肺炎球菌ワクチンについて
【肺炎球菌感染の重要性について】 肺炎は死因の第 3 位です。肺炎を起こす細菌は多数ありますが、そのなかで肺炎球菌はおよそ2割くらいと言われています。 肺炎球菌性肺炎は、敗血症(菌が血液中にまわり臓器障害を起こす状態)、髄膜炎(脳のまわりに菌が侵入する)などの侵襲性肺炎球菌感染症を合併し重症化しやすいことが知られています。また、インフルエンザと合併しやすく、インフルエンザ後の肺炎の原因として重要な病気と言えます。 【予防接種の効果について】2014年10月から65歳以上の成人を対象に開始された肺炎球菌の定期接種では高齢者介護施設入所者で肺炎に対する予防効果(肺炎球菌性肺炎:63.8%, 全ての肺炎:44.8%)が認められました。また、75歳以上で予防接種を受けた方は、接種後 2 年間の入院率が 41.5%まで減少したことが報告されています。さらに、ワクチン接種 1 年間の 75 歳以上の高齢者では肺炎医療費が減少しました。 【課題】23価肺炎球菌ワクチンでカバーされない肺炎球菌による感染が増加傾向であることが現在の課題として残っていますが、腎臓、心臓、肺などに病気のある高齢者にはぜひお勧めしたい予防接種です。 当院では定期予防接種のほか、5年経過後の追加接種も実施しております。費用は8000円です。 参考; 日本感染症学会「65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 (第2版 2017-10-23)」 国立感染症研究所「23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(肺炎球菌ワクチン)ファクトシート」