糖尿病の検査の限界について

糖尿病の管理ではいくつかの指標を使います。
一般的には血糖値、HbA1cが用いられ、多くの患者さんはこの2つで管理できます。
患者さんがほかの病気を持っている場合や特定の薬を内服している場合にはこれらが役に立たないこともあります。
今回は糖尿病の検査における落とし穴について解説したいと思います。

【そもそもヘモグロビンA1cとは?】

ヘモグロビンは赤血球の中に含まれる酸素と結合するたんぱく質です。
通常は2つのα、2つのβから構成されます。
血糖値が高い状態だとヘモグロビンに糖分がくっつきヘモグロビンA1cが作られます

 ヘモグロビン(Hb)

 ヘモグロビンA1c(HbA1c)

いったんヘモグロビンに糖分が結合してヘモグロビンA1cが作られると赤血球の寿命が尽きるまで壊されません。
このため赤血球の寿命( 120日)の間にどれだけ糖分がくっついてしまったか?=血糖値が高い状態がどのくらいあったのか?をヘモグロビンA1c/全ヘモグロビン(%)で調べることができるのです。
1~2か月前の血糖値の状態を知るのに最適です。

【ヘモグロビンA1cが正確に評価できない場合とは?】

ヘモグロビンA1cは赤血球が120日の寿命であることが大前提です。
このため赤血球の寿命が通常と異なる方では異常値が出る可能性があります。

主な原因を説明します。

➀輸血のあと

いちばん極端な例ですが、たくさんの赤血球輸血をされたあとではもはや誰の血を検査しているのかわかりません。

➁貧血の回復期 → HbA1cは低くなる(下図➁)
・鉄欠乏性貧血に鉄剤を投与した
・ビタミンB12欠乏性貧血にビタミンB12を投与した
・腎性貧血にエリスロポエチンを投与した
など、赤血球の造血がさかんになると若い赤血球(糖分にさらされていないヘモグロビン)が増えるためヘモグロビンA1cは低下します。

➂溶血性貧血、脾機能亢進(ひきのうこうしん)→ HbA1cは低くなる(下図➂)
・赤血球の膜に生まれつきの異常がある
・赤血球を攻撃する抗体をもっている(溶血性貧血)
・赤血球を壊す機関である脾臓が腫れている(肝硬変)
では赤血球の寿命が短くなりヘモグロビンA1cは低下します。

④慢性の鉄欠乏性貧血 → HbA1cは高くなる(下図④)
・赤血球の寿命が延長し、糖分に接する機会も多くなるためヘモグロビンA1cは高めになります。

赤血球の寿命とHbA1c

健康    

➁回復期   若いHbが多い

➂溶血    寿命が短い

④慢性貧血  寿命が長い

【ヘモグロビンA1cが正確に測れないときにはどうするの?】

グリコアルブミン(GA)が適切です。

この検査では体の栄養成分であるアルブミンというたんぱく質に結合した糖分の割合を調べます。
HbA1cと同じく血糖が高い状態が続くとグリコアルブミンは増加します。

アルブミン  

グリコアルブミン 

アルブミンは体の中から15日くらいで半減するため過去1か月、なかでも2週間くらいの血糖の状態をみるのに最適です。
ヘモグロビンA1c × 3 =グリコアルブミン くらいで換算されます。

ただし、ヘモグロビンA1cと同様にアルブミンの代謝が早くなっている場合(バセドウ病、ネフローゼ症候群、ステロイド製剤の使用中)には低下するために注意が必要です。

【血糖値が乱高下しているときにはどうするの?】

ヘモグロビンA1cは1~2か月の血糖値の平均を表します。

たとえば下の図で黒線で示したAさんは血糖が乱高下していますが、平均するとHbA1c 7%(青線)です。緑色のBさんも同じくHbA1cでは7%ですが、血糖値の変動は少なくなっています。

臨床の場面では
Aさんは食後に血糖が高くなったり夜間に低血糖を起こしたりしている人
Bさんは一日の変動も日毎の変動も少ない人
のことを表します。
血糖が乱高下すると自律神経の緊張が高まり脳卒中、心筋梗塞などの危険が高まることが知られています。
Aさんの治療をより適切な方法に導くためにはどうすればよいでしょうか?

こういうときには

1.5アンヒドロ-D-グルシトール(1.5AG)

を測定することが有効です。

1.5AGは血糖に似た物質で、腎臓で「ろ過されたのち99%が再吸収」されます。
しかし、高血糖になると腎臓では尿中に排泄される血糖の再吸収に手いっぱいになるため1.5AGは尿中に出て行ってしまいます。
つまり、血糖が一時的にでも高くなると血液中の1.5AGは低下するのです。
食後血糖が上がっているような患者さんでは1.5AGが下がるため数日間の患者さんの血糖変動を見るのに有効です。

もちろんここでも検査の限界はあります。尿中に糖分を排泄させる薬(SGLT-2阻害薬)を内服中の患者さんでは1.5AGが低下してしまうため検査に適しません。

その場合には自己血糖測定器あるいは「持持続血糖測定器」が有効です。

【まとめ】
多くの方は血糖値とHbA1cで十分な評価ができますが、一部の患者さんでは適切な検査方法を選ぶことで糖尿病をより良いコントロールにすることが可能になります。
また、HbA1cが安定した患者さんでは1.5AGを測定し日内変動も抑え、合併症を減らすことが可能となります。

【最後に】
糖尿病の検査の限界について赤血球寿命が気になる血液内科医が解説しました。
健康診断でHbA1cが低いと言われた方は赤血球寿命に異常のあることが疑われます。
血液内科へご相談ください。

白血球数の異常について

健康診断などで「白血球が増えている」 あるいは「白血球が減っている」ことを指摘されご心配されている方が多いことと思います。
ここでは白血球数異常について解説したいと思います。

