新型コロナウイルス感染症の発生と当院の診療姿勢について

【当院を受診された患者さんから新型コロナウイルス感染が確認されました】

3月下旬に当院を受診された患者さんがコロナウイルス感染者の濃厚接触者であることが判明し後日接触者の調査の過程でこの患者さんも新型コロナウイルスに感染していたことが判明しました。(患者さんが特定されるため日にちの公表は差し控えます。)ただし、当該患者さんの受診前後には待合室に患者さんがいらっしゃいませんでした。また、数日前に他の医療機関で抗生剤の処方を受けていたが発熱していた、との情報があり当初よりコロナウイルス感染者の可能性を考慮し院長のみで防護服(品切れで購入できないため90リットルのごみ袋を頭から被った)を着用して対応し、診療後はただちに院内の消毒を行いました。これらの対応について保健所より「患者さんも先生が防護衣を着ていたのではっきり覚えていました。」とのことで濃厚接触者なし、通常通り診療を続けてよい、とのコメントをいただいております。スタッフについては濃厚接触者はいないことからPCR検査の対象外とされました。

当初は当院を受診された患者さんに余計な不安を与えると考え公表は控えるつもりでしたが、ハレノテラス館長名で不確かな情報が各テナントに配布され同日中に地域に拡散してしまい当院のスタッフやご家族まで好奇の目にさらされるに至ったことから今回公表することにいたしました。

 

【今後も当院は地域医療における役割を果たします】

新型コロナウイルス感染症の流行では医療崩壊の危険が叫ばれています。そもそも総合病院は昨今の補助金削減などの影響で入院日数を減らし稼働率をあげることでどうにかやりくりしています。余剰のベッド、人員は最初から無いなかで今回のコロナウイルスの問題が発生しています。

地域の開業医はコロナウイルス感染症ではない通常の発熱や咳の患者さんを見極め治療をすること、コロナウイルス感染症が疑われる患者さんを適切な医療機関にご紹介することで病院の先生方をサポートし地域の住民に貢献することが求められます。昨今発熱や咳があるだけで診療を拒否される、という話も聞かれますがすべてを総合病院に丸投げしたら総合病院の先生方はますます疲弊し医療崩壊は必至です。当院では今後も開業医としての役割を果たします。

一方でクリニックに通院される普通の患者さん、スタッフを守ることも必要です。当院では80%が無症状と言われるコロナウイルス感染症に対しては来院されるすべての患者さん、スタッフともにコロナウイルス感染者かもしれない、という考えで接しております。常時換気、来院者全員のマスク着用と手指消毒、待合室での患者さんどうしの接触予防のための予約制と電話呼び出し、電話再診、1日3回以上の院内清掃(発熱者がいた場合は診療直後)、ゴーグルや防護衣の着用をしており、休憩時間もスタッフは距離をおいています。今後は遠隔診療にも取り組んでいく方針です。

本日緊急事態宣言が発令されますが、昨日までのコロナウイルス感染者数は東京都で1033人です。無症状は80%なので実際には5倍の患者さんがいて、潜伏期14日としたら潜伏期の患者さんはさらに14倍いるかも知れません。つまり東京都の人口は1300万人ですから、200人に1人はコロナウイルス感染者かも知れないのです。この状況で発熱者のみを隔離しても決して安全ではありません。しっかり予防措置をして取り組む医療機関は何気なく立ち寄った店舗よりも安全に気を付けていることをご理解ください。

【最後に】

今回の当院の対応から通院に不安があり転院を希望される患者さんにつきましては診療情報提供書を作成いたしますのでおっしゃってください。当院のスタッフにも家族がおり感染のリスクを恐れるなかでも地域の皆さまのために仕事を続けてくれています。私個人へのご批判はいくらでもしてくださってかまいませんが当院のスタッフやご家族への非難はお控えいただくようよろしくお願いいたします。

2020年4月7日

ハレノテラスすこやか内科クリニック 院長 渡邉健

血小板が多い

健康診断などで血小板が多いことを指摘されご心配されている方へ、血小板増加についての考え方、診断について解説したいと思います。それぞれの病気の説明、治療方法などについては別の機会に解説します。

《そもそも血小板って?》

血小板は出血したときに血をかためる成分です。血液の工場である骨髄の中には巨核球と呼ばれる細胞があり、この細胞質がちぎれてできたものが血小板です。

血小板が少なすぎると出血しやすくなり、多すぎると血液が固まりやすくなります。脳梗塞や心筋梗塞では血液の塊ができることで血管がふさがり、その先の血流が悪くなり脳細胞や心筋細胞が障害を受けてしまいます。少なすぎても多すぎてもいけないのです。

《血小板数の正常値と血小板増加症について》

血小板数の正常値は15~45万/μLです。

血小板増加症とは血小板数が45万/μL以上のことを指します。

なお、2020年度の人間ドック学会の基準値では14.5~32.9万/μLを正常、40万/μL以上を精密検査の対象としています。(異常のありそうな方を早めに見つける、という目的でこのような数値設定になっているものと思います。)

https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2013/09/2020DockHantei.pdf

《こんな患者さんは緊急受診しましょう》

〇血小板数が多いときに一番の問題は上記の血栓症を起こすことです。肺や心臓の血管に血栓が詰まると息が苦しくなったり胸が痛くなったりします。血小板が多いと指摘されている方でこのような症状がある方はすぐに受診しましょう。

〇血小板数が多くなりすぎると血小板と血小板をつなげる「のり」となるフォン・ヴィレブランド因子という成分が消費され無くなってしまいます。そうなると血小板数が多すぎることで出血しやすくなります。出血が止まらない、という場合にも緊急受診が必要です。

