起立性調節障害について

立ち上がったときのめまい、ふらつき、失神など「貧血」と表現される症状は医学的には起立性調節障害と呼ばれます。今回は起立性調節障害について解説したいと思います。

【症状】
急に姿勢を変えたときなどに起こる、「力が入りにくい、感覚が鈍くなる、めまい、もうろうとする、目の前が暗くなる、首の後ろが痛くなる」などの症状。

【起立性調節障害はどのくらいの患者さんがいるの?】
日本小児心身医学会によると小学生の約5%、中学生の約10%のお子さんが起立性調節障害です。
成人の5~20%で高齢になるほど多くなります。

【どういう病気なの?】
普通の人は立ち上がると
➀交感神経という興奮させる神経が働き
➁副交感神経というからだをリラックスさせる神経が抑えられ
➂足や内臓の血管が細くなり、心臓に戻ってくる血流が増え
血圧が維持できます。
起立性調節障害の患者さんはこの仕組みがおかしくなり「脳貧血」という状態になってしまいます。

【こういう人が危険です】
・仰向けで血圧が高い。
・頸動脈が狭い(50%以上の狭窄)。
・薬を飲んでいる(高血圧、糖尿病、抗うつ薬、向精神薬など)。

・アルコールを飲んでいる。

・貧血や脱水がある。
 

・パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などの変性疾患がある。
・糖尿病、シェーグレン症候群、アミロイドーシスなど末梢神経に障害を起こす病気がある。
・高齢者(血圧の変化を感じにくいため)。

【似た病気】
体位性頻脈症候群(POTS)起立時に血圧は下がらないが、脈が早くなる病気です。若い女性に多く、症状は起立性調節障害と同じで目の前が暗くなったりします。原因不明で血液量の減少、静脈の機能低下、心機能の低下、交感神経の活性化などが推定されます。脱水などを避け、適度な運動をすることが有効です。

食後低血圧食後15分~90分で血圧が下がる病気です。食後に内蔵への血流が増加することが原因と考えられています。

反射性失神:何らかの刺激が原因で血管が拡がり、脈が遅くなることで脳貧血を起こします。刺激としては感情の変化、痛み(注射をしたあとなど)、恐れ、長時間の立位、暑い中にいるなどのほか、排尿、咳、排尿、排便、嚥下などが刺激となります。足をクロスさせるのが有効です。

【診断】
仰向けの状態から立ち上がり(2~5分後に)収縮期血圧20mmHg以上あるいは拡張期血圧10mmHg以上低下する。原因の解明のために診察や採血などを行います。

【治療】
治療の目標は症状を取ることで、血圧を正常にすることではありません。
①原因となる薬の中止
②生活指導 ゆっくり起きる、緊張を避ける、激しい咳をしない、暑い中を歩かない、いきんで排便しない、上体を少し起こして寝る、適度な運動をする、血糖値が上がりやすいものを食べない
③弾性ストッキングや腹帯を使う
④足をクロスして立つ、口をすぼめて息を吸う
⑤飲水(1.5リットル以上)と塩分摂取を増やす。

これらでも改善しなければ薬による治療を行います。交感神経を刺激するミドドリンやドロキシドパを用いますが、副作用の注意が必要で、長期に使った場合の効果などについて十分な報告がありません。

副作用のリスクが少ない漢方薬では苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯なども有効とされています。

【まとめ】
血圧は自律神経という神経が調節してくれています。しかし、病気のある人、薬を飲んでいる人、脱水やアルコールなどの条件によって調節がうまくいかなくなり脳にいく血流が落ちると「貧血」と言われるような症状を起こします。体位性頻脈症候群、食後低血圧、反射性失神なども大きくみると同じで自律神経の調節がうまくいかないために起きる病気です。いずれも原因の回避、身体処置(足をクロスするなど)、飲水が有効で、薬で治すような病気とは言えません。自粛期間開け~夏場にかけて明らかに増えている症状ですので注意して生活してみてください。

参照:
Up to date
Topic 5103 Ver23.0 Mechanisums, causes, and evaluation of orthostatic hypotension.
Topic 5105 Ver18.0 Treatment of orthostatic and postprandial hypotension.
Topic 5100 Ver12.0 Postural tachycardia syndrome
Topic 1050 Ver32.0 Reflex syncope in adults and adolescents : Clinical presentation and diagnostic evaluation.
Topic 111958 Ver11.0 Reflex syncope in adults and adolescents : Treatment
Topic 1032 Ver30.0 Syncope in adults : Managemet
起立性調節障害 日本小児心身医学会HP

新型コロナウイルス検査について(令和3年1月26日に更新しました)

