それでもよくならなければお薬を始めることもあります。普段の生活で気をつけることを並べます。

1.食事

・ プリン体を多く含む食べ物の摂取を減らす

例:ビール(特に地ビール)、紹興酒、レバー、白子、エビ、イワシ、カツオ

・ 果糖を多く含む食べ物の摂取を減らす。

果糖は、ジュース・コーラなどの清涼飲料水、お菓子に含まれており、成分表示に「果糖ブドウ糖液糖」「フルクトース」と書かれています。

* 果糖は、くだものよりも清涼飲料水やお菓子に多く含まれているので、くだものは食べすぎなければ問題ありません。

「ジュースコーライラスト」の画像検索結果

・ アルカリ性食品を多く食べる。

尿がアルカリ化することで尿酸を排泄しやすくする効果があります。

例:ひじき、わかめ、干しシイタケ、ダイズ、ほうれんそう、人参、大根、サツマイモ、ジャガイモなど。

「ひじきイラスト 無料」の画像検索結果" 「根菜イラスト」の画像検索結果

・ 水分をよく飲む(特に夏は脱水にならないように)

水をよく飲んで尿を出すことで、尿酸の排泄につながり、尿路結石の予防にもなります。

・ 高血圧や脂質異常症の合併も多いので、食べすぎや塩分・油もののとり過ぎにも注意しましょう。

 

2.運動

体重が多い方は適正体重になるようにしましょう。速歩やマラソン、水泳、サイクリングのような有酸素運動も取り入れましょう。

短距離走や筋トレの様な無酸素運動は一時的な高尿酸血症を起こして痛風発作を引き起こすことがあると言われています。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

 

3.処方されたお薬は、毎日決まった時刻に飲みましょう。

お薬には、尿酸の排泄を促すものと尿酸の生成をおさえるものがあります。病状に応じて薬を選択します。

・尿酸の排泄を促す薬 ベンズブロマロン、プロベネシド

排泄を促すため、尿のアルカリ化が必須です。尿が酸性の状態で排泄が増えると尿路結石の危険が増します。このためウラリット🄬という尿をアルカリ化する薬を併用します。

・尿酸の産生を抑える薬 アロプリノール、フェブリク🄬、ウリアデック🄬

また、既に痛風になっている方は、痛風発作が来そうな時に飲むお薬や、痛みが出ている最中に飲むお薬もありますので、飲み方を医師によく聞いてください。

最後に:高尿酸血症は、数ヶ月で治しておしまい…ではなく、合併症を起こさないためにも10年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。お薬をうっかり飲み忘れてしまうときもあるでしょう。タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

 

糖尿病

《2型糖尿病とは》

私たちの体では、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンにより血液中の糖分がからだに取り込まれる仕組みになっています。ところが、2型糖尿病の方では、インスリン分泌が悪くなったりインスリンは出ていても働きにくくなったりすることで、慢性的に高血糖になってしまいます。

原因として、遺伝(体質)、過食や運動不足、肥満、ストレス、加齢などがあります。

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《血糖値が高いと 何が問題なのですか?》

血糖値が異常に高くなると、のどが乾く、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすいなどの症状が出ます。

 

しかし、初期のうちは無症状のことが多く、医師から「生活を見直しましょう。お薬を飲みましょう。」と言われても、調子が悪いわけではないのでぴんとこない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、糖尿病を治療しないで放置すると、恐ろしい合併症が起こります。

1.糖尿病の3大合併症

①網膜症…徐々に進行すると見えにくくなり、最悪失明に至ります。糖尿病の患者さんの20%くらいの患者さんに失明の危機があります。

②腎障害…尿にたんぱくが出たりむくんだり、貧血や高血圧になったりします。血液透析になる患者さんの一番多い原因は、糖尿病です。

③神経障害…手足のしびれ、感覚の低下

2.心筋梗塞、脳梗塞、足の血管がもろくなることによる足の潰瘍、感染症にかかりやすくなる、脂質異常症、高血圧、がん(特に大腸がん)など

これ以外にも多くの合併症が知られています。

 