〇症状がなくても血小板数が100万/μLを超えるときには血栓や出血が起きやすい状態と言えます。早めに受診しましょう。

《血小板が多くなる原因は?》

血小板数が多くなる原因は大きく分けて3つが考えられます。

健診結果で心配で調べている方の中にはすぐに「本態性血小板血症」という血液腫瘍がヒットして不安を募らせている方も多いと思います。しかし本態性血小板血症は10万人あたり0.2~2.3人と非常にまれな病気で、多くの方は➀の鉄欠乏や炎症によるものです。

➀血液以外の原因があり血小板が増えてしまう場合(反応性血小板増加)

〇鉄欠乏、出血などで血液をたくさん作っている場合

血小板と赤血球は共通する前駆細胞から作られます。このため赤血球がたくさん作られるようなときには血小板が増加することがあります。月経のある女性では鉄欠乏により血小板が増加することがよく見られます。

〇炎症がある場合

感染症やリウマチなどの膠原病、外傷、腫瘍などがあるときにはサイトカインという炎症を起こす物質が体中に放出されます。これが巨核球を刺激し、血小板数が増えます。

➁血液が腫瘍になり血小板が増えてしまっている場合

➀とは異なり血液の工場の中で問題が起きている状態です。このため以下の診断をする際には骨髄検査が必要になります。

〇骨髄増殖性腫瘍

造血幹細胞と言われるすべての血液のもとになる細胞に異常が生じて血液全体が増えてしまう病気です。この中には慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症(真性多血症)、骨髄線維症、本態性血小板血症があります。(ほかに非常にまれな病気として慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、分類不能型骨髄増殖性腫瘍があります。)

骨髄増殖性腫瘍を疑った場合、まず慢性骨髄性白血病を除外します。この病気はBCR/ABLという特徴的な異常を持ち、チロシンキナーゼ阻害薬(グリベック、タシグナ、スプリセル、ボシュリフ)が非常に良く効くためほかの病気と対応が異なるからです。

https://ganjoho.jp/public/cancer/CML/index.html

次に真性赤血球増加症の可能性を考えます。この病気はJAK2V617FあるいはJAK2 exon 12と言われる異常により赤血球増加のアクセルが踏みっぱなしになる病気です。病気の名前からは赤血球だけが増えそうな印象ですが、血小板が増えることがあるため、真性赤血球増加症を疑って評価をしていきます。JAK2V617Fについては真性赤血球増加症の95%以上にみられる異常でクリニックで調べることが可能です。

この2つではなかった場合に本態性血小板血症と骨髄線維症を疑います。というのも診断する際にはほかの血液腫瘍ではないことを証明する必要があるからです。

本態性血小板血症、骨髄線維症とも原因は不明ですが、JAK2、CALR、MPLという遺伝子異常を持つことがあります。「遺伝子異常」=「本態性血小板血症」あるいは「骨髄線維症」とは言えませんが、➀の反応性血小板増加症ではないことがわかります。

本態性血小板血症の場合、特徴的な巨核球が骨髄中に増加し、血小板が増加します。病気の性質としてすぐに血栓を起こすわけではないことから個人的には以前の診断基準のとおり血小板数60万/μL以上の場合に疑えばよいのではないか、と考えています。一方で早期の骨髄線維症と区別することは非常に重要です。

骨髄線維症の場合は異常な巨核球や顆粒球が増え、骨髄が線維化(カチカチになる)し血液を骨髄の中で作れなくなってしまいます。血液を作る場が脾臓に移るため脾臓が腫れていきます。この病気は骨髄増殖性腫瘍の中でも重症化しやすい病気のためしっかりと診断し治療を検討することが重要です。

〇骨髄増殖性腫瘍以外の血液腫瘍

5qを欠損した骨髄異形成症候群、骨髄異形成症候群/骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病の一部でも同様に血小板が多くなることがあります。

 

➂その他

脾臓摘出後:血小板の寿命が長くなるために血小板が増えます。

家族性:TPO、MPLという血小板を作るのに必要な遺伝子が活性化するような家系の方では血小板が増加することが知られています。(見たことはありませんが…。)

《まとめ》

血小板は血を止めるために大切な血液成分です。しかし増えすぎると血栓症の危険が出てきます。多くは反応性の血小板増加ですが、中には血液の病気のこともあります。血栓症や出血の症状がある、血小板100万/μL以上の人はすぐに大きな病院を受診し、そうではない方は(可能ならかかりつけの先生に炎症や鉄欠乏の評価をしてもらい)血液内科を受診するようにしましょう。

参照:up to date Topic 6682 Version 28.0,  WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues ほか

多血症(血色素が多い)

健康診断などで血色素(ヘモグロビン(Hb))、ヘマトクリットが高いことを指摘されご心配されている方が多いことと思います。ここでは多血症についての考え方、診断について解説したいと思います。

《赤血球の検査の見方について》

まず血液検査の中で赤血球の検査についてお示しします。赤血球数、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)は以下の関係になります。

赤血球数:血液1マイクロリットルあたりの赤血球の数。

Hb(血色素):全血液中のHb(赤血球の中にある酸素を運ぶたんぱく質)の量を計ったもの。低くなると貧血。

Ht:全血液中の赤血球の容積率。

血液を遠心分離すると血液は下のように分かれ、重い赤血球は下の方に集まります。Htは図の黒矢印÷赤矢印、つまり全血液中の赤血球の割合ということになります。

《多血症の基準とは?》

多血症の診断基準は以下のようになります。

男性 ヘモグロビン(Hb) > 16.5 g/dl、ヘマトクリット(Ht) > 49 %

女性 ヘモグロビン (Hb)> 16.0 g/dl、ヘマトクリット (Ht)> 48 %

ヘモグロビン、ヘマトクリットのどちらか一方が越えていても多血と診断されます。赤血球数は基準には含まれません。

ちなみに2020年度の人間ドック学会の基準では

男性ヘモグロビン 正常:13.1~16.3 軽度異常:16.4-18.0 要医療:18.1以上

女性ヘモグロビン 正常:12.1~14.5 軽度異常:14.6-16.0 要医療:16.1以上

と男性において軽度異常の中に多血症が含まれてしまう、という矛盾があり注意が必要です。

《まず相対的な多血を除外しましょう》

カルピス🄬をご自宅で作るときに水が少なければ濃い味になります。これと同じで脱水状態で採血をすると血漿成分が少なくなり血液が濃縮し多血になります。相対的な多血とはこの状態(図:中)です。よくあるのは嘔吐や下痢をしたあとの採血ですが、健診のとき前日の夜からまったく水を飲まずに採血すると同様の結果になることがあります。喫煙やいわゆるストレス多血症でも同じことが起こります。