※この記事は令和3年1月6日、1月8日、1月26日に更新しました。

【検査の方法】
①検査会社での検査の場合
唾液によるPCR検査を実施しています
当院では唾液によるPCR検査(Real time PCR)を実施しています。結果が出るまで1~2日程度のお時間を頂戴いたします。鼻腔による検査については医療従事者の感染のリスクが高いため小児や唾液が出ない高齢者以外には行わない方針です。
➁院内での検査の場合
アボット社のID NOWによる検査を行います。
通常のPCR検査と陽性95%、陰性97.9%と高い相関が取れている検査で独自の核酸増幅技術により約13分で結果が判明します。検体は鼻咽頭ぬぐい液を綿棒で採取します。

【検査の費用】
①有症状者
当院は保健所と契約を結んでいます。通常の診療と同様に、症状の推移や接触歴等の問診で得られた情報や診察所見、検査所見、併存疾患等の臨床的特徴を総合的に判断したうえで、必要と認められた患者さんについて検査を実施いたします。保険診療では全て保険と税負担になることから本当に必要な患者さんのみが対象となる点についてご理解ください。
➁無症状~症状からコロナウイルス感染症と疑わない方
残念ながら無症状の方は保険での検査の対象とはなりません。自費での検査となります。
検査会社、さいたま市にご協力いただき、より多くの希望者が検査できるように1月26日からID NOWによる検査は13,500円、検査会社での検査は18,000円といたします。
海外渡航を目的とされる方については外務省のホームページをよくご確認いただいたうえで当院にご相談ください。

【検査の限界について】
PCR検査は「新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者さんの中から陽性患者さんを早く見つけるための検査」です。偽陰性や検査の実施が早すぎて陰性となる場合もあります。つまり「新型コロナウイルスに感染していないことを証明する検査」ではありません。企業の皆様におかれましては陰性証明を求めて従業員に検査を受けるように指導されないようくれぐれもお願いいたします。また、検査結果が出る前に外出、出勤などすることがないようにお願いいたします。

壊死性リンパ節炎について

コロナウイルス感染症が流行していた2020年5月には発熱、リンパ節の腫れで来院された患者さんが数名いらっしゃいました。
生検をしていないので診断は確定できませんが、菊池病と考えられ、どなたも自然に改善しています。
「コロナウイルスが流行していても普通の病気がお休みしているわけではない」という良い教訓でした。
今回、大学病院勤務時代にカンファレンス用に作った資料を公開いたします。参考になさってください。

菊池病

別名 菊池-藤本病、組織球性壊死性リンパ節炎、亜急性壊死性リンパ節炎
概要 1972年に初めて報告され、これまで733例の報告がある原因不明の良性リンパ節炎。
好発年齢 20歳~35歳 (実際には広い年代に見られる)
性別 男:女=1:2 (12歳以下では男児に多い)

原因
不明だが以下が考えられる
・感染?(EBV、HHV6、HHV7、HHV8、HSV、HIV、HTLV-1、Parvovirus B19、Yersinia enterocolitica、toxoplasma)
・アジアからの報告が多く、ヨーロッパからはまれ。⇒HLAハプロタイプとの関連(DPA1*01、DPB1*0202?)
・自己免疫機序 全身性エリテマトーデスとの関連(アジア28%、ヨーロッパ9%)

症状
・急性~亜急性に出現する局所特に頚部リンパ節腫大、発熱、上気道症状、嚥下痛など。
・非典型的な症状として悪寒、盗汗、関節痛、体重減少。ときに肝脾腫。
・腫大リンパ節は後頚部が多く(90%)、痛みを伴う。中間サイズ(0.5-4.0㎝)が多い。
・全身リンパ節腫大に至る症例は1~22%。
・リンパ節外病変は皮膚が最多(30-40%)

(菊池病 69 例の臨床的検討 都立駒込病院感染症科:感染症学雑誌 第83巻 第 4 号)

検査データ
・(ときに血球貪食が関連する)軽度の血球減少(白血球19~43%、貧血23%)。
・赤沈亢進(40-79%)、LDH上昇(53%)、ALT上昇(23%)。末梢血異型リンパ球(25%)

診断 
リンパ節生検。
針生検では偽陽性37.5%、偽陰性50%を認め正診率56%。

鑑別
感染性リンパ節炎(結核、トキソプラズマ、Bartonella henselae、HIV、EBV)、結合織異常(SLEなど)、リンパ増殖性疾患など。

鑑別診断(臨床所見および画像所見)