この様に全身に影響が出てから糖尿病の治療を始めても、悪くなってしまった眼や腎臓、神経などの病気が改善することはほとんどありません。こうした糖尿病による怖い合併症を防ぐためにも、症状がなくても医師と一緒に治療に取り組んでいきましょう。

 

《検査値について》

糖尿病の状態を定期的に確認するために、採血や検尿を行います。

血糖値:その時の血液中の糖分を測定します。正常は126未満です。

HbA1c:過去1~2ヶ月の血糖値の平均を表します。体温と同じ、と覚えましょう。つまり、6.5%(6度5分)であれば正常、7%(7度)は微熱、8%(8度)は高熱、9%(9度)以上となったら重症です。もし、あなたが8度のお熱が出たら病院に行きますよね?

1.5AG:一日の中の血糖値の変動が多ければ低下する数値です。平均の数値が落ち着いていても食後に高血糖になっている場合は合併症が進行しやすい、と言われており安定している患者さんの血糖変動を見るのに有効です。

尿:たんぱく尿が常に出ているようになったら腎臓への障害が進行した状態です。アルブミン尿を見ることで早期の腎症を見つけていきます。

《治療について》

まず食事・運動による血糖値の改善が最初の治療になります。それでも改善しない場合に、お薬による治療になります。原因が他の病気にある場合は、そちらの治療も行います。血糖値やHbA1cをどこまで下げればよいかは、患者さんの状態によって異なりますので、医師にご確認ください。

 

1.体重管理

肥満の状態では血糖をからだに吸収させるインスリンの作用が鈍ります。これはぎゅうぎゅう詰めの押し入れに荷物を入れるのが難しいのと同じです。体重を落とし、適度な運動をすることで押し入れに余裕を持たせてあげましょう。

まずは毎日の体重測定が重要です。ご自身の健康管理の第一歩として同じ時間に体重をはかるようにしましょう。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

2.食事

1日にご自身がとって良いカロリー(kcal)を計算してみましょう。

  • 軽労働の方(デスクワーク、家事のみ):25~30 kcal×適正体重(kg)
  • 中間労働の方(立ち仕事、家事以外に家族の世話がある):30~35 kcal×適正体重(kg)
  • 重労働の方(力仕事が多い):35~ kcal×適正体重(kg)

食事内容については、食品交換表という表を使って1日の食事で何をどのくらい食べたらよいかを決めるのが最適です。

 

難しい場合は以下のことを参考に食事を工夫してみましょう。また、最近は外食でもカロリーを表示してあることが多いので、カロリーを見てから食べるものを決めましょう。

糖尿病の方は高血圧や脂質異常症も合併しやすいので、それらに対応した食事も示してあります。

・ 食事中の血糖値の急上昇を避けるために、野菜を先に食べましょう。

・ 甘いものは控えましょう。

甘いものだけでなく、塩っぽいお煎餅も食べ過ぎはカロリーや塩分のとり過ぎになります。果物も血糖値を上げやすいので、食べ過ぎに注意しましょう。

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おやつをどうしても食べたい時は、少量を食事の直後に食べましょう。間食として食事と食事の間に食べてしまうと、血糖値が1日の内で何度も急上昇してしまい、糖尿病が悪化しやすいです。

 

・ 積極的に食べた方がいいもの(魚、食物繊維が多いもの)

魚、大豆、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、玄米、麦ごはん、雑穀 などを多めにとりましょう。乳製品、果物、卵は適量を。

・ 動物性脂肪・コレステロールの摂取を減らす。

お肉の脂身、鶏肉の皮、バター、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ菓子、レバー・臓物、たらこ・いくら等の魚卵 などを減らす

・ 塩分は1日6g未満(一度、自宅のはかりで6gをはかってみましょう)

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減塩する為の工夫として、香辛料やハーブ、減塩味噌・醤油・ポン酢、レモンなどを使ってみましょう(スーパーでも減塩調味料を売っています)

 