《そもそも白血球とは?》
白血球とは血液の工場である骨髄(こつずい)中で作られる血液細胞です。
ばい菌、ウイルス、カビなどから身を守るためにはたらきます。

《白血球数の正常値は?》
人間ドック学会による基準では正常値 3100~8400/μL、軽度異常 8500~9000/μL、要経過観察 9000~9900/μL、要医療 3000/μL以下あるいは10000/μL以上とされています。数と原因、重症度は必ずしも一致しません
参考;人間ドック学会基準値

《白血球の種類と役割は?》
ひとくちに白血球と言っても白血球の中にはいろいろな種類があり、それぞれ役割が異なります。

【顆粒球(かりゅうきゅう)】
細胞の中に殺菌成分のある粒々が入っている白血球です。以下の種類があります。

好中球(桿状球、分葉核球):細菌などの異物を食べて除去する。桿状球は若い好中球で分葉核球は成熟した好中球です。

好酸球:寄生虫と戦う。アレルギーにも関係する。

好塩基球:アレルギーに関与する。

【単球・マクロファージ】
殺菌
リンパ球に敵や腫瘍(がん)の存在を知らせてリンパ球の活動を助ける

【リンパ球】

B細胞:
ばい菌やウイルスをやっつける抗体をつくる。
T細胞:
ウイルスに感染した細胞や腫瘍(がん)細胞をやっつける
ほかのリンパ球の働きを調整する。
NK細胞:
腫瘍(がん)やウイルス感染細胞を排除する。

《白血球数異常の際にはここを見ましょう》
➀ほかの血球(赤血球、血小板)はどうなっている?

●白血球数のみの異常
健診で見つかる白血球増加では、多くは肥満、喫煙が原因です。
感染症では白血球の増加、減少ともに起こす場合があります。
まれな原因としてホルモン異常、薬剤、膠原病、アレルギー、がん などでも起こることがあります。
➁のように増減している白血球が何か、を調べていきます。

●白血球、赤血球、血小板ともに増えている
すべての血液のもとになる幹細胞での異常を考えます。
具体的には骨髄増殖性腫瘍(慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症)が疑われます。

●白血球は増え、赤血球は減少している。血小板は変わらないか多い。
慢性の炎症、あるいは腫瘍を考えます。
炎症が続くと鉄がうまく使えなくなり貧血になります。

●白血球、赤血球、血小板ともに減少している。
すべての血液のもとになる幹細胞の異常(骨髄不全症:再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、発作性夜間血色素尿症)
すべての血液を作るのに共通する栄養素の不足(ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血)
脾臓が腫れて血液の寿命が短くなる肝硬変
などを考えます。

●白血球は増えているが赤血球、血小板は減っている
急性白血病、がんの骨髄転移、重症感染症などを考えます。

白血球 赤血球 血小板 代表的な病気
骨髄増殖性腫瘍
なし
↑ or → 慢性炎症、腫瘍
急性白血病
なし
なし
なし
骨髄不全、肝硬変

白血球が増加し、赤血球と血小板が減少している場合は急性白血病も考えられるため緊急で受診することが必要です。

➁白血球のどの成分が増えている、減っている?
次に白血球を目でみて分類し、どの血球が増えている、あるいは減っているかを検討します。
正常な成分が増えている、あるいは減っている場合にはゆっくり原因を調べていきます。
その場合は原因があるもの、血液の増減自体が病気であるもの、の2通りが考えられます。
一方で異常な血球が出ている場合には白血球数に関わらず緊急な場合もあり血液内科専門医への受診が必要です。
(例:急性前骨髄球性白血病では白血球数は増えないことがありますが、1日の受診の遅れが致命的になることがあります。)

【正常な成分が増えている場合】
好中球:感染症、ケガ、クッシング症候群など

好酸球:アレルギー(気管支喘息、アレルギー性鼻炎など)、寄生虫感染症、血液腫瘍、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症など

 

単球:慢性の炎症、血液腫瘍、がん、抗がん剤治療後など
リンパ球;ウイルス感染症、慢性リンパ性白血病(一見正常に見えます)

【異常な成分が増えている場合】
骨髄芽球:急性骨髄性白血病、進行期の骨髄異形成症候群など
前骨髄球:急性前骨髄球性白血病など
幼若白血球(骨髄芽球~後骨髄球)が全体に増える:慢性骨髄性白血病、がんの骨髄浸潤、重症感染症、抗がん剤治療後、G-CSF使用後など
異型リンパ球:ウイルス感染、悪性リンパ腫、リンパ性白血病など

【正常な成分が減っている場合】
好中球:重症感染、自己免疫疾患、抗がん剤治療後など

リンパ球:ウイルス感染、栄養不良、ステロイド治療、抗がん剤治療後など

以上のように白血球ひとつでもいろいろと病気は考えられますが、ほかの血球との関係性、どの白血球に問題があるのか、を調べていくことで診断していくことが血液内科で行う診療となります。

《まとめ》
白血球の数の異常を指摘された場合はまず他の血球との関係性を確認します。
白血球数だけに異常がある場合と他の血球に増減がある場合に考えられる病気が異なるからです。
そのうえで白血球の中身を確認し、どの血球が増えているあるいは減っているかを調べます。
異常な血液が出ている場合には早急な対応が必要です。
正常な成分の増減については慎重に調べていく必要があります。

《最後に》
近くの先生に相談する際にはぜひ「血液検査で血液像(目視)」をオーダーしてもらうようにしてください。
また、芽球がみられ、出血傾向(鼻血、ぶつけていないところに青あざなど)がある場合は脳卒中や心筋梗塞と同じくらいの緊急事態ですので早めではなくただちに血液内科にお問い合わせください。