治療 自然軽快(64%)、ステロイド使用(10‐40%程度)、クロロキン

予後
おおむね良好だが0.5~2.1%で死亡 (心筋浸潤、脳出血、全身性エリテマトーデス、血球貪食症候群)。再発4~15%。全身性エリテマトーデス、混合性結合性組織病、シェーグレン症候群などとの合併あり。

まとめ
壊死性リンパ節炎は原因不明の良性リンパ節炎です。
アジア人に多く膠原病との関連が言われていることが特徴的です。
治療なしでも自然に良くなるケースが多いものの、一部重症化し、再発も比較的多いので注意が必要な病気です。
若い女性で熱、リンパ節の腫れ、血球減少などをみたら疑うべき病気です。

HPVワクチンについて

(※この記事は2020年6月19日に更新しました)

私たちは新型コロナウイルス感染症を経験しました。これまで公衆衛生に対する関心がこれほどまで高まったことはなかったのではないでしょうか?

ウイルスと人類の共生の歴史の中でワクチンの開発によって多くの命が救われてきました。
しかし、HPV(ヒトパピローマウイルス)は子宮頚がんの原因として知られるもののいまだに克服されていません。
HPV感染により年間1万人が子宮頚がんに罹患し約2800人が死亡しています。
(2020年6月19日現在のコロナウイルス感染による日本人の死亡者数は935人です。)

HPVワクチンは小学6年生~高校1年生相当の女子における定期接種(市区町村が主体となって実施し、費用は無料)ですが、「積極的な接種勧奨の差し控え」が行われており、実際に接種しているのは1%未満となっています。

当院としては積極的にお勧めする、というスタンスではありませんが、この機会にもう一度ご家族で議論を行ってみてはどうかと思います。

【ポイント】

●子宮頸がんのほぼすべてが高リスクHPVの感染で起こる。
●子宮頚がんは年間約1万人が罹患し、約 2,900 人が死亡している。
●20〜40 歳代前半で特に発症率が増え、若い女性が死亡したり出産できなくなっている。
●子宮がん検診だけでは感度が低く(50~70%)見逃される可能性がある。

●HPVは性的接触で感染し、コンドームなどを用いても完全には遮断できない。
●HPVの感染は性交渉のある女性の50~80%で起こる。
●HPV感染は多くは一過性、無症状で治るが、一部(1%以下)で感染が持続し子宮頚がんを発症する。

●HPVワクチンは定期接種(公費負担で無料)だが積極的勧奨(接種時期の案内や個別の推奨)を中止している。
●HPVワクチンは自費の場合15,000~16,000円/回と高額で3回では45,000円以上!!

●HPVワクチンの接種は3回の筋肉注射で行い、少なくとも10年以上の効果が期待できる。
●感染が成立したあとでワクチンを打っても効果はない。
●国内で使えるワクチンは2価、4価で9価ワクチンは使えない。

●ワクチンにより60~70%の子宮頚がんの原因となるHPV16/18をほぼ100%予防できる。
●多くの人がワクチンを受けることで集団免疫効果がある。(ウイルス感染者が減少し、ワクチンを受けていない人も感染する危険が減る。)

●ワクチンの合併症として注射部位の一時的な痛みは 9 割以上、一過性の発赤や腫れなどの局所症状は約 8 割の方にみられる。
●HPV ワクチン接種後に生じた多様な症状と HPV ワクチンとの因果関係を示唆するエビデンスは報告されておらず、機能性身体症状と考えられている。
●HPV ワクチン接種後に多様な症状が現れた人たちへの治療体制が整えられた。

参考

日本産婦人科学会「子宮頸がんと HPV ワクチンに関する最新の知識と正しい理解のために」

厚生労働省ホームページ 「ヒトパピローマウイルス感染症(HPVワクチン)」

糖尿病の検査の限界について

糖尿病の管理ではいくつかの指標を使います。
一般的には血糖値、HbA1cが用いられ、多くの患者さんはこの2つで管理できます。
患者さんがほかの病気を持っている場合や特定の薬を内服している場合にはこれらが役に立たないこともあります。
今回は糖尿病の検査における落とし穴について解説したいと思います。

【そもそもヘモグロビンA1cとは?】

ヘモグロビンは赤血球の中に含まれる酸素と結合するたんぱく質です。
通常は2つのα、2つのβから構成されます。
血糖値が高い状態だとヘモグロビンに糖分がくっつきヘモグロビンA1cが作られます

 ヘモグロビン(Hb)

 ヘモグロビンA1c(HbA1c)

いったんヘモグロビンに糖分が結合してヘモグロビンA1cが作られると赤血球の寿命が尽きるまで壊されません。
このため赤血球の寿命( 120日)の間にどれだけ糖分がくっついてしまったか?=血糖値が高い状態がどのくらいあったのか?をヘモグロビンA1c/全ヘモグロビン(%)で調べることができるのです。
1~2か月前の血糖値の状態を知るのに最適です。