3.運動

有酸素運動:速歩やマラソン、水泳、サイクリングのようなややきつい、と思う程度の運動が有効です。1日20分以上行うことがお勧めです。

筋力トレーニング:足や背中の筋肉を強くすることでインスリンの効果が高まります。

* 糖尿病以外に心臓病、腎臓病のある方や、眼の合併症がある方、糖尿病の状態が悪い方は、食事や運動に制限があることもあるので、医師にご確認ください。

3.飲酒量は減らして、たばこは禁煙しましょう。

4.処方されたお薬は、毎日決まった時刻に使いましょう。

5.定期的に眼科を受診しましょう。眼の合併症(網膜症)は気付かないうちに進行します。糖尿病の治療によって悪化する場合もあります。

6. 定期的に歯科を受診しましょう。糖尿病の方は歯周病になりやすいことが知られています。歯肉の炎症は糖尿病を悪化させ、歯を失うことで噛むことができなくなると血糖値が上がりやすくなります。

 

《お薬について》

糖尿病の治療のお薬には、飲み薬や注射があります。

飲み薬の中でも色々な効き方をするものがあるので、必ず指定された時に飲むようにしてください。例えば食「前」に飲むように指定されたお薬は、食事の直前に飲むことで効果が出るものなので、必ず食事の前に飲むようにしましょう。注射についても、必ず指定された量を決められた時間に打つようにしてください。

 

《注意すること》

糖尿病の方では、血糖値の管理がとても重要になります。

その際に、血糖値が極端に高すぎたり低すぎたりすると命に関わることもあるので、次のことを知っておいて下さい。

 

1.低血糖症状 について

お薬を使って治療をしている方は、具合が悪くてほとんど食べられないことが続いた時にお薬を使い続けると、低血糖を起こすことがあります。また、食べられていても仕事や運動をし過ぎて糖が消費されて、低血糖になることもあります。

低血糖になると、心臓がドキドキする、冷や汗が出る、気持ち悪い、手が震える、頭が痛い、眠い などの症状が出ます。普段と違うこれらの症状が出た場合には、飴を一粒なめたりジュースを飲んだりしてください。それでも症状が続く場合には、速やかに受診してください。

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万が一に備えて、外出の際は飴などを持ち歩くことをおすすめします。

もし、具合が悪くて長く食べられないようなことがあれば、お薬を使い続けるべきか医師にご相談ください。

2.異常な高血糖 について

糖尿病の治療経過が良い方はさほど心配する必要はありませんが、まれにひどい感染症やストレス、下痢、脱水、インスリン治療の中断・減量などが引き金となり、極端な高血糖になることがあります。

症状としては、口が乾く、脈が速くなる、血圧が低くなる、気持ち悪くなったりお腹が痛くなったりする、ぼーっとする などがあります。

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低血糖の症状と似ていますが、低血糖と違い冷や汗が出ません。

普段はさほど心配しなくて良いのですが、もし上に書いてあるきっかけと症状に当てはまることがあれば、速やかに受診してください。

3.お薬の飲み忘れ、打ち忘れ について

・飲み薬を飲み忘れたことに気付いたら…

食前のお薬は、気付いたのが食事中や食直後であれば、その時に飲んでください。食後のお薬は、気付いたのが食後1~2時間以内であればその時に飲み、それ以降であれば次の食事の時からまた飲んでください。次の食事の時に、忘れた分もまとめて飲まないように!

・インスリンを打ち忘れたことに気付いたら…

インスリンの種類や量によって対応が異なるので、忘れてしまった場合の対応を事前に医師に相談しておきましょう。

 

・インスリン以外の注射薬は、食事とは関係なくいつ打ってもよいです。

 

最後に

糖尿病は、合併症を起こさないためにも10年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。

お薬をうっかり飲み忘れてしまっても、そういう時もあるでしょう。タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

鉄欠乏性貧血

(※このブログは2020年7月12日に更新しました)