オンライン診療について

新型コロナウイルス感染症の対策としてオンライン診療を開始しました。
厚生労働省による「時限的・特例的な処置」であり仕組みが刻々と変化する可能性があります。
当面は初診よりお使いいただけます。

【対象となる患者さん】

●高血圧、脂質異常症、糖尿病、気管支喘息などでかかりつけの患者さん
(オンライン再診外来)
予約に必要なQRコード、同意書は来院時にお渡ししています。
来院する予定がなくオンライン再診を希望される方はお電話で相談ください。
病状からオンライン診療で診療可能な場合、招待メールをお送りします。
同意書は次回来院時あるいは郵送で取得させていただきます。

●当院初診の患者さん(オンライン初診外来)
本来初診は基本的に対面診療をお勧めしています。
ご自身の病状、これまでの治療内容などを確実に確認できる場合以外はぜひ来院ください。(当院は感染対策を積極的に行っています。)
完全な初診の場合、処方日数は7日以内とさせていただきます。
また、薬の内容によってオンライン初診外来で処方できないものもあります。

●当院で健康保険による検査を受けられた患者さん(オンライン検査結果説明)
これまでどおり、血液検査の結果は院長が確認し明らかな異常があれば電話連絡しています。
結果を早く知りたい方、遠くから来院されている血液内科の患者さん、新しい薬を処方し副作用の確認のために採血した患者さん、にこの項目をご紹介しています。
オンラインで結果をお送りすることができます。

利用手順
1. スマートフォン・タブレットでCLINICSアプリをダウンロードしてください。
2.アプリを利用してアカウント情報などを登録し、オンライン診療の予約を入れてください。
*事前に保険証の登録をお願いいたします。
3.予約の時間になりましたら、こちらからスマートフォンのアプリへ連絡して診療を行います。
4.診察の費用はクレジット決済いたします。診察時間によっては翌日あるいは直近の診療日(医療事務が来院する日)に請求させていただきます。
5.薬の受け取りについて

ご自宅近くの薬局で受け取りを希望される場合は、①最寄りの薬局にFAXをお送りする(薬局名、FAX番号をご用意ください)、②レターパックでご自宅に処方箋をお送りする、のいずれかをお選びください。

薬局の指定のない場合は当院の最寄りの薬局へ処方箋を送ります。薬局から電話連絡がありますので、薬の受けとり方法についてご相談ください。

*上記の利用手順はあくまでコロナウイルス対策の時限的・特例的措置ですので、通常のオンライン診療の手順と異なります。

*オンライン診療ではシステム管理料・通話料(500~1,000円)を保険外で請求させていただきます。システム使用、処方箋の郵送などにかかる実費としてご理解ください。

血液内科専門医がいる施設

血液の病気の患者さんは免疫が落ちていたりするため通院についてのご不安に思われているのではないでしょうか?
・新型コロナウイルスの影響で通院先の病院の外来が閉鎖・縮小した
・かかりつけの先生ところまで行くほどではないけれど心配なことがある
などの際に近くに頼れるクリニックがあれば患者さんにとって大変心強いものと思います。
お近くの血液内科専門医を探すために血液学会の専門医名簿より地図を作成しました。ご活用ください。
記載している施設のなかには小児科専門、血液内科の臨床を離れている、週に1~2回しか専門の先生がいらっしゃらないなどの医療機関もあります。
必ずしもすべての施設が万全な体制で診療ができることではないことをご理解いただき参考になさっていただけますと幸いです。
 ⇔ 

埼玉県の血液内科医マップ
千葉県の血液内科医マップ

当院のコロナウイルス感染対策について

※この記事は2020年7月3日、8月18日、12月15日に更新しました。

当院のコロナウイルス感染対策についてご紹介いたします

【感染のリスクを避けた受診方法を選択ください】
①来院
明らかなコロナウイルス濃厚接触者、海外渡航歴などがある場合には来院前にご連絡ください。
それ以外の患者さんは通常通りの診察をいたします。
当院は当日でも診療予約をお取りいただけます
体調の悪い患者さんも少ない待ち時間で受診していただけるようにしております。
電話でご相談ください。
インターネットの予約サービス、受付サービスもご利用ください。
(受付サービスは予約ではありません。)

②電話再診
当院かかりつけの患者さんで病状に特に変化がない方は電話再診をご利用ください。
来院している患者さんのいない時間に院長より電話させていただきます。
普段お使いになっている調剤薬局が決まっている方はご連絡いただければ当院よりFAXを送り、薬局での待ち時間も最短にいたします。
なお、診察や検査が必要なときには来院いただくこともございます。

オンライン診療
オンライン診療を始めました。クレジットカードでの決済が可能です。病状の安定していない方、診察や検査が必要なときに来院していただけない方は対象外とさせていただきます。

【新型コロナウイルス対策として院内の感染対策を強化しています】
①来院者全員に手指消毒、マスク着用をお願いしています。
マスクのない方には当院よりお渡しします。マスクが無いことが受診を遠慮いただく基準にはなりません。(マスクは出来るだけご自身でご用意ください。)

②来院者どうしが接触する可能性を極力減らしています。
4月8日より株式会社メディヴァンス様のご厚意で空きテナントを貸与いただき臨時待合室を作りました。院内では2人のみお待ちいただけます。自動車内でお待ちいただくことも可能です。

③徹底した換気を行っています
院内は常時換気を行っています。レントゲン室については使用後に換気装置を使って空気を入れ替えます。

④紫外線照射装置を使用しています
紫外線照射装置を専用ロッカー内に設置しました。患者さん毎に白衣を紫外線照射しています。問診に使ったファイルやフェイスガードなども紫外線照射しています。

専用ロッカーに紫外線照射装置を設置 専用ロッカーに設置した紫外線照射装置

⑤診察室にパーティションを設置しています
直接患者さんと医師、看護師が接することがなくなるため感染のリスクを減らすことができます。それぞれの診察室は患者さん毎に消毒を行うため交互に使用します。

