地域医療を考える会
10月30日に地域の先生方に参加いただき、「地域医療を考える会~血液内科~」を開催いたしました。
現在、高齢化は三大都市圏で急速に進行しています。さいたま市の高齢化は緩やかですが、埼玉県全体では年2.3%と全国最速で高齢化が進行しています。現在は患者の受け入れ先となっている東京都も同じく高齢化が進行しており、埼玉県に医療難民が発生する恐れがあります。
これまでは勤務医の先生方が労働時間を超過することで、医療環境が維持されていましたが、2024年に勤務医の残業時間の上限が決められ、約4割の医師は業務の削減を求められることになりました。2019年7月1日には「医師、看護師等の宿日直許可基準について」および「医師の自己研鑽に係る労働時間に関する考え方について」を厚生労働省が発表し、睡眠のとれない当直、労働と兼務あるいは上司からの指示に基づく自己研鑽は労働時間に含まれることが明示されたことから実質的な労働時間の短縮は必須になっています。
以上の経緯に加え、埼玉県は人口10万人あたりの血液内科専門医数が1.73人(全国平均3.24人)と血液内科医が不足しています(埼玉県の血液内科)。また、血液内科では血液疾患の罹患率の増加、治療法の進歩による治療適応の拡大、予後の改善により外来で診察が必要な患者さんはますます増加しています。
これに対して当院ではかかりつけ医の先生方と情報交換することで血液疾患を地元で拝見できる環境づくりを行おうと考えております。当院で拝見したうえで本当に必要な患者さんのみ大学病院や基幹病院にご紹介することで患者さん、勤務医の負担を軽減してまいります。また、大学病院、基幹病院で治療を終えた患者さんの経過観察を積極的に行うことで医療資源の適切な分配に貢献できるように提案しております。今回の会では多くの先生方に賛同頂き、水平方向での地域連携を進める大変有意義な会となりました。