左:正常 中:相対的多血 右:真の多血

来院される方の大多数はこの相対的な多血の状態と考えられます。まず水分補給をしっかりと行い、喫煙はやめるようにして検査してみましょう。

 

《真の多血症は2つにわけて考えます》

真の多血症は図右のように本当にヘマトクリットが増えた状態です。実際に赤血球が増えています。原因を2つにわけて考えます。

1.造血機能以外に原因があって多血になっている場合

➀低酸素が原因になっている場合

スポーツ選手が高地トレーニングをすると、身体は酸素を運ぶヘモグロビンが増えるように順応します。同じように心臓や肺に病気がある場合など身体の中で低酸素の状態がおきるとヘモグロビンが増えてしまいます。

また、タバコを吸う方はタバコの燃焼によって生じた一酸化炭素がヘモグロビンと強固に結合してしまい、実際に働けるヘモグロビンが減少し低酸素を起こす場合があります。

最近よく目にするのは睡眠時無呼吸症候群による多血の患者さんです。夜に呼吸が止まり低酸素の状態となることで多血症になってしまいます。

 

➁エリスロポエチンを過剰につくってしまう場合

赤血球を作ることを促す物質(サイトカイン)であるエリスロポエチンは腎臓で作られます。

腎臓に行く動脈で動脈硬化が起こることで腎臓が低酸素になるとエリスロポエチンが過剰に作られ多血になることがあります。

また、エリスロポエチンを作る腫瘍がある場合にも多血症になります。肝細胞がん、腎がん、血管芽腫、褐色細胞腫、子宮筋腫などが代表的な腫瘍です。

2.造血機能そのものがおかしくなっている場合(真性赤血球増加症などの骨髄増殖性腫瘍)

赤血球のもとになる造血幹細胞に、主にJAK2V617F(95%以上)という異常が生じることで身体の制御を超えて赤血球が増えてしまう病気です。多血症と調べるとまずこの病気が出てくると思いますが、1年に10万人あたり2人程度と非常にまれな病気です。

これについては別の機会にご説明します。

https://mpn-japan.org/menu003pv

《多血症ではなにが問題でしょうか?》

多血症では過剰な赤血球の増加により血液がドロドロになることで脳梗塞、心筋梗塞などの合併症が起こる場合があります。また、真の多血症を起こす原因の中には心臓や肺の病気、睡眠時無呼吸症候群、がんなどが含まれます。これらは放置することで命に関わる場合もあります。

《まとめ》

多血症はヘモグロビン、ヘマトクリットが増加する状態です。脱水によって起こる「相対的多血症」と赤血球が本当に増えている「真の多血症」があります。真の多血症には何らかの原因があり多血となる場合、赤血球自体が腫瘍になる真性多血症があります。重要な病気が隠れている場合もあり放置せず血液内科に受診することをお勧めします。

花粉症

《花粉症とは》

花粉症は、アレルギー疾患の一つです。アレルギー疾患にはアトピー皮膚炎や喘息、アレルギー性結膜炎などがあり、これらにかかっている人や家族にそういう方がいらっしゃる方は他のアレルギー疾患も起こしやすいことが知られています。

花粉症の原因となる花粉には主にスギ(2~4月)やヒノキ(3~5月)、イネ(5~9月)、ブタクサ(8~9月)などが知られています。花粉が鼻や目に入ってくると、人体の粘膜にもともといるマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンという物質が放出されて、鼻や目の血管・神経を刺激して、くしゃみや鼻水・鼻づまり、眼やのどのかゆみが起こります。更には、皮ふのかゆみや副鼻腔を引き起こすこともあります。

原因の正確な評価には、皮膚反応試験、誘発試験が有用ですが、血液検査でも大まかに調べることができます。

 

《花粉症の治療にはどんなものがありますか?》

治療として、次のようなものがあります。治療は症状が出始める前、つまり花粉が飛び始める頃より前から始めるのがおすすめです。

1.お薬による治療 <症状をおさえたり、軽くしたりする>

・飲み薬:

①抗ヒスタミン薬:アレルギー治療の基本です。現在主に使われているものは第2世代という眠気や沈静作用の少ないタイプです。1日1回のタイプや2回のタイプがあり、効果の強さも色々なものがあります。

主な副作用として眠気(最も多い)・頭痛・吐き気・めまい・だるさなどがあります。車を運転する方や仕事で高所作業をする方には運転制限のない薬を選んで処方します。

➁ロイコトリエン拮抗薬:鼻づまりへの有効性が高いお薬です。喘息の治療にも使われます。

➂遊離抑制薬:ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどアレルギー反応に関与する物質が出ていくのを防ぐ薬です。妊娠中に使えない薬も含まれます。

④ステロイド薬:非常に症状が強い場合にはステロイド薬の短期内服を行う場合があります。

・点鼻薬:鼻にたらすタイプやスプレーするタイプのお薬で、鼻水の症状が強い方におすすめです。

・点眼薬:目のかゆみが強い方には、点眼薬の使用もおすすめします。

・貼り薬:最近発売された新しい治療法で、1日1回貼りかえるタイプのお薬です。他のお薬と共通の副作用以外に、このタイプでは貼ったところが赤くなったりかゆくなったりする副作用があります。