診察室1 オンライン診療もこちらで行います

診察室2

⑥受付にアクリル板を設置しています
対面になる受付にもアクリル板を設置しています。来院者と事務員との直接の接触を避けるようにしています。

診察室に光触媒除菌脱臭機を設置しました。
ウイルス不活性化を謳う市販電気製品では残念ながらウイルスの予防効果はありません。そこでUV-LEDを用い、ウイルス不活性化が期待出来る製品を導入しました。

⑧カード決済・交通系電子マネーでの決済を始めました。(2020年7月3日~)
金銭のやり取りによる感染予防のためにカード決済を開始しました。
スタッフの教育期間のため当面は自費診療に限らせていただきます。ご了承ください。(利用できるクレジットカード;VISA、JCB、MasterCard、AMEX、Diners Club、DISCOVER)

バリフロー(陰圧ブース)を導入しました。
発熱患者さんの隔離、検査などの際にはこちらを利用しています。

【患者さんへメッセージ】
当院はできる限りの感染対策を今後も進めてまいります。コロナウイルス感染症の流行に伴い夜間の救急受診などはますます困難となっています。体調不良などの際には日中にクリニックを受診していただき早めの対応をすることをお勧めいたします。当院は明らかな重症例を除き基本的にすべての患者さんを拝見いたしますのでご相談ください。

【当院で使用中の感染対策グッズのご紹介】
医療機関の関係者の皆様のご参考に情報提供いたします。さらに良い方法があれば情報提供をお願いいたします。

紫外線照射ロッカー
エディアロッカー BWUH-S89SAWN コクヨ/KOKUYO 両開き書庫 269545
紫外線照射装置
電源アダプタ:サンワサプライ日本専用マルチタイプ電源変換アダプタ TR-AD5W
スイッチ付き延長コード:ELPAスイッチ付延長コード5m W-S1050B(W)
突っ張り棒:(まったく同じものがないので一番近いものをリンクしました)

換気装置
フローバル両ラッパ型送風機 フレキシブルダクト PFW-300S
延長ダクト トラスコフレキシブルダクト RFD-320S

受付アクリル板

光触媒除菌脱臭機

【最後に】
当院の感染対策にあたって、マスク、防護服などをお送りくださった方々にこの場を借りて深謝いたします。ありがとうございました。

新型コロナウイルス感染症の発生と当院の診療姿勢について

※この記事は2020年7月17日に更新されました

【当院を受診された患者さんから新型コロナウイルス感染が確認されました】
3月下旬に当院を受診された患者さんがコロナウイルス感染者の濃厚接触者であることが判明し後日接触者の調査の過程でこの患者さんも新型コロナウイルスに感染していたことが判明しました。(患者さんが特定されるため日にちの公表は差し控えます。)ただし、当該患者さんの受診前後には待合室に患者さんがいらっしゃいませんでした。また、数日前に他の医療機関で抗生剤の処方を受けていたが発熱していた、との情報があり当初よりコロナウイルス感染者の可能性を考慮し院長のみで防護服(品切れで購入できないため90リットルのごみ袋を頭から被った)を着用して対応し、診療後はただちに院内の消毒を行いました。これらの対応について保健所より「患者さんも先生が防護衣を着ていたのではっきり覚えていました。」とのことで濃厚接触者なし、通常通り診療を続けてよい、とのコメントをいただいております。スタッフについては濃厚接触者はいないことからPCR検査の対象外とされました。
当初は当院を受診された患者さんに余計な不安を与えると考え公表は控えるつもりでしたが、ハレノテラス館長名で不確かな情報が各テナントに配布され同日中に地域に拡散してしまい当院のスタッフやご家族まで好奇の目にさらされるに至ったことから今回公表することにいたしました。

【今後も当院は地域医療における役割を果たします】
新型コロナウイルス感染症の流行では医療崩壊の危険が叫ばれています。そもそも総合病院は昨今の補助金削減などの影響で入院日数を減らし稼働率をあげることでどうにかやりくりしています。余剰のベッド、人員は最初から無いなかで今回のコロナウイルスの問題が発生しています。
地域の開業医はコロナウイルス感染症ではない通常の発熱や咳の患者さんを見極め治療をすること、コロナウイルス感染症が疑われる患者さんを適切な医療機関にご紹介することで病院の先生方をサポートし地域の住民に貢献することが求められます。昨今発熱や咳があるだけで診療を拒否される、という話も聞かれますがすべてを総合病院に丸投げしたら総合病院の先生方はますます疲弊し医療崩壊は必至です。当院では今後も開業医としての役割を果たします。
一方でクリニックに通院される普通の患者さん、スタッフを守ることも必要です。当院では80%が無症状あるいは未検査と言われるコロナウイルス感染症に対しては来院されるすべての患者さん、スタッフともにコロナウイルス感染者かもしれない、という考えで接しております。常時換気、来院者全員のマスク着用と手指消毒、待合室での患者さんどうしの接触予防のための予約制と電話呼び出し、電話再診、1日3回以上の院内清掃(発熱者がいた場合は診療直後)、ゴーグルや防護衣の着用をしており、休憩時間もスタッフは距離をおいています。今後は遠隔診療にも取り組んでいく方針です。

本日緊急事態宣言が発令されますが、昨日までのコロナウイルス感染者数は東京都で1033人です。無症状、未検査は80%なので実際には5倍の患者さんがいて、潜伏期14日としたら潜伏期の患者さんはさらに14倍いるかも知れません。つまり東京都の人口は1300万人ですから、200人に1人はコロナウイルス感染者かも知れないのです。この状況で発熱者のみを隔離しても決して安全ではありません。しっかり予防措置をして取り組む医療機関は何気なく立ち寄った店舗よりも安全に気を付けていることをご理解ください。