鉄欠乏性貧血とは、鉄分の不足によっておこる貧血です。
貧血の中では一番多い病気です。鉄欠乏性貧血の原因と治療について血液内科専門医が解説します。

《鉄欠乏性貧血の症状は?》
息切れ、動悸、疲れやすさなどの症状がおこります。
長い時間かけて進行していると自覚症状は感じにくいことがあります。
これは1つあたりのヘモグロビンが運べる酸素量が増えるためです。
しかし、ヘモグロビンが7 g/dlを切るようになると運搬効率を上げても対応できなくなり安静にしていても心臓に負担がかかってきます。
また、特有の症状としてさじ状爪と言われる爪が反り返るような所見や異食症と言われる氷などを食べたくなるような症状が現れることもあります。

《鉄欠乏性貧血の原因は?》
必要量と失う量のバランスが崩れたときに鉄欠乏性貧血になります。
原因として以下のようなものがあります。
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➀出血
月経:他人と月経の量を比較することは少ないため自覚されていない方が多いです。一般的に下腹部に力を入れると血液の塊が出る夜用ナプキンを昼にも使うような方は月経過多と考えられます。
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婦人科系の病気;子宮筋腫や子宮内膜症などで出血が増加することがあります。絶対に見逃してはいけない疾患として子宮がんがあります。

慢性の消化器疾患:胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、痔など。胃がん大腸がんは絶対に見逃してはいけません。

鉄欠乏性貧血の際には婦人科での診察、便潜血検査などを実施し、出血の原因となる病気を見逃さないことが重要です。
また、出血を起こしやすい病気があれば評価が必要です。

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➁需要の増大
妊娠・授乳:胎児や乳児のために必要量が高まります。妊娠中期以降は普段の約2.4倍の鉄分の摂取が必要です。不足により容易に貧血になります。

成長期:筋肉の発達に伴い鉄の需要が増します。このため成長期には男女問わず鉄分を多く摂取する必要があります。特に激しい運動をするお子さんでは汗や尿中への鉄の喪失、筋肉トレーニングによる筋肉の著しい発達により普通のお子さんより貧血になりやすい傾向があります。スポーツや学校の成績にも直結します
中学生、高校生は採血する機会があまりないと思いますが、原因不明の成績低下などの際には疑ってみましょう。

(2015年日本人の食事摂取基準より)

➂摂取不足
欧米では多くの国で小麦粉への鉄の添加を行っており鉄欠乏性貧血の割合は激減しています。一方で日本人は2001年以降、平均8㎎以下まで減少し慢性的な鉄不足の状態です。過度なダイエット、インスタント食品の多食、偏食は鉄の摂取不足をさらに悪化させます。

④吸収の低下
胃の手術後や慢性胃炎、強力な胃薬の長期内服により胃酸が出ない状態が続くと鉄の吸収が減少します。

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《治療について》
鉄分の補充と出血源のコントロールが治療の中心となります。
鉄分の補充は貧血が回復後、血清鉄、さらに貯蔵鉄(フェリチン)が回復するまで行います。
鉄欠乏性貧血は鉄の借金をしている状態ですので貧血から回復し、貯金ができるまで治療を続けないと簡単に借金生活に戻ってしまいます。
体調が良くなっても粘り強く治療を続けましょう。

➀鉄剤の内服
フェロミア🄬、フェロ・グラデュメット🄬、フェルム🄬などを内服します。
内服により10~20%くらいの患者さんに吐き気、便秘、腹痛、下痢などの消化器症状が生じます。
内服時間や回数の変更(2日に1回の内服)、内服薬の変更(当院ではインクレミンシロップ🄬を処方することがあります)で対応可能なことがほとんどです。

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➁鉄剤の静脈注射
重症の貧血の場合、副作用が強く鉄剤を飲めない場合、胃などの病気のため吸収が非常に悪いときなどに行います。むやみに静脈注射を続けると鉄過剰症を起こし肝臓、腎臓、心臓、すい臓などの機能が落ちることがあるためです。
ときにサラセミアなど鉄欠乏のない患者さんに静脈注射が行われ、鉄過剰症を起こしているケースも見受けられます。静脈注射を行う際には専門医で行うことをお勧めします。