 

☆次の3つの治療は、アレルギー専門医への紹介が必要となりますが、ご希望の方は医師におっしゃってください。

2.アレルゲン免疫療法(特異的減感作(げんかんさ)療法) <花粉症の治癒をめざす>

症状を和らげるお薬による治療とは異なり、花粉症の原因物質(アレルゲン)を少しずつ体に入れて、アレルゲンに対する体を慣れさせていく治療法です。ただし、スギ花粉症とダニアレルギーにしか使えません。治療には数年かかりますが、治癒や症状がない期間を長くできる効果が期待できます。デメリットは、治療に通院の手間と時間が多くかかることや、花粉の時期以外も通院が必要なこと、喘息やじんま疹などの副作用が出る可能性があることです。このアレルゲン免疫療法には、次の2種類があります。

①皮下免疫療法

病院で皮下注射をします。初めは1週間ごとの通院で、徐々に2週間、1ヶ月と通院間隔がのびていきます。メリットは毎日のお薬がいらないこと、デメリットは最初は通院回数が多いこと・注射なので痛いことです。

②舌下免疫療法

舌の裏に液体や固形のお薬を置きます。通院回数が少ない(1か月に1-2回)、皮下免疫療法よりは喘息やじん麻疹などの副作用が出る頻度が低いというメリットはありますが、デメリットは自宅で毎日お薬を使わなければならないということです(12歳未満ではおこなえません)。

https://www.torii-alg.jp/

*いずれの場合も、ステロイドやβブロッカーというお薬を内服中、不安定な気管支喘息がある、抗癌剤治療中、妊娠中、自己免疫疾患のある方は、アレルゲン免疫療法をおこなえない場合があるので医師にご確認ください。また、花粉が飛んでいる時期に開始することは控えます。

3.手術

 重症の鼻症状のある花粉症の方で、鼻や副鼻腔の形に問題が場合には、手術が適応になることもあります。

 4.抗IgE抗体(ゾレア🄬)

花粉症で起きる最初の反応は花粉を敵として反応するIgE抗体が、マスト細胞の表面に結合することです。ゾレア🄬はIgE抗体とマスト細胞の結合を阻害する分子標的薬で花粉症の反応の根本を抑えることができます。(抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などはこの反応の下流を抑える薬です。)これまでは重症の気管支喘息や慢性じんま疹で使われていましたが、今シーズンより重症、最重症の花粉症でも使えるようになりました。

2~4週間に1回の治療で劇的な効果がある一方で薬価が1回で12~18万円程度(体重とIgE抗体量による)と非常に高価ですのでIgE抗体が高く、ほかの治療では無効の場合のみ投与されます。

https://secure.novartis.co.jp/kafun_kyousei/severe_pollinosis/

 

《日常生活で、症状を悪化させないために》

1.花粉が多く飛ぶ時の外出を控える。外出する時は、マスクやめがねを使う。

2.表面がなるべくつるつるした服を着る(毛羽だった服は花粉がつきやすい)

3.帰宅したら、服や髪についた花粉をはたいてから家に入る。

直ぐに、顔を洗い、ガラガラうがいをして鼻をかむ。皮ふはよく保湿する

4.花粉が飛ぶ時期は、窓や戸を閉めておく。

空気清浄機を使う(花粉除去機能つきのものも)。

5.花粉が多く飛ぶ時期は、外に洗濯物を干さない。

6.部屋の掃除をこまめにする。水拭きも有効。

肥満症

《肥満症とは》

体の脂肪が過剰に増えてしまった状態を「肥満」と言います。

BMI (body mass index:肥満指数) 25~35が「肥満」、35以上が「高度肥満」と定義されます。また、体脂肪率が男性で25 %以上、女性で30 %以上で、体脂肪率が高いとされ、これも目安になります。ご自身のBMIを、当てはめて計算してみましょう↓

BMI:体重 (  )kg ÷ 身長(   )m ÷ 身長(  )m=(  )

例)身長170㎝、体重85㎏なら…85÷1.7×1.7=BMI 約29.4 「肥満」

一方で「肥満症」は単に肥満なだけでなく、肥満に関連する健康障害が合併している、あるいは合併が予想される状態で医学的に減量を必要とする状態を言います。

《肥満に関連する健康障害とは》

1.耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)
2.脂質異常症
3.高血圧
4.高尿酸血症・痛風
5.冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症
6.脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作(TIA)
7.脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患/NAFLD)
8.月経異常,不妊
9.睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群
10.運動器疾患:変形性関節症(膝,股関節)・変形性脊椎症,手指の変形性関節症
11.肥満関連腎臓病

 

《肥満症でからだ中に障害が起きてしまう理由》

脂肪は単に脂肪として存在するだけではなく脂肪細胞からアディポカインと呼ばれる生理活性物質が分泌されます。この分泌は肥満の程度により制御されています。

善玉のアディポカイン=アディポネクチン :肥満で低下

悪玉のアディポカイン=TNF-α、MCP-1   :肥満で上昇

このアディポカインの分泌異常により脂肪組織の慢性炎症を起こし、全身にさまざまな障害を起こします。内臓脂肪は特にアディポカインの分泌に強く影響するため問題となります。

肥満症のこわいところは、今は体調に問題がなくても体の中でじわじわと病気が進み、高血圧や糖尿病、脂質異常症を経て、ある時突然脳卒中や心臓病を起こすところです。また、がんの原因にもなります。合併症を起こさないために、今から治療(対策)をしていくことが大切です。

 

《メタボリックシンドロームとの違い》

メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積に加えて高血糖,高血圧,脂質
異常を生じた状態です。