【最後に】
今回の当院の対応から通院に不安があり転院を希望される患者さんにつきましては診療情報提供書を作成いたしますのでおっしゃってください。当院のスタッフにも家族がおり感染のリスクを恐れるなかでも地域の皆さまのために仕事を続けてくれています。私個人へのご批判はいくらでもしてくださってかまいませんが当院のスタッフやご家族への非難はお控えいただくようよろしくお願いいたします。

2020年4月7日
ハレノテラスすこやか内科クリニック 院長 渡邉健

追記(2020年6月14日):先日私の抗体検査を実施しました。COVID-19 IgG抗体は陰性であり、感染の既往なし、と判断されました。
追記(2020年7月17日):当院スタッフ全員のCOVID-19 IgG抗体検査も実施し陰性でした。

血小板が多い

健康診断などで血小板が多いことを指摘されご心配されている方へ、血小板増加についての考え方、診断について解説したいと思います。それぞれの病気の説明、治療方法などについては別の機会に解説します。

《そもそも血小板って?》

血小板は出血したときに血をかためる成分です。血液の工場である骨髄の中には巨核球と呼ばれる細胞があり、この細胞質がちぎれてできたものが血小板です。

血小板が少なすぎると出血しやすくなり、多すぎると血液が固まりやすくなります。脳梗塞や心筋梗塞では血液の塊ができることで血管がふさがり、その先の血流が悪くなり脳細胞や心筋細胞が障害を受けてしまいます。少なすぎても多すぎてもいけないのです。

《血小板数の正常値と血小板増加症について》

血小板数の正常値は15~45万/μLです。

血小板増加症とは血小板数が45万/μL以上のことを指します。

なお、2020年度の人間ドック学会の基準値では14.5~32.9万/μLを正常、40万/μL以上を精密検査の対象としています。(異常のありそうな方を早めに見つける、という目的でこのような数値設定になっているものと思います。)

参考;人間ドック学会の検査基準値

《こんな患者さんは緊急受診しましょう》

〇血小板数が多いときに一番の問題は上記の血栓症を起こすことです。肺や心臓の血管に血栓が詰まると息が苦しくなったり胸が痛くなったりします。血小板が多いと指摘されている方でこのような症状がある方はすぐに受診しましょう。

〇血小板数が多くなりすぎると血小板と血小板をつなげる「のり」となるフォン・ヴィレブランド因子という成分が消費され無くなってしまいます。そうなると血小板数が多すぎることで出血しやすくなります。出血が止まらない、という場合にも緊急受診が必要です。

〇症状がなくても血小板数が100万/μLを超えるときには血栓や出血が起きやすい状態と言えます。早めに受診しましょう。

《血小板が多くなる原因は?》

血小板数が多くなる原因は大きく分けて3つが考えられます。

健診結果で心配で調べている方の中にはすぐに「本態性血小板血症」という血液腫瘍がヒットして不安を募らせている方も多いと思います。しかし本態性血小板血症は10万人あたり0.2~2.3人と非常にまれな病気で、多くの方は➀の鉄欠乏や炎症によるものです。

➀血液以外の原因があり血小板が増えてしまう場合(反応性血小板増加)

〇鉄欠乏、出血などで血液をたくさん作っている場合

血小板と赤血球は共通する前駆細胞から作られます。このため赤血球がたくさん作られるようなときには血小板が増加することがあります。月経のある女性では鉄欠乏により血小板が増加することがよく見られます。

〇炎症がある場合

感染症やリウマチなどの膠原病、外傷、腫瘍などがあるときにはサイトカインという炎症を起こす物質が体中に放出されます。これが巨核球を刺激し、血小板数が増えます。

➁血液が腫瘍になり血小板が増えてしまっている場合

➀とは異なり血液の工場の中で問題が起きている状態です。このため以下の診断をする際には骨髄検査が必要になります。

〇骨髄増殖性腫瘍

造血幹細胞と言われるすべての血液のもとになる細胞に異常が生じて血液全体が増えてしまう病気です。この中には慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症(真性多血症)、骨髄線維症、本態性血小板血症があります。(ほかに非常にまれな病気として慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、分類不能型骨髄増殖性腫瘍があります。)

骨髄増殖性腫瘍を疑った場合、まず慢性骨髄性白血病を除外します。この病気はBCR/ABLという特徴的な異常を持ち、チロシンキナーゼ阻害薬(グリベック、タシグナ、スプリセル、ボシュリフ)が非常に良く効くためほかの病気と対応が異なるからです。

参考;国立がん研究センターがん情報サービス

次に真性赤血球増加症の可能性を考えます。この病気はJAK2V617FあるいはJAK2 exon 12と言われる異常により赤血球増加のアクセルが踏みっぱなしになる病気です。病気の名前からは赤血球だけが増えそうな印象ですが、血小板が増えることがあるため、真性赤血球増加症を疑って評価をしていきます。JAK2V617Fについては真性赤血球増加症の95%以上にみられる異常でクリニックで調べることが可能です。

この2つではなかった場合に本態性血小板血症と骨髄線維症を疑います。というのも診断する際にはほかの血液腫瘍ではないことを証明する必要があるからです。

本態性血小板血症、骨髄線維症とも原因は不明ですが、JAK2、CALR、MPLという遺伝子異常を持つことがあります。「遺伝子異常」=「本態性血小板血症」あるいは「骨髄線維症」とは言えませんが、➀の反応性血小板増加症ではないことがわかります。

本態性血小板血症の場合、特徴的な巨核球が骨髄中に増加し、血小板が増加します。病気の性質としてすぐに血栓を起こすわけではないことから個人的には以前の診断基準のとおり血小板数60万/μL以上の場合に疑えばよいのではないか、と考えています。一方で早期の骨髄線維症と区別することは非常に重要です。