【ヘモグロビンA1cが正確に評価できない場合とは?】

ヘモグロビンA1cは赤血球が120日の寿命であることが大前提です。
このため赤血球の寿命が通常と異なる方では異常値が出る可能性があります。

主な原因を説明します。

➀輸血のあと

いちばん極端な例ですが、たくさんの赤血球輸血をされたあとではもはや誰の血を検査しているのかわかりません。

➁貧血の回復期 → HbA1cは低くなる(下図➁)
・鉄欠乏性貧血に鉄剤を投与した
・ビタミンB12欠乏性貧血にビタミンB12を投与した
・腎性貧血にエリスロポエチンを投与した
など、赤血球の造血がさかんになると若い赤血球(糖分にさらされていないヘモグロビン)が増えるためヘモグロビンA1cは低下します。

➂溶血性貧血、脾機能亢進(ひきのうこうしん)→ HbA1cは低くなる(下図➂)
・赤血球の膜に生まれつきの異常がある
・赤血球を攻撃する抗体をもっている(溶血性貧血)
・赤血球を壊す機関である脾臓が腫れている(肝硬変)
では赤血球の寿命が短くなりヘモグロビンA1cは低下します。

④慢性の鉄欠乏性貧血 → HbA1cは高くなる(下図④)
・赤血球の寿命が延長し、糖分に接する機会も多くなるためヘモグロビンA1cは高めになります。

赤血球の寿命とHbA1c

健康    

➁回復期   若いHbが多い

➂溶血    寿命が短い

④慢性貧血  寿命が長い

【ヘモグロビンA1cが正確に測れないときにはどうするの?】

グリコアルブミン(GA)が適切です。

この検査では体の栄養成分であるアルブミンというたんぱく質に結合した糖分の割合を調べます。
HbA1cと同じく血糖が高い状態が続くとグリコアルブミンは増加します。

アルブミン  

グリコアルブミン 

アルブミンは体の中から15日くらいで半減するため過去1か月、なかでも2週間くらいの血糖の状態をみるのに最適です。
ヘモグロビンA1c × 3 =グリコアルブミン くらいで換算されます。

ただし、ヘモグロビンA1cと同様にアルブミンの代謝が早くなっている場合(バセドウ病、ネフローゼ症候群、ステロイド製剤の使用中)には低下するために注意が必要です。

【血糖値が乱高下しているときにはどうするの?】

ヘモグロビンA1cは1~2か月の血糖値の平均を表します。

たとえば下の図で黒線で示したAさんは血糖が乱高下していますが、平均するとHbA1c 7%(青線)です。緑色のBさんも同じくHbA1cでは7%ですが、血糖値の変動は少なくなっています。

臨床の場面では
Aさんは食後に血糖が高くなったり夜間に低血糖を起こしたりしている人
Bさんは一日の変動も日毎の変動も少ない人
のことを表します。
血糖が乱高下すると自律神経の緊張が高まり脳卒中、心筋梗塞などの危険が高まることが知られています。
Aさんの治療をより適切な方法に導くためにはどうすればよいでしょうか?

こういうときには

1.5アンヒドロ-D-グルシトール(1.5AG)

を測定することが有効です。

1.5AGは血糖に似た物質で、腎臓で「ろ過されたのち99%が再吸収」されます。
しかし、高血糖になると腎臓では尿中に排泄される血糖の再吸収に手いっぱいになるため1.5AGは尿中に出て行ってしまいます。
つまり、血糖が一時的にでも高くなると血液中の1.5AGは低下するのです。
食後血糖が上がっているような患者さんでは1.5AGが下がるため数日間の患者さんの血糖変動を見るのに有効です。

もちろんここでも検査の限界はあります。尿中に糖分を排泄させる薬(SGLT-2阻害薬)を内服中の患者さんでは1.5AGが低下してしまうため検査に適しません。

その場合には自己血糖測定器あるいは「持持続血糖測定器」が有効です。

【まとめ】
多くの方は血糖値とHbA1cで十分な評価ができますが、一部の患者さんでは適切な検査方法を選ぶことで糖尿病をより良いコントロールにすることが可能になります。
また、HbA1cが安定した患者さんでは1.5AGを測定し日内変動も抑え、合併症を減らすことが可能となります。

【最後に】
糖尿病の検査の限界について赤血球寿命が気になる血液内科医が解説しました。
健康診断でHbA1cが低いと言われた方は赤血球寿命に異常のあることが疑われます。
血液内科へご相談ください。

