偽性血小板減少症について

健康診断の時期になってまいりましたが、比較的よく見かける異常として偽性血小板減少症があります。実際には血小板が少なくないのに検査では血小板が少なくなってしまう病態です。今回は偽性血小板減少症について解説していきます。

【原因】
みなさんが健康診断やクリニックなどで採血をするときには採血管に血液を入れて検査機器で検査を行います。通常血液を体の外に出しておけば固まってしまうため採血管の中にはEDTAという抗凝固薬が入っています。(写真の白い粉)

EDTA採血管

しかし、このEDTAが入っていることで何らかの反応(今のところ原因不明とされています)が起こり血小板が固まってしまう人が0.1%程度いるといわれています。血小板が固まると機械でカウントされなくなってしまうため実際には血小板はあるのに血小板減少と判断されてしまいます。

【症状】
実際には血小板が正常にあるため出血傾向(青あざ、点状出血、鼻血など)はありません。

【対策】
採血直後(EDTA下で血小板が固まる前)に検査をする、別の抗凝固物質が入ったFC採血管(NaF + EDTA-2Na + クエン酸Na)で採血する。

【患者さんに対して】
偽性血小板減少症は健康な人にも見られる一種の「体質」ですが、検査した際に血小板が異常に少ないと抜歯、手術、出産など希望した処置を希望する病院で行っていただけないことがあります。このため当院では病名、対策などを紙に記載しお渡ししています。昨年度だけでも5人の患者さんに来院頂いており、病名がわかる名刺サイズのカードをお渡ししています。