骨髄線維症の場合は異常な巨核球や顆粒球が増え、骨髄が線維化(カチカチになる)し血液を骨髄の中で作れなくなってしまいます。血液を作る場が脾臓に移るため脾臓が腫れていきます。この病気は骨髄増殖性腫瘍の中でも重症化しやすい病気のためしっかりと診断し治療を検討することが重要です。

〇骨髄増殖性腫瘍以外の血液腫瘍

5qを欠損した骨髄異形成症候群、骨髄異形成症候群/骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病の一部でも同様に血小板が多くなることがあります。

 

➂その他

脾臓摘出後:血小板の寿命が長くなるために血小板が増えます。

家族性:TPO、MPLという血小板を作るのに必要な遺伝子が活性化するような家系の方では血小板が増加することが知られています。(見たことはありませんが…。)

《まとめ》

血小板は血を止めるために大切な血液成分です。しかし増えすぎると血栓症の危険が出てきます。多くは反応性の血小板増加ですが、中には血液の病気のこともあります。血栓症や出血の症状がある、血小板100万/μL以上の人はすぐに大きな病院を受診し、そうではない方は(可能ならかかりつけの先生に炎症や鉄欠乏の評価をしてもらい)血液内科を受診するようにしましょう。

参照:up to date Topic 6682 Version 28.0,  WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues ほか

多血症(血色素が多い)

健康診断などで血色素(ヘモグロビン(Hb))、ヘマトクリットが高いことを指摘されご心配されている方が多いことと思います。ここでは多血症についての考え方、診断について解説したいと思います。

《赤血球の検査の見方について》
まず血液検査の中で赤血球の検査についてお示しします。赤血球数、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)は以下の関係になります。

赤血球数:血液1マイクロリットルあたりの赤血球の数。
Hb(血色素):全血液中のHb(赤血球の中にある酸素を運ぶたんぱく質)の量を計ったもの。低くなると貧血。
Ht:全血液中の赤血球の容積率。
血液を遠心分離すると血液は下のように分かれ、重い赤血球は下の方に集まります。Htは図の赤矢印÷黒矢印、つまり全血液中の赤血球の割合ということになります。

《多血症の基準とは?》
多血症の診断基準は以下のようになります。
男性 ヘモグロビン(Hb) > 16.5 g/dl、ヘマトクリット(Ht) > 49 %
女性 ヘモグロビン (Hb)> 16.0 g/dl、ヘマトクリット (Ht)> 48 %

ヘモグロビン、ヘマトクリットのどちらか一方が越えていても多血と診断されます。赤血球数は基準には含まれません。
ちなみに2020年度の人間ドック学会の基準では
男性ヘモグロビン 正常:13.1~16.3 軽度異常:16.4-18.0 要医療:18.1以上
女性ヘモグロビン 正常:12.1~14.5 軽度異常:14.6-16.0 要医療:16.1以上
と男性において軽度異常の中に多血症が含まれてしまう、という矛盾があり注意が必要です。

《まず相対的な多血を除外しましょう》
カルピス🄬をご自宅で作るときに水が少なければ濃い味になります。
これと同じで脱水状態で採血をすると血漿成分が少なくなり血液が濃縮し多血になります。
相対的な多血とはこの状態(図:中)です。
よくあるのは嘔吐や下痢をしたあとの採血ですが、健診のとき前日の夜からまったく水を飲まずに採血すると同様の結果になることがあります。喫煙やいわゆるストレス多血症でも同じことが起こります。

左:正常 中:相対的多血 右:真の多血

来院される方の大多数はこの相対的な多血の状態と考えられます。まず水分補給をしっかりと行い、喫煙はやめるようにして検査してみましょう。

 

《真の多血症は2つにわけて考えます》
真の多血症は図右のように本当にヘマトクリットが増えた状態です。実際に赤血球が増えています。原因を2つにわけて考えます。

1.造血機能以外に原因があって多血になっている場合
➀低酸素が原因になっている場合
スポーツ選手が高地トレーニングをすると、身体は酸素を運ぶヘモグロビンが増えるように順応します。同じように心臓や肺に病気がある場合など身体の中で低酸素の状態がおきるとヘモグロビンが増えてしまいます。
また、タバコを吸う方はタバコの燃焼によって生じた一酸化炭素がヘモグロビンと強固に結合してしまい、実際に働けるヘモグロビンが減少し低酸素を起こす場合があります。

最近よく目にするのは睡眠時無呼吸症候群による多血の患者さんです。夜に呼吸が止まり低酸素の状態となることで多血症になってしまいます。

参考:睡眠時無呼吸症候群(当院Blog)

➁エリスロポエチンを過剰につくってしまう場合
赤血球を作ることを促す物質(サイトカイン)であるエリスロポエチンは腎臓で作られます。
腎臓に行く動脈で動脈硬化が起こることで腎臓が低酸素になるとエリスロポエチンが過剰に作られ多血になることがあります。

また、エリスロポエチンを作る腫瘍がある場合にも多血症になります。肝細胞がん、腎がん、血管芽腫、褐色細胞腫、子宮筋腫などが代表的な腫瘍です。

2.造血機能そのものがおかしくなっている場合(真性赤血球増加症などの骨髄増殖性腫瘍)
赤血球のもとになる造血幹細胞に、主にJAK2V617F(95%以上)という異常が生じることで身体の制御を超えて赤血球が増えてしまう病気です。多血症と調べるとまずこの病気が出てくると思いますが、1年に10万人あたり2人程度と非常にまれな病気です。この病気の場合、ただ赤血球が多いだけでなく、血栓を起こしやすいため抗血小板薬の内服、しゃ血(血を抜く)治療などを行います。
参照:骨髄増殖性腫瘍患者・家族会「真性赤血球増加症Q&A」