白血球数の異常について

健康診断などで「白血球が増えている」 あるいは「白血球が減っている」ことを指摘されご心配されている方が多いことと思います。
ここでは白血球数異常について解説したいと思います。

《そもそも白血球とは?》
白血球とは血液の工場である骨髄(こつずい)中で作られる血液細胞です。
ばい菌、ウイルス、カビなどから身を守るためにはたらきます。

《白血球数の正常値は?》
人間ドック学会による基準では正常値 3100~8400/μL、軽度異常 8500~9000/μL、要経過観察 9000~9900/μL、要医療 3000/μL以下あるいは10000/μL以上とされています。数と原因、重症度は必ずしも一致しません
参考;人間ドック学会基準値

《白血球の種類と役割は?》
ひとくちに白血球と言っても白血球の中にはいろいろな種類があり、それぞれ役割が異なります。

【顆粒球(かりゅうきゅう)】
細胞の中に殺菌成分のある粒々が入っている白血球です。以下の種類があります。

好中球(桿状球、分葉核球):細菌などの異物を食べて除去する。桿状球は若い好中球で分葉核球は成熟した好中球です。

好酸球:寄生虫と戦う。アレルギーにも関係する。

好塩基球:アレルギーに関与する。

【単球・マクロファージ】
殺菌
リンパ球に敵や腫瘍(がん)の存在を知らせてリンパ球の活動を助ける

【リンパ球】

B細胞:
ばい菌やウイルスをやっつける抗体をつくる。
T細胞:
ウイルスに感染した細胞や腫瘍(がん)細胞をやっつける
ほかのリンパ球の働きを調整する。
NK細胞:
腫瘍(がん)やウイルス感染細胞を排除する。

《白血球数異常の際にはここを見ましょう》
➀ほかの血球(赤血球、血小板)はどうなっている?

●白血球数のみの異常
健診で見つかる白血球増加では、多くは肥満、喫煙が原因です。
感染症では白血球の増加、減少ともに起こす場合があります。
まれな原因としてホルモン異常、薬剤、膠原病、アレルギー、がん などでも起こることがあります。
➁のように増減している白血球が何か、を調べていきます。

●白血球、赤血球、血小板ともに増えている
すべての血液のもとになる幹細胞での異常を考えます。
具体的には骨髄増殖性腫瘍(慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症)が疑われます。

●白血球は増え、赤血球は減少している。血小板は変わらないか多い。
慢性の炎症、あるいは腫瘍を考えます。
炎症が続くと鉄がうまく使えなくなり貧血になります。

●白血球、赤血球、血小板ともに減少している。
すべての血液のもとになる幹細胞の異常(骨髄不全症:再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、発作性夜間血色素尿症)
すべての血液を作るのに共通する栄養素の不足(ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血)
脾臓が腫れて血液の寿命が短くなる肝硬変
などを考えます。

●白血球は増えているが赤血球、血小板は減っている
急性白血病、がんの骨髄転移、重症感染症などを考えます。

白血球 赤血球 血小板 代表的な病気
骨髄増殖性腫瘍
なし
↑ or → 慢性炎症、腫瘍
急性白血病
なし
なし
なし
骨髄不全、肝硬変

白血球が増加し、赤血球と血小板が減少している場合は急性白血病も考えられるため緊急で受診することが必要です。

➁白血球のどの成分が増えている、減っている?
次に白血球を目でみて分類し、どの血球が増えている、あるいは減っているかを検討します。
正常な成分が増えている、あるいは減っている場合にはゆっくり原因を調べていきます。
その場合は原因があるもの、血液の増減自体が病気であるもの、の2通りが考えられます。
一方で異常な血球が出ている場合には白血球数に関わらず緊急な場合もあり血液内科専門医への受診が必要です。
(例:急性前骨髄球性白血病では白血球数は増えないことがありますが、1日の受診の遅れが致命的になることがあります。)

【正常な成分が増えている場合】
好中球:感染症、ケガ、クッシング症候群など

好酸球:アレルギー(気管支喘息、アレルギー性鼻炎など)、寄生虫感染症、血液腫瘍、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症など

 

単球:慢性の炎症、血液腫瘍、がん、抗がん剤治療後など
リンパ球;ウイルス感染症、慢性リンパ性白血病(一見正常に見えます)

【異常な成分が増えている場合】
骨髄芽球:急性骨髄性白血病、進行期の骨髄異形成症候群など
前骨髄球:急性前骨髄球性白血病など
幼若白血球(骨髄芽球~後骨髄球)が全体に増える:慢性骨髄性白血病、がんの骨髄浸潤、重症感染症、抗がん剤治療後、G-CSF使用後など
異型リンパ球:ウイルス感染、悪性リンパ腫、リンパ性白血病など

