肥満症

《肥満症とは》

体の脂肪が過剰に増えてしまった状態を「肥満」と言います。

BMI (body mass index:肥満指数) 25~35が「肥満」、35以上が「高度肥満」と定義されます。また、体脂肪率が男性で25 %以上、女性で30 %以上で、体脂肪率が高いとされ、これも目安になります。ご自身のBMIを、当てはめて計算してみましょう↓

BMI:体重 (  )kg ÷ 身長(   )m ÷ 身長(  )m=(  )

例)身長170㎝、体重85㎏なら…85÷1.7×1.7=BMI 約29.4 「肥満」

一方で「肥満症」は単に肥満なだけでなく、肥満に関連する健康障害が合併している、あるいは合併が予想される状態で医学的に減量を必要とする状態を言います。

《肥満に関連する健康障害とは》

1.耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)
2.脂質異常症
3.高血圧
4.高尿酸血症・痛風
5.冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症
6.脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作(TIA)
7.脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患/NAFLD)
8.月経異常,不妊
9.睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群
10.運動器疾患:変形性関節症(膝,股関節)・変形性脊椎症,手指の変形性関節症
11.肥満関連腎臓病

 

《肥満症でからだ中に障害が起きてしまう理由》

脂肪は単に脂肪として存在するだけではなく脂肪細胞からアディポカインと呼ばれる生理活性物質が分泌されます。この分泌は肥満の程度により制御されています。

善玉のアディポカイン=アディポネクチン :肥満で低下

悪玉のアディポカイン=TNF-α、MCP-1   :肥満で上昇

このアディポカインの分泌異常により脂肪組織の慢性炎症を起こし、全身にさまざまな障害を起こします。内臓脂肪は特にアディポカインの分泌に強く影響するため問題となります。

肥満症のこわいところは、今は体調に問題がなくても体の中でじわじわと病気が進み、高血圧や糖尿病、脂質異常症を経て、ある時突然脳卒中や心臓病を起こすところです。また、がんの原因にもなります。合併症を起こさないために、今から治療(対策)をしていくことが大切です。

 

《メタボリックシンドロームとの違い》

メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積に加えて高血糖,高血圧,脂質
異常を生じた状態です。

肥満症は肥満に健康障害が生じた状態です。内臓脂肪の蓄積は診断に必須ではありません。

どちらも内臓脂肪の蓄積が影響している病気であり重なり合う概念です。

《治療について》

肥満の90%以上は単純性肥満(食べ過ぎ、運動不足)で残りはホルモン異常(クッシング症候群、甲状腺機能低下症など)、薬剤による影響などが考えられます。ホルモン異常などがあればこれらの治療を行います。

単純性肥満の場合は食事・運動が基本です。まずは3%の体重減少を目標にしましょう。

 

1.食事

1日にご自身がとって良いカロリー(kcal)を計算してみましょう。

まず、ご自分の適正体重を当てはめて計算してみましょう↓

適正体重(kg) :身長(  )m × 身長(  )m× 22=(  )kg

例)身長が170㎝なら…1.7×1.7×22=約63㎏

→ 肥満症:1日あたり 25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

高度肥満:1日あたり 20~25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

栄養素の配分は糖質 50~60%, たんぱく質 15~20%,脂質20~25%が推奨されています。極端な糖質制限はあまり長期的な差はなく、あまりお勧めできません。たんぱく質が少ないと筋肉が減り、かえって代謝が落ちる場合があります。

具体的には

・ 野菜を多めに、食事の初めにとるようにしましょう。

・ 積極的に食べた方がいいもの(魚、食物繊維が多いもの)

魚、大豆、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、玄米、麦ごはん、雑穀 など

を多めにとりましょう。乳製品、果物、卵は適量を。

・ 塩分は1日6g未満(一度、自宅のはかりで6gをはかってみましょう)

減塩する為の工夫として、香辛料やハーブ、減塩味噌・醤油・ポン酢、

レモンなどを使ってみましょう(スーパーでも減塩調味料を売っています)

・ 動物性脂肪・コレステロールの摂取を減らす。

お肉の脂身、鶏肉の皮、バター、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ

菓子、レバー・臓物、たらこ・いくら等の魚卵 などを減らす

 

2.運動

体重が多い方は適正体重になるよう、速歩や歩行などの有酸素運動を週に5回程度行いましょう。

また、肥満指数(BMI)によって体重を減らすペースが異なります。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

3.飲酒量は減らして、たばこは禁煙しましょう。

これらの治療を6カ月以上行っても改善が見られない高度肥満症では胃を小さくする手術なども検討されます。

《最後に》

生活習慣病は、数ヶ月で検査値をよくしておしまい…ではなく、合併症を起こさないためにも年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。

タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

* 心臓病や糖尿病、腎臓病がある方は食事や運動に制限があることもあるので、

医師にご確認ください。

投稿者:

kwathema

さいたま市見沼区島町の内科・血液内科のクリニック ハレノテラスすこやか内科クリニックの院長です。東大宮駅から徒歩13分のショッピングモール内で内科のクリニックを開院しています。