《多血症ではなにが問題でしょうか?》
多血症では過剰な赤血球の増加により血液がドロドロになることで脳梗塞、心筋梗塞などの合併症が起こる場合があります。
また、真の多血症を起こす原因の中には心臓や肺の病気、睡眠時無呼吸症候群、がんなどが含まれます。これらは放置することで命に関わる場合もあります。

《まとめ》
多血症はヘモグロビン、ヘマトクリットが増加する状態です。
脱水によって起こる「相対的多血症」と赤血球が本当に増えている「真の多血症」があります。
真の多血症には何らかの原因があり多血となる場合、赤血球自体が腫瘍になる真性多血症があります。
重要な病気が隠れている場合もあり放置せず血液内科に受診することをお勧めします。

参考
up to date :Diagnostic approach to the patient with polycythemia

花粉症

《花粉症とは》

花粉症は、アレルギー疾患の一つです。アレルギー疾患にはアトピー皮膚炎や喘息、アレルギー性結膜炎などがあり、これらにかかっている人や家族にそういう方がいらっしゃる方は他のアレルギー疾患も起こしやすいことが知られています。

花粉症の原因となる花粉には主にスギ(2~4月)やヒノキ(3~5月)、イネ(5~9月)、ブタクサ(8~9月)などが知られています。花粉が鼻や目に入ってくると、人体の粘膜にもともといるマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンという物質が放出されて、鼻や目の血管・神経を刺激して、くしゃみや鼻水・鼻づまり、眼やのどのかゆみが起こります。更には、皮ふのかゆみや副鼻腔を引き起こすこともあります。

原因の正確な評価には、皮膚反応試験、誘発試験が有用ですが、血液検査でも大まかに調べることができます。

 

《花粉症の治療にはどんなものがありますか?》

治療として、次のようなものがあります。治療は症状が出始める前、つまり花粉が飛び始める頃より前から始めるのがおすすめです。

1.お薬による治療 <症状をおさえたり、軽くしたりする>

・飲み薬:

①抗ヒスタミン薬:アレルギー治療の基本です。現在主に使われているものは第2世代という眠気や沈静作用の少ないタイプです。1日1回のタイプや2回のタイプがあり、効果の強さも色々なものがあります。

主な副作用として眠気(最も多い)・頭痛・吐き気・めまい・だるさなどがあります。車を運転する方や仕事で高所作業をする方には運転制限のない薬を選んで処方します。

➁ロイコトリエン拮抗薬:鼻づまりへの有効性が高いお薬です。喘息の治療にも使われます。

➂遊離抑制薬:ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどアレルギー反応に関与する物質が出ていくのを防ぐ薬です。妊娠中に使えない薬も含まれます。

④ステロイド薬:非常に症状が強い場合にはステロイド薬の短期内服を行う場合があります。

・点鼻薬:鼻にたらすタイプやスプレーするタイプのお薬で、鼻水の症状が強い方におすすめです。

・点眼薬:目のかゆみが強い方には、点眼薬の使用もおすすめします。

・貼り薬:最近発売された新しい治療法で、1日1回貼りかえるタイプのお薬です。他のお薬と共通の副作用以外に、このタイプでは貼ったところが赤くなったりかゆくなったりする副作用があります。

 

☆次の3つの治療は、アレルギー専門医への紹介が必要となりますが、ご希望の方は医師におっしゃってください。

2.アレルゲン免疫療法(特異的減感作(げんかんさ)療法) <花粉症の治癒をめざす>

症状を和らげるお薬による治療とは異なり、花粉症の原因物質(アレルゲン)を少しずつ体に入れて、アレルゲンに対する体を慣れさせていく治療法です。ただし、スギ花粉症とダニアレルギーにしか使えません。治療には数年かかりますが、治癒や症状がない期間を長くできる効果が期待できます。デメリットは、治療に通院の手間と時間が多くかかることや、花粉の時期以外も通院が必要なこと、喘息やじんま疹などの副作用が出る可能性があることです。このアレルゲン免疫療法には、次の2種類があります。

①皮下免疫療法

病院で皮下注射をします。初めは1週間ごとの通院で、徐々に2週間、1ヶ月と通院間隔がのびていきます。メリットは毎日のお薬がいらないこと、デメリットは最初は通院回数が多いこと・注射なので痛いことです。

②舌下免疫療法

舌の裏に液体や固形のお薬を置きます。通院回数が少ない(1か月に1-2回)、皮下免疫療法よりは喘息やじん麻疹などの副作用が出る頻度が低いというメリットはありますが、デメリットは自宅で毎日お薬を使わなければならないということです(12歳未満ではおこなえません)。

https://www.torii-alg.jp/

*いずれの場合も、ステロイドやβブロッカーというお薬を内服中、不安定な気管支喘息がある、抗癌剤治療中、妊娠中、自己免疫疾患のある方は、アレルゲン免疫療法をおこなえない場合があるので医師にご確認ください。また、花粉が飛んでいる時期に開始することは控えます。

3.手術

 重症の鼻症状のある花粉症の方で、鼻や副鼻腔の形に問題が場合には、手術が適応になることもあります。

 4.抗IgE抗体(ゾレア🄬)

花粉症で起きる最初の反応は花粉を敵として反応するIgE抗体が、マスト細胞の表面に結合することです。ゾレア🄬はIgE抗体とマスト細胞の結合を阻害する分子標的薬で花粉症の反応の根本を抑えることができます。(抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などはこの反応の下流を抑える薬です。)これまでは重症の気管支喘息や慢性じんま疹で使われていましたが、今シーズンより重症、最重症の花粉症でも使えるようになりました。