【正常な成分が減っている場合】
好中球:重症感染、自己免疫疾患、抗がん剤治療後など

リンパ球:ウイルス感染、栄養不良、ステロイド治療、抗がん剤治療後など

以上のように白血球ひとつでもいろいろと病気は考えられますが、ほかの血球との関係性、どの白血球に問題があるのか、を調べていくことで診断していくことが血液内科で行う診療となります。

《まとめ》
白血球の数の異常を指摘された場合はまず他の血球との関係性を確認します。
白血球数だけに異常がある場合と他の血球に増減がある場合に考えられる病気が異なるからです。
そのうえで白血球の中身を確認し、どの血球が増えているあるいは減っているかを調べます。
異常な血液が出ている場合には早急な対応が必要です。
正常な成分の増減については慎重に調べていく必要があります。

《最後に》
近くの先生に相談する際にはぜひ「血液検査で血液像(目視)」をオーダーしてもらうようにしてください。
また、芽球がみられ、出血傾向(鼻血、ぶつけていないところに青あざなど)がある場合は脳卒中や心筋梗塞と同じくらいの緊急事態ですので早めではなくただちに血液内科にお問い合わせください。

オンライン診療について

新型コロナウイルス感染症の対策としてオンライン診療を開始しました。
厚生労働省による「時限的・特例的な処置」であり仕組みが刻々と変化する可能性があります。
当面は初診よりお使いいただけます。

【対象となる患者さん】

●高血圧、脂質異常症、糖尿病、気管支喘息などでかかりつけの患者さん
(オンライン再診外来)
予約に必要なQRコード、同意書は来院時にお渡ししています。
来院する予定がなくオンライン再診を希望される方はお電話で相談ください。
病状からオンライン診療で診療可能な場合、招待メールをお送りします。
同意書は次回来院時あるいは郵送で取得させていただきます。

●当院初診の患者さん(オンライン初診外来)
本来初診は基本的に対面診療をお勧めしています。
ご自身の病状、これまでの治療内容などを確実に確認できる場合以外はぜひ来院ください。(当院は感染対策を積極的に行っています。)
完全な初診の場合、処方日数は7日以内とさせていただきます。
また、薬の内容によってオンライン初診外来で処方できないものもあります。

●当院で健康保険による検査を受けられた患者さん(オンライン検査結果説明)
これまでどおり、血液検査の結果は院長が確認し明らかな異常があれば電話連絡しています。
結果を早く知りたい方、遠くから来院されている血液内科の患者さん、新しい薬を処方し副作用の確認のために採血した患者さん、にこの項目をご紹介しています。
オンラインで結果をお送りすることができます。

利用手順
1. スマートフォン・タブレットでCLINICSアプリをダウンロードしてください。
2.アプリを利用してアカウント情報などを登録し、オンライン診療の予約を入れてください。
*事前に保険証の登録をお願いいたします。
3.予約の時間になりましたら、こちらからスマートフォンのアプリへ連絡して診療を行います。
4.診察の費用はクレジット決済いたします。診察時間によっては翌日あるいは直近の診療日(医療事務が来院する日)に請求させていただきます。
5.薬の受け取りについて

ご自宅近くの薬局で受け取りを希望される場合は、①最寄りの薬局にFAXをお送りする(薬局名、FAX番号をご用意ください)、②レターパックでご自宅に処方箋をお送りする、のいずれかをお選びください。

薬局の指定のない場合は当院の最寄りの薬局へ処方箋を送ります。薬局から電話連絡がありますので、薬の受けとり方法についてご相談ください。

*上記の利用手順はあくまでコロナウイルス対策の時限的・特例的措置ですので、通常のオンライン診療の手順と異なります。

*オンライン診療ではシステム管理料・通話料(500~1,000円)を保険外で請求させていただきます。システム使用、処方箋の郵送などにかかる実費としてご理解ください。

血液内科専門医がいる施設

血液の病気の患者さんは免疫が落ちていたりするため通院についてのご不安に思われているのではないでしょうか?
・新型コロナウイルスの影響で通院先の病院の外来が閉鎖・縮小した
・かかりつけの先生ところまで行くほどではないけれど心配なことがある
などの際に近くに頼れるクリニックがあれば患者さんにとって大変心強いものと思います。
お近くの血液内科専門医を探すために血液学会の専門医名簿より地図を作成しました。ご活用ください。
記載している施設のなかには小児科専門、血液内科の臨床を離れている、週に1~2回しか専門の先生がいらっしゃらないなどの医療機関もあります。
必ずしもすべての施設が万全な体制で診療ができることではないことをご理解いただき参考になさっていただけますと幸いです。
 ⇔ 