➂出血のコントロール
出血源の治療、止血剤の投与(トランサミン2000mg/日:欧米では4000mg/日使われますが日本の保険では最大2000mg/日)、女性の過多月経であれば低用量ピルの内服などにより出血量を減らすことも重要です。

《鉄の多い食べものとは》
鉄と言えば「レバー」と思い浮かぶかも知れませんが、毎日食べるのはなかなか難しいように思います。
私のお勧めはあさりです。
日本の土には鉄分が少ないため野菜からの摂取は難しいようです。


(引用:鉄剤の適正使用による貧血治療指針「日本鉄バイオサイエンス学会」)

なお、サプリメントは鉄の補充方法として有効ですが、1日に摂取できる鉄の量は10㎎程度です。

【最後に】鉄欠乏性貧血は国民病と呼べるほど多くの患者さんがいるものの専門的な評価が行われず鉄剤だけ内服し続けている方が多いのが現状です。貧血を起こす原因も含めて治療をしていくことが大切です。

 

睡眠時無呼吸症候群

《睡眠時無呼吸症候群とは》
肥満や加齢などにより気道が狭くなること、あるいは呼吸調整システムが不安定化することでいびきや呼吸停止が生じる病気です。10秒以上の呼吸停止が1時間あたり5回以上みられることで診断されます。

《症状》
多くの方は一緒に睡眠をとっている人から「いびき」「無呼吸」を指摘されます(90%程度)。

日中の過剰な眠気、熟睡できない、だるい、夜間頻尿、集中力の低下などさまざまな症状を起こします。

《睡眠時無呼吸症候群の何が問題なのですか?》
狭心症、心不全、脳卒中、心房細動、大動脈解離、突然死など命に関わる重大な合併症を起こしやすくなることが知られています。また、夜間や早朝の血圧があがるタイプの危険な高血圧や糖尿病になりやすいことも知られています。

日中の過剰な眠気は居眠り運転による重大事故や作業効率の低下にもつながる可能性があります。

《検査について》
携帯用の機械による簡易検査を行います。当院では下図のウォッチパット ユニファイド (フィリップス🄬) を貸し出し、検査を実施します。

指先のセンサーで体の中の酸素の状況と覚醒状態をモニターし、胸部につけるセンサーで体の動きを検査します。鼻のモニターなど煩わしい機械は不要でどなたでも簡単に検査を行えます。

この検査で軽症~中等症の睡眠時無呼吸症候群と判断された方や持病に心不全などがある方については入院で行う精密検査 (終夜睡眠ポリグラフィー) が必要ですので当院より紹介させていただきます。

《治療について》
睡眠時無呼吸症候群は、年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めからがんばり過ぎず、無理のない範囲で治療していきましょう。コツは、「多少細くても長く続けること」です。次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

1.生活習慣の改善
体重が多い方は脂肪により喉が狭くなるため減量をおすすめします。

アルコールは喉の筋肉の緊張を緩め気道を狭くする原因になります。就寝前の飲酒は控えましょう。

30分~60分の有酸素運動を週に4回以上行いましょう。

喫煙は気道の炎症を起こし気道を狭くするため控えましょう。

2.持続気道陽圧(CPAP)

鼻マスクを通して気道に圧をかけることで気道の閉塞を防ぐ機械です。出張などの際にも持ち運びが可能なほど小型で、治療の記録はインターネットを通してご自身とクリニックで共有することが可能です。治療により日中の眠気や生命予後の改善が期待できます。

3.口腔内装置
CPAP療法が続けられない、あるいは軽症でCPAPは導入できないが自覚症状のある患者さんでは下あごを固定する装置が使われます。専門的な歯科での作成が必要なため対象となる方は専門医をご紹介いたします。

気管支喘息

《喘息(ぜんそく)とは》

気管支喘息(きかんしぜんそく)は、色々な原因によって空気の通り道である気管支に炎症が起こり、気管支が敏感になったり腫(は)れて狭くなったりする病気です。咳やゼーゼー・ヒューヒューといった音がする、息が吐きづらい、胸が苦しいなどの症状があり、特に朝や夜に症状が出やすいです。この症状を「発作」といいます。一年中症状が出る方もいますが、秋になるような少し肌寒い季節への変わり目に起こりやすかったり、冷たい空気の中で運動したりした時に起こる方もいます。発作に至らなくても息苦しさなどの症状が喘息が原因である場合もあります。