肥満症は肥満に健康障害が生じた状態です。内臓脂肪の蓄積は診断に必須ではありません。

どちらも内臓脂肪の蓄積が影響している病気であり重なり合う概念です。

《治療について》

肥満の90%以上は単純性肥満(食べ過ぎ、運動不足)で残りはホルモン異常(クッシング症候群、甲状腺機能低下症など)、薬剤による影響などが考えられます。ホルモン異常などがあればこれらの治療を行います。

単純性肥満の場合は食事・運動が基本です。まずは3%の体重減少を目標にしましょう。

 

1.食事

1日にご自身がとって良いカロリー(kcal)を計算してみましょう。

まず、ご自分の適正体重を当てはめて計算してみましょう↓

適正体重(kg) :身長(  )m × 身長(  )m× 22=(  )kg

例)身長が170㎝なら…1.7×1.7×22=約63㎏

→ 肥満症:1日あたり 25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

高度肥満:1日あたり 20~25 kcal/kg×適正体重 以下を目安に

栄養素の配分は糖質 50~60%, たんぱく質 15~20%,脂質20~25%が推奨されています。極端な糖質制限はあまり長期的な差はなく、あまりお勧めできません。たんぱく質が少ないと筋肉が減り、かえって代謝が落ちる場合があります。

具体的には

・ 野菜を多めに、食事の初めにとるようにしましょう。

・ 積極的に食べた方がいいもの(魚、食物繊維が多いもの)

魚、大豆、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、玄米、麦ごはん、雑穀 など

を多めにとりましょう。乳製品、果物、卵は適量を。

・ 塩分は1日6g未満(一度、自宅のはかりで6gをはかってみましょう)

減塩する為の工夫として、香辛料やハーブ、減塩味噌・醤油・ポン酢、

レモンなどを使ってみましょう(スーパーでも減塩調味料を売っています)

・ 動物性脂肪・コレステロールの摂取を減らす。

お肉の脂身、鶏肉の皮、バター、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ

菓子、レバー・臓物、たらこ・いくら等の魚卵 などを減らす

 

2.運動

体重が多い方は適正体重になるよう、速歩や歩行などの有酸素運動を週に5回程度行いましょう。

また、肥満指数(BMI)によって体重を減らすペースが異なります。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

3.飲酒量は減らして、たばこは禁煙しましょう。

これらの治療を6カ月以上行っても改善が見られない高度肥満症では胃を小さくする手術なども検討されます。

《最後に》

生活習慣病は、数ヶ月で検査値をよくしておしまい…ではなく、合併症を起こさないためにも年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。

タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

* 心臓病や糖尿病、腎臓病がある方は食事や運動に制限があることもあるので、

医師にご確認ください。

貧血

《貧血とは》

貧血とは、「赤血球中のヘモグロビン値が低下すること」です。体のすみずみまで酸素を運ぶトラックのような役割をするヘモグロビンが減少することで疲れやすい、動いた時に息切れがするなどの症状が出ます。重症になると心臓や腎臓に負担がかかりそれぞれの機能を落とすこともあります。

 

お子さんの場合はスポーツや学校の成績の低下、などといった形で症状が出る場合もあります。

よく言う「立ちくらみ」「ふらつき」は貧血の症状ではありません。血管迷走神経反射や起立性調節障害と言われる症状であり貧血とは異なるものです。

貧血の原因には色々なものがありますが、大きく分けると4つです。

<材料不足>

鉄、ビタミンB12、葉酸、銅などヘモグロビンを作るのに必要な材料が不足する。

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<材料をうまく使えない>

慢性の炎症や腫瘍(がん)、腎臓が悪い場合など材料があってもうまく利用できなくなります。

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<工場(骨髄)の問題>

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血液のがん(白血病、多発性骨髄腫など)、血をうまく作れない病気(骨髄線維症、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血など)、がんの骨髄への転移などにより血液がうまく作れなくなる場合。

これらの病気ではたいてい正常な白血球や血小板も低下します。

<作ったあとに壊されてしまう>

肝硬変、溶血性貧血など正常に血液が作られても壊されてしまう。

 

《診断について》

問診などで貧血が疑われる場合は、採血しヘモグロビンの低下を確認します。そのうえで、貧血の原因を調べます。

血液の工場(骨髄)に問題がある場合に限り骨髄検査を実施します。

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《治療について》

診断に応じて治療の内容が異なります。

ただ「貧血だから」と鉄剤を内服するだけでは重大な病気を見逃す可能性があり、原因をしっかり調べることが重要です。

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高尿酸血症

《高尿酸血症とは》

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0 mg/dlを超える状態のことです。

原因として最も多いタイプは、体質に過食や肥満・飲酒などが重なって起こります。この他に、特殊な遺伝病や他の病気(甲状腺機能低下症、慢性腎臓病、多血症など)に伴って起こるタイプ、他の病気の治療で使っているお薬によって起こるタイプもあります。

 

《尿酸値が高いと 何が問題なのですか?》

健康診断で「尿酸値が高いので生活習慣を見直しましょう。病院を受診しましょう。」と言われたけれど、症状がないのでぴんと来ない方もいらっしゃるかもしれません。

高尿酸血症は数字が高いことそのものが問題なのではなく、血液の中に溜まった尿酸が結晶(かたまり)になって体のあちらこちらにくっついて、様々な病気を引き起こすことが問題です。

痛風:主に手足の関節に尿酸の結晶がくっついて、急に関節が腫れあがります。「風が吹いても痛い」という名前のとおりの激痛です。尿酸値を下げないと、症状がいったん良くなっても度々くり返します。

尿路結石:尿路に結晶がたまると尿路結石となります。その激痛は大人の男性がのたうち回るほどです。

痛風結節:皮下にたまるとぼこぼことした膨らみができてしまいます。

痛風腎:尿酸の結晶が腎臓に沈着して腎臓が悪くなります。

この他に、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、狭心症や心筋梗塞などとも、深い関係があります。例えば、最近増えている慢性腎臓病ですが、高尿酸血症は慢性腎臓病の原因になり得ますし、更に腎臓が悪くなることで尿酸を外に出せなくなり、高尿酸血症が悪くなるという悪循環が起こります。