埼玉県の血液内科医マップ
千葉県の血液内科医マップ

当院のコロナウイルス感染対策について

※この記事は2020年7月3日、8月18日、12月15日に更新しました。

当院のコロナウイルス感染対策についてご紹介いたします

【感染のリスクを避けた受診方法を選択ください】
①来院
明らかなコロナウイルス濃厚接触者、海外渡航歴などがある場合には来院前にご連絡ください。
それ以外の患者さんは通常通りの診察をいたします。
当院は当日でも診療予約をお取りいただけます
体調の悪い患者さんも少ない待ち時間で受診していただけるようにしております。
電話でご相談ください。
インターネットの予約サービス、受付サービスもご利用ください。
(受付サービスは予約ではありません。)

②電話再診
当院かかりつけの患者さんで病状に特に変化がない方は電話再診をご利用ください。
来院している患者さんのいない時間に院長より電話させていただきます。
普段お使いになっている調剤薬局が決まっている方はご連絡いただければ当院よりFAXを送り、薬局での待ち時間も最短にいたします。
なお、診察や検査が必要なときには来院いただくこともございます。

オンライン診療
オンライン診療を始めました。クレジットカードでの決済が可能です。病状の安定していない方、診察や検査が必要なときに来院していただけない方は対象外とさせていただきます。

【新型コロナウイルス対策として院内の感染対策を強化しています】
①来院者全員に手指消毒、マスク着用をお願いしています。
マスクのない方には当院よりお渡しします。マスクが無いことが受診を遠慮いただく基準にはなりません。(マスクは出来るだけご自身でご用意ください。)

②来院者どうしが接触する可能性を極力減らしています。
4月8日より株式会社メディヴァンス様のご厚意で空きテナントを貸与いただき臨時待合室を作りました。院内では2人のみお待ちいただけます。自動車内でお待ちいただくことも可能です。

③徹底した換気を行っています
院内は常時換気を行っています。レントゲン室については使用後に換気装置を使って空気を入れ替えます。

④紫外線照射装置を使用しています
紫外線照射装置を専用ロッカー内に設置しました。患者さん毎に白衣を紫外線照射しています。問診に使ったファイルやフェイスガードなども紫外線照射しています。

専用ロッカーに紫外線照射装置を設置 専用ロッカーに設置した紫外線照射装置

⑤診察室にパーティションを設置しています
直接患者さんと医師、看護師が接することがなくなるため感染のリスクを減らすことができます。それぞれの診察室は患者さん毎に消毒を行うため交互に使用します。

診察室1 オンライン診療もこちらで行います

診察室2

⑥受付にアクリル板を設置しています
対面になる受付にもアクリル板を設置しています。来院者と事務員との直接の接触を避けるようにしています。

診察室に光触媒除菌脱臭機を設置しました。
ウイルス不活性化を謳う市販電気製品では残念ながらウイルスの予防効果はありません。そこでUV-LEDを用い、ウイルス不活性化が期待出来る製品を導入しました。

⑧カード決済・交通系電子マネーでの決済を始めました。(2020年7月3日~)
金銭のやり取りによる感染予防のためにカード決済を開始しました。
スタッフの教育期間のため当面は自費診療に限らせていただきます。ご了承ください。(利用できるクレジットカード;VISA、JCB、MasterCard、AMEX、Diners Club、DISCOVER)

バリフロー(陰圧ブース)を導入しました。
発熱患者さんの隔離、検査などの際にはこちらを利用しています。

【患者さんへメッセージ】
当院はできる限りの感染対策を今後も進めてまいります。コロナウイルス感染症の流行に伴い夜間の救急受診などはますます困難となっています。体調不良などの際には日中にクリニックを受診していただき早めの対応をすることをお勧めいたします。当院は明らかな重症例を除き基本的にすべての患者さんを拝見いたしますのでご相談ください。

【当院で使用中の感染対策グッズのご紹介】
医療機関の関係者の皆様のご参考に情報提供いたします。さらに良い方法があれば情報提供をお願いいたします。

紫外線照射ロッカー
エディアロッカー BWUH-S89SAWN コクヨ/KOKUYO 両開き書庫 269545
紫外線照射装置
電源アダプタ:サンワサプライ日本専用マルチタイプ電源変換アダプタ TR-AD5W
スイッチ付き延長コード:ELPAスイッチ付延長コード5m W-S1050B(W)
突っ張り棒:(まったく同じものがないので一番近いものをリンクしました)