発病する原因には色々なものがありますが、代表的なものを示します。

<体質>
・ご本人がアトピー皮膚炎や花粉症、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を持っている場合、もしくは血のつながった家族に喘息を含めたアレルギー疾患がある場合。
・肥満

<環境>
・ダニやハウスダスト、ペットの毛・ふけなどの家の中のほこり類。
・風邪をきっかけに気道が敏感になって、発病することもあります。
風邪のあとに空咳が長びき、‘咳喘息’と診断されることもあります。

<原因かつ症状を悪くしやすいもの>
大気汚染、運動(特に寒い季節)、喫煙、香りのきつい石けんやシャンプー・化粧品など、天気(寒さや台風の前後などに悪化しやすい)、生理・妊娠

* ダニやハウスダストなどが原因と疑われる場合にはアレルギー検査をすることが出来ますので、医師にご相談ください。

《診断について》
問診などで喘息が疑われる場合は、まずレントゲン撮影を行い肺炎などほかの咳がでる病気がないか確かめます。その後呼吸機能検査を行い診断していきます。治療後に改めて呼吸機能検査を行うことで喘息の診断が確定します。

《治療について》
普段使う喘息治療のお薬には、飲み薬や吸入薬があります。症状がとても重くなった場合には、点滴や注射をすることもあります。

基本的には、気道の炎症をおさえるために 毎日のステロイド吸入薬 + 喘息の重症度に応じた飲み薬や吸入薬 という組み合わせで治療します。ステロイドというと不安に思われる方もいると思いますが、吸入薬では全身投与の場合の100分の1程度の薬を肺に直接届けるため副作用は起こりにくいです。そして発作が起きた時は、また別の吸入薬を使います。当院では吸入器具がうまく使えないお子さん、高齢者、喘息の症状が強い患者さんにネブライザーの貸出、スペーサーの配布も行っています。

 発作時の吸入薬だけを頻繁に使っていると、喘息が悪化することがあるので、毎日の基本的なお薬もあわせてしっかりと使いましょう。

とても軽い発作が年に1-2回程度という方は、その時だけお薬を使うこともありますが、医師からの説明をお聞きになって下さい。

 

《こんな時は病院を受診しましょう》
・いつもぐらいの軽い発作が起きて吸入薬を使ったけれど、良くならない。
・中発作(明らかにゼーゼー・ヒューヒューする、息を吐きづらい、横になっているより座っていた方が息をするのが楽、歩くと息苦しい、苦しくて話したり食事をしたりするのが少し~とてもつらい)以上の症状が出てきた時。

悪化すると息ができなくなってきてしまう恐れがあるので、普段使っているよりも強い点滴が必要になることもあります。

《普段の生活で気をつけること》
1.発作や症状の悪化を防ぐために
家の中のほこり類をこまめに掃除する。
石けんやシャンプー、化粧品、ヘアスプレーなどで香りのきついものは気道を刺激してしまうので、なるべく避ける。
漂白剤やトイレ・お風呂掃除洗剤を使う時は、マスクをするとよい。
寒さで症状が出やすい場合は、秋冬の外出時はマスクをつけて加湿する。

2.吸入ステロイドを使うときの注意
私たちは誰でも口の中に常に菌をたくさんもっていますが、その菌たちは普段は特に悪さをすることなく、目にも見えません。ただ、吸入ステロイドを使った後にステロイドが口の中に残っていると、特にカンジダという菌が増えやすく、舌やほお・上あごに白いヨーグルトの様なもの(菌)がつくことがあります。これが増えてしまうと、味覚がおかしくなったり肺炎につながったりすることがあるので、吸入ステロイドを使った後は必ずガラガラ・ぶくぶくうがいをするようにしましょう