2~4週間に1回の治療で劇的な効果がある一方で薬価が1回で12~18万円程度(体重とIgE抗体量による)と非常に高価ですのでIgE抗体が高く、ほかの治療では無効の場合のみ投与されます。

https://secure.novartis.co.jp/kafun_kyousei/severe_pollinosis/

 

《日常生活で、症状を悪化させないために》

1.花粉が多く飛ぶ時の外出を控える。外出する時は、マスクやめがねを使う。

2.表面がなるべくつるつるした服を着る(毛羽だった服は花粉がつきやすい)

3.帰宅したら、服や髪についた花粉をはたいてから家に入る。

直ぐに、顔を洗い、ガラガラうがいをして鼻をかむ。皮ふはよく保湿する

4.花粉が飛ぶ時期は、窓や戸を閉めておく。

空気清浄機を使う(花粉除去機能つきのものも)。

5.花粉が多く飛ぶ時期は、外に洗濯物を干さない。

6.部屋の掃除をこまめにする。水拭きも有効。

肥満症

《肥満症とは》

体の脂肪が過剰に増えてしまった状態を「肥満」と言います。

BMI (body mass index:肥満指数) 25~35が「肥満」、35以上が「高度肥満」と定義されます。また、体脂肪率が男性で25 %以上、女性で30 %以上で、体脂肪率が高いとされ、これも目安になります。ご自身のBMIを、当てはめて計算してみましょう↓

BMI:体重 (  )kg ÷ 身長(   )m ÷ 身長(  )m=(  )

例)身長170㎝、体重85㎏なら…85÷1.7×1.7=BMI 約29.4 「肥満」

一方で「肥満症」は単に肥満なだけでなく、肥満に関連する健康障害が合併している、あるいは合併が予想される状態で医学的に減量を必要とする状態を言います。

《肥満に関連する健康障害とは》

1.耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)
2.脂質異常症
3.高血圧
4.高尿酸血症・痛風
5.冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症
6.脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作(TIA)
7.脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患/NAFLD)
8.月経異常,不妊
9.睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群
10.運動器疾患:変形性関節症(膝,股関節)・変形性脊椎症,手指の変形性関節症
11.肥満関連腎臓病

 

《肥満症でからだ中に障害が起きてしまう理由》

脂肪は単に脂肪として存在するだけではなく脂肪細胞からアディポカインと呼ばれる生理活性物質が分泌されます。この分泌は肥満の程度により制御されています。

善玉のアディポカイン=アディポネクチン :肥満で低下

悪玉のアディポカイン=TNF-α、MCP-1   :肥満で上昇

このアディポカインの分泌異常により脂肪組織の慢性炎症を起こし、全身にさまざまな障害を起こします。内臓脂肪は特にアディポカインの分泌に強く影響するため問題となります。

肥満症のこわいところは、今は体調に問題がなくても体の中でじわじわと病気が進み、高血圧や糖尿病、脂質異常症を経て、ある時突然脳卒中や心臓病を起こすところです。また、がんの原因にもなります。合併症を起こさないために、今から治療(対策)をしていくことが大切です。

 

《メタボリックシンドロームとの違い》

メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積に加えて高血糖,高血圧,脂質
異常を生じた状態です。

肥満症は肥満に健康障害が生じた状態です。内臓脂肪の蓄積は診断に必須ではありません。

どちらも内臓脂肪の蓄積が影響している病気であり重なり合う概念です。

《治療について》

肥満の90%以上は単純性肥満(食べ過ぎ、運動不足)で残りはホルモン異常(クッシング症候群、甲状腺機能低下症など)、薬剤による影響などが考えられます。ホルモン異常などがあればこれらの治療を行います。

単純性肥満の場合は食事・運動が基本です。まずは3%の体重減少を目標にしましょう。

 

1.食事

1日にご自身がとって良いカロリー(kcal)を計算してみましょう。

まず、ご自分の適正体重を当てはめて計算してみましょう↓

適正体重(kg) :身長(  )m × 身長(  )m× 22=(  )kg

例)身長が170㎝なら…1.7×1.7×22=約63㎏

→ 肥満症:1日あたり 25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

高度肥満:1日あたり 20~25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

栄養素の配分は糖質 50~60%, たんぱく質 15~20%,脂質20~25%が推奨されています。極端な糖質制限はあまり長期的な差はなく、あまりお勧めできません。たんぱく質が少ないと筋肉が減り、かえって代謝が落ちる場合があります。

具体的には

・ 野菜を多めに、食事の初めにとるようにしましょう。

・ 積極的に食べた方がいいもの(魚、食物繊維が多いもの)

魚、大豆、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、玄米、麦ごはん、雑穀 など

を多めにとりましょう。乳製品、果物、卵は適量を。

・ 塩分は1日6g未満(一度、自宅のはかりで6gをはかってみましょう)

減塩する為の工夫として、香辛料やハーブ、減塩味噌・醤油・ポン酢、

レモンなどを使ってみましょう(スーパーでも減塩調味料を売っています)

・ 動物性脂肪・コレステロールの摂取を減らす。

お肉の脂身、鶏肉の皮、バター、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ

菓子、レバー・臓物、たらこ・いくら等の魚卵 などを減らす

 

2.運動

体重が多い方は適正体重になるよう、速歩や歩行などの有酸素運動を週に5回程度行いましょう。

また、肥満指数(BMI)によって体重を減らすペースが異なります。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

3.飲酒量は減らして、たばこは禁煙しましょう。

これらの治療を6カ月以上行っても改善が見られない高度肥満症では胃を小さくする手術なども検討されます。

《最後に》

生活習慣病は、数ヶ月で検査値をよくしておしまい…ではなく、合併症を起こさないためにも年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。

タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

* 心臓病や糖尿病、腎臓病がある方は食事や運動に制限があることもあるので、

医師にご確認ください。