換気装置
フローバル両ラッパ型送風機 フレキシブルダクト PFW-300S
延長ダクト トラスコフレキシブルダクト RFD-320S

受付アクリル板

光触媒除菌脱臭機

【最後に】
当院の感染対策にあたって、マスク、防護服などをお送りくださった方々にこの場を借りて深謝いたします。ありがとうございました。

新型コロナウイルス感染症の発生と当院の診療姿勢について

※この記事は2020年7月17日に更新されました

【当院を受診された患者さんから新型コロナウイルス感染が確認されました】
3月下旬に当院を受診された患者さんがコロナウイルス感染者の濃厚接触者であることが判明し後日接触者の調査の過程でこの患者さんも新型コロナウイルスに感染していたことが判明しました。(患者さんが特定されるため日にちの公表は差し控えます。)ただし、当該患者さんの受診前後には待合室に患者さんがいらっしゃいませんでした。また、数日前に他の医療機関で抗生剤の処方を受けていたが発熱していた、との情報があり当初よりコロナウイルス感染者の可能性を考慮し院長のみで防護服(品切れで購入できないため90リットルのごみ袋を頭から被った)を着用して対応し、診療後はただちに院内の消毒を行いました。これらの対応について保健所より「患者さんも先生が防護衣を着ていたのではっきり覚えていました。」とのことで濃厚接触者なし、通常通り診療を続けてよい、とのコメントをいただいております。スタッフについては濃厚接触者はいないことからPCR検査の対象外とされました。
当初は当院を受診された患者さんに余計な不安を与えると考え公表は控えるつもりでしたが、ハレノテラス館長名で不確かな情報が各テナントに配布され同日中に地域に拡散してしまい当院のスタッフやご家族まで好奇の目にさらされるに至ったことから今回公表することにいたしました。

【今後も当院は地域医療における役割を果たします】
新型コロナウイルス感染症の流行では医療崩壊の危険が叫ばれています。そもそも総合病院は昨今の補助金削減などの影響で入院日数を減らし稼働率をあげることでどうにかやりくりしています。余剰のベッド、人員は最初から無いなかで今回のコロナウイルスの問題が発生しています。
地域の開業医はコロナウイルス感染症ではない通常の発熱や咳の患者さんを見極め治療をすること、コロナウイルス感染症が疑われる患者さんを適切な医療機関にご紹介することで病院の先生方をサポートし地域の住民に貢献することが求められます。昨今発熱や咳があるだけで診療を拒否される、という話も聞かれますがすべてを総合病院に丸投げしたら総合病院の先生方はますます疲弊し医療崩壊は必至です。当院では今後も開業医としての役割を果たします。
一方でクリニックに通院される普通の患者さん、スタッフを守ることも必要です。当院では80%が無症状あるいは未検査と言われるコロナウイルス感染症に対しては来院されるすべての患者さん、スタッフともにコロナウイルス感染者かもしれない、という考えで接しております。常時換気、来院者全員のマスク着用と手指消毒、待合室での患者さんどうしの接触予防のための予約制と電話呼び出し、電話再診、1日3回以上の院内清掃(発熱者がいた場合は診療直後)、ゴーグルや防護衣の着用をしており、休憩時間もスタッフは距離をおいています。今後は遠隔診療にも取り組んでいく方針です。

本日緊急事態宣言が発令されますが、昨日までのコロナウイルス感染者数は東京都で1033人です。無症状、未検査は80%なので実際には5倍の患者さんがいて、潜伏期14日としたら潜伏期の患者さんはさらに14倍いるかも知れません。つまり東京都の人口は1300万人ですから、200人に1人はコロナウイルス感染者かも知れないのです。この状況で発熱者のみを隔離しても決して安全ではありません。しっかり予防措置をして取り組む医療機関は何気なく立ち寄った店舗よりも安全に気を付けていることをご理解ください。

【最後に】
今回の当院の対応から通院に不安があり転院を希望される患者さんにつきましては診療情報提供書を作成いたしますのでおっしゃってください。当院のスタッフにも家族がおり感染のリスクを恐れるなかでも地域の皆さまのために仕事を続けてくれています。私個人へのご批判はいくらでもしてくださってかまいませんが当院のスタッフやご家族への非難はお控えいただくようよろしくお願いいたします。

2020年4月7日
ハレノテラスすこやか内科クリニック 院長 渡邉健

追記(2020年6月14日):先日私の抗体検査を実施しました。COVID-19 IgG抗体は陰性であり、感染の既往なし、と判断されました。
追記(2020年7月17日):当院スタッフ全員のCOVID-19 IgG抗体検査も実施し陰性でした。