この様に、尿酸値が高いと全身に影響が出ることがあるので、症状がなくても医師と一緒に治療に取り組んでいきましょう。

《尿酸値が上がる原因は?》

体の中の尿酸は食品からの取り込み(プリン体など)が6分の1、体内で作られたエネルギーやDNAのかすが6分の5です。それらが主に尿中に排泄されます。このバランスが崩れると体内に尿酸が増えていきます。

《治療について》

高酸血症の治療は、まずは生活習慣の改善、次にお薬による治療です。

尿酸値がとても高く既に症状が出ている方は、お薬を始めます。尿酸値が少し高い位で無症状という方は、生活習慣の改善をして、それでもよくならなければお薬を始めることもあります。普段の生活で気をつけることを並べます。

1.食事

・ プリン体を多く含む食べ物の摂取を減らす

例:ビール(特に地ビール)、紹興酒、レバー、白子、エビ、イワシ、カツオ

・ 果糖を多く含む食べ物の摂取を減らす。

果糖は、ジュース・コーラなどの清涼飲料水、お菓子に含まれており、成分表示に「果糖ブドウ糖液糖」「フルクトース」と書かれています。

* 果糖は、くだものよりも清涼飲料水やお菓子に多く含まれているので、くだものは食べすぎなければ問題ありません。

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・ アルカリ性食品を多く食べる。

尿がアルカリ化することで尿酸を排泄しやすくする効果があります。

例:ひじき、わかめ、干しシイタケ、ダイズ、ほうれんそう、人参、大根、サツマイモ、ジャガイモなど。

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・ 水分をよく飲む(特に夏は脱水にならないように)

水をよく飲んで尿を出すことで、尿酸の排泄につながり、尿路結石の予防にもなります。

・ 高血圧や脂質異常症の合併も多いので、食べすぎや塩分・油もののとり過ぎにも注意しましょう。

 

2.運動

体重が多い方は適正体重になるようにしましょう。速歩やマラソン、水泳、サイクリングのような有酸素運動も取り入れましょう。

短距離走や筋トレの様な無酸素運動は一時的な高尿酸血症を起こして痛風発作を引き起こすことがあると言われています。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

 

3.処方されたお薬は、毎日決まった時刻に飲みましょう。

お薬には、尿酸の排泄を促すものと尿酸の生成をおさえるものがあります。病状に応じて薬を選択します。

・尿酸の排泄を促す薬 ベンズブロマロン、プロベネシド

排泄を促すため、尿のアルカリ化が必須です。尿が酸性の状態で排泄が増えると尿路結石の危険が増します。このためウラリット🄬という尿をアルカリ化する薬を併用します。

・尿酸の産生を抑える薬 アロプリノール、フェブリク🄬、ウリアデック🄬

また、既に痛風になっている方は、痛風発作が来そうな時に飲むお薬や、痛みが出ている最中に飲むお薬もありますので、飲み方を医師によく聞いてください。

最後に:高尿酸血症は、数ヶ月で治しておしまい…ではなく、合併症を起こさないためにも10年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。お薬をうっかり飲み忘れてしまうときもあるでしょう。タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

 

糖尿病

《2型糖尿病とは》

私たちの体では、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンにより血液中の糖分がからだに取り込まれる仕組みになっています。ところが、2型糖尿病の方では、インスリン分泌が悪くなったりインスリンは出ていても働きにくくなったりすることで、慢性的に高血糖になってしまいます。

原因として、遺伝(体質)、過食や運動不足、肥満、ストレス、加齢などがあります。

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《血糖値が高いと 何が問題なのですか?》

血糖値が異常に高くなると、のどが乾く、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすいなどの症状が出ます。

 

しかし、初期のうちは無症状のことが多く、医師から「生活を見直しましょう。お薬を飲みましょう。」と言われても、調子が悪いわけではないのでぴんとこない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、糖尿病を治療しないで放置すると、恐ろしい合併症が起こります。

1.糖尿病の3大合併症

①網膜症…徐々に進行すると見えにくくなり、最悪失明に至ります。糖尿病の患者さんの20%くらいの患者さんに失明の危機があります。

②腎障害…尿にたんぱくが出たりむくんだり、貧血や高血圧になったりします。血液透析になる患者さんの一番多い原因は、糖尿病です。

③神経障害…手足のしびれ、感覚の低下

2.心筋梗塞、脳梗塞、足の血管がもろくなることによる足の潰瘍、感染症にかかりやすくなる、脂質異常症、高血圧、がん(特に大腸がん)など

これ以外にも多くの合併症が知られています。

 

この様に全身に影響が出てから糖尿病の治療を始めても、悪くなってしまった眼や腎臓、神経などの病気が改善することはほとんどありません。こうした糖尿病による怖い合併症を防ぐためにも、症状がなくても医師と一緒に治療に取り組んでいきましょう。

 

《検査値について》

糖尿病の状態を定期的に確認するために、採血や検尿を行います。

血糖値:その時の血液中の糖分を測定します。正常は126未満です。

HbA1c:過去1~2ヶ月の血糖値の平均を表します。体温と同じ、と覚えましょう。つまり、6.5%(6度5分)であれば正常、7%(7度)は微熱、8%(8度)は高熱、9%(9度)以上となったら重症です。もし、あなたが8度のお熱が出たら病院に行きますよね?

1.5AG:一日の中の血糖値の変動が多ければ低下する数値です。平均の数値が落ち着いていても食後に高血糖になっている場合は合併症が進行しやすい、と言われており安定している患者さんの血糖変動を見るのに有効です。

尿:たんぱく尿が常に出ているようになったら腎臓への障害が進行した状態です。アルブミン尿を見ることで早期の腎症を見つけていきます。

《治療について》

まず食事・運動による血糖値の改善が最初の治療になります。それでも改善しない場合に、お薬による治療になります。原因が他の病気にある場合は、そちらの治療も行います。血糖値やHbA1cをどこまで下げればよいかは、患者さんの状態によって異なりますので、医師にご確認ください。

 

1.体重管理

肥満の状態では血糖をからだに吸収させるインスリンの作用が鈍ります。これはぎゅうぎゅう詰めの押し入れに荷物を入れるのが難しいのと同じです。体重を落とし、適度な運動をすることで押し入れに余裕を持たせてあげましょう。

まずは毎日の体重測定が重要です。ご自身の健康管理の第一歩として同じ時間に体重をはかるようにしましょう。

BMI 25以上「肥満」の方:3-6か月で、現在の体重から3 %以上の減量

BMI 35以上「高度肥満」の方:現在の体重から5-10 %の減量

を目指しましょう。

2.食事

1日にご自身がとって良いカロリー(kcal)を計算してみましょう。

  • 軽労働の方(デスクワーク、家事のみ):25~30 kcal×適正体重(kg)
  • 中間労働の方(立ち仕事、家事以外に家族の世話がある):30~35 kcal×適正体重(kg)
  • 重労働の方(力仕事が多い):35~ kcal×適正体重(kg)

食事内容については、食品交換表という表を使って1日の食事で何をどのくらい食べたらよいかを決めるのが最適です。

 

難しい場合は以下のことを参考に食事を工夫してみましょう。また、最近は外食でもカロリーを表示してあることが多いので、カロリーを見てから食べるものを決めましょう。

糖尿病の方は高血圧や脂質異常症も合併しやすいので、それらに対応した食事も示してあります。

・ 食事中の血糖値の急上昇を避けるために、野菜を先に食べましょう。

・ 甘いものは控えましょう。

甘いものだけでなく、塩っぽいお煎餅も食べ過ぎはカロリーや塩分のとり過ぎになります。果物も血糖値を上げやすいので、食べ過ぎに注意しましょう。

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おやつをどうしても食べたい時は、少量を食事の直後に食べましょう。間食として食事と食事の間に食べてしまうと、血糖値が1日の内で何度も急上昇してしまい、糖尿病が悪化しやすいです。

 

・ 積極的に食べた方がいいもの(魚、食物繊維が多いもの)

魚、大豆、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、玄米、麦ごはん、雑穀 などを多めにとりましょう。乳製品、果物、卵は適量を。

・ 動物性脂肪・コレステロールの摂取を減らす。

お肉の脂身、鶏肉の皮、バター、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ菓子、レバー・臓物、たらこ・いくら等の魚卵 などを減らす

・ 塩分は1日6g未満(一度、自宅のはかりで6gをはかってみましょう)

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減塩する為の工夫として、香辛料やハーブ、減塩味噌・醤油・ポン酢、レモンなどを使ってみましょう(スーパーでも減塩調味料を売っています)

 

3.運動

有酸素運動:速歩やマラソン、水泳、サイクリングのようなややきつい、と思う程度の運動が有効です。1日20分以上行うことがお勧めです。

筋力トレーニング:足や背中の筋肉を強くすることでインスリンの効果が高まります。

* 糖尿病以外に心臓病、腎臓病のある方や、眼の合併症がある方、糖尿病の状態が悪い方は、食事や運動に制限があることもあるので、医師にご確認ください。

3.飲酒量は減らして、たばこは禁煙しましょう。

4.処方されたお薬は、毎日決まった時刻に使いましょう。

5.定期的に眼科を受診しましょう。眼の合併症(網膜症)は気付かないうちに進行します。糖尿病の治療によって悪化する場合もあります。

6. 定期的に歯科を受診しましょう。糖尿病の方は歯周病になりやすいことが知られています。歯肉の炎症は糖尿病を悪化させ、歯を失うことで噛むことができなくなると血糖値が上がりやすくなります。

 

《お薬について》

糖尿病の治療のお薬には、飲み薬や注射があります。

飲み薬の中でも色々な効き方をするものがあるので、必ず指定された時に飲むようにしてください。例えば食「前」に飲むように指定されたお薬は、食事の直前に飲むことで効果が出るものなので、必ず食事の前に飲むようにしましょう。注射についても、必ず指定された量を決められた時間に打つようにしてください。

 

《注意すること》

糖尿病の方では、血糖値の管理がとても重要になります。

その際に、血糖値が極端に高すぎたり低すぎたりすると命に関わることもあるので、次のことを知っておいて下さい。

 

1.低血糖症状 について

お薬を使って治療をしている方は、具合が悪くてほとんど食べられないことが続いた時にお薬を使い続けると、低血糖を起こすことがあります。また、食べられていても仕事や運動をし過ぎて糖が消費されて、低血糖になることもあります。

低血糖になると、心臓がドキドキする、冷や汗が出る、気持ち悪い、手が震える、頭が痛い、眠い などの症状が出ます。普段と違うこれらの症状が出た場合には、飴を一粒なめたりジュースを飲んだりしてください。それでも症状が続く場合には、速やかに受診してください。

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万が一に備えて、外出の際は飴などを持ち歩くことをおすすめします。

もし、具合が悪くて長く食べられないようなことがあれば、お薬を使い続けるべきか医師にご相談ください。

2.異常な高血糖 について

糖尿病の治療経過が良い方はさほど心配する必要はありませんが、まれにひどい感染症やストレス、下痢、脱水、インスリン治療の中断・減量などが引き金となり、極端な高血糖になることがあります。

症状としては、口が乾く、脈が速くなる、血圧が低くなる、気持ち悪くなったりお腹が痛くなったりする、ぼーっとする などがあります。

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低血糖の症状と似ていますが、低血糖と違い冷や汗が出ません。

普段はさほど心配しなくて良いのですが、もし上に書いてあるきっかけと症状に当てはまることがあれば、速やかに受診してください。

3.お薬の飲み忘れ、打ち忘れ について

・飲み薬を飲み忘れたことに気付いたら…

食前のお薬は、気付いたのが食事中や食直後であれば、その時に飲んでください。食後のお薬は、気付いたのが食後1~2時間以内であればその時に飲み、それ以降であれば次の食事の時からまた飲んでください。次の食事の時に、忘れた分もまとめて飲まないように!

・インスリンを打ち忘れたことに気付いたら…

インスリンの種類や量によって対応が異なるので、忘れてしまった場合の対応を事前に医師に相談しておきましょう。

 

・インスリン以外の注射薬は、食事とは関係なくいつ打ってもよいです。

 

最後に

糖尿病は、合併症を起こさないためにも10年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めから生活習慣の改善をがんばり過ぎると疲れてしまうこともあるので、無理のない範囲で出来ることから始めていきましょう。例えば…運動は週に数日でもかまいません。ひかえた方がよいとされる食べ物も、全く食べてはいけないわけではないので、時々は食べてもかまいません。

お薬をうっかり飲み忘れてしまっても、そういう時もあるでしょう。タバコも自分だけでやめるのが難しければ、医師に相談してください。コツは、「多少細くても長く続けること」です。病院の次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

鉄欠乏性貧血

《鉄欠乏性貧血とは》

鉄欠乏性貧血とは、鉄分の不足によっておこる貧血で、貧血の中では一番多いものです。慢性に貧血が進むと高地トレーニングをしている運動選手のように、からだが貧血状態に慣れてしまい重症でも気づかないことがあります。

 

 

《鉄欠乏性貧血の原因は》

必要量と失う量のバランスが崩れたときに鉄欠乏性貧血になります。原因として以下のようなものがあります。

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➀出血

月経:他人と月経の量を比較することは少ないため自覚されていない方が多いです。一般的に下腹部に力を入れると血液の塊が出る夜用ナプキンを昼にも使うような方は月経過多と考えられます。

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婦人科系の病気;子宮筋腫や子宮内膜症などで出血が増加することがあります。絶対に見逃してはいけない疾患として子宮がんがあります。

慢性の消化器疾患:胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、痔など。胃がん大腸がんは絶対に見逃してはいけません。

当院では婦人科へのご紹介、便潜血検査などを実施し、出血の原因となる病気を見逃さないようにご案内しています。また、出血を起こしやすい病気があれば評価します。

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➁需要の増大

妊娠・授乳:胎児や乳児のために必要量が高まり、妊娠中期以降は普段の約2.4倍の鉄分の摂取が必要です。不足により容易に貧血になります。

成長期:筋肉の発達に伴い鉄の需要が増します。このため成長期には男女問わず鉄分を多く摂取する必要があります。特に激しい運動をするお子さんでは汗や尿中への鉄の喪失、筋肉トレーニングによる筋肉の著しい発達により普通のお子さんより貧血になりやすい傾向があります。スポーツや学校の成績にも直結します

(2015年日本人の食事摂取基準より)

➂摂取不足

欧米では多くの国で小麦粉への鉄の添加を行っており鉄欠乏性貧血の割合は激減しています。一方で日本人は2001年以降、平均8㎎以下まで減少し慢性的な鉄不足の状態です。過度なダイエット、インスタント食品の多食、偏食は鉄の摂取不足をさらに悪化させます。

 

④吸収の低下

胃の手術後や慢性胃炎、強力な胃薬の長期内服により胃酸が出ない状態が続くと鉄の吸収が減少します。

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《治療について》

鉄分の補充と出血源のコントロールが治療の中心となります。

鉄分の補充は貧血が回復後、貯蔵鉄(フェリチン)が回復するまで行います。鉄欠乏性貧血は鉄の借金をしている状態ですので貧血から回復し、貯金ができるまで治療を続けないと簡単に借金生活に戻ってしまいます。体調が良くなっても粘り強く治療を続けましょう。

 

➀鉄剤の内服

フェロミア🄬、フェロ・グラデュメット🄬、フェルム🄬などを内服します。内服により10~20%くらいの患者さんに吐き気、便秘、腹痛、下痢などの消化器症状が生じます。内服時間の変更、内服薬の変更(当院ではインクレミンシロップ🄬を処方することがあります)で対応可能なことがほとんどです。

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➁鉄剤の静脈注射

重症の貧血の場合、副作用が強く鉄剤を飲めない場合、胃などの病気のため吸収が非常に悪いときなどに行います。むやみに静脈注射を続けると鉄過剰症を起こし肝臓、腎臓、心臓、すい臓などの機能が落ちることがあるためです。静脈注射を行う際には専門医で行うことをお勧めします。

➂出血のコントロール

 

出血源の治療、止血剤の投与、女性の過多月経であれば低用量ピルの内服などにより出血量を減らすことも重要です。

《鉄の多い食べものとは》

鉄と言えば「レバー」と思い浮かぶかも知れませんが、毎日食べるのはなかなか難しいように思います。院長のお勧めはあさりです。日本の土には鉄分が少ないため野菜からの摂取は難しいようです。

(引用:鉄剤の適正使用による貧血治療指針「日本鉄バイオサイエンス学会」)

 

最後に:鉄欠乏性貧血は国民病と呼べるほど多くの患者さんがいるものの専門的な評価が行われず鉄剤だけ内服し続けている方が多いのが現状です。貧血を起こす原因も含めて治療をしていくことが肝心です。

 

睡眠時無呼吸症候群

《睡眠時無呼吸症候群とは》

肥満や加齢などにより気道が狭くなること、あるいは呼吸調整システムが不安定化することでいびきや呼吸停止が生じる病気です。10秒以上の呼吸停止が1時間あたり5回以上みられることで診断されます。

《症状》

多くの方は一緒に睡眠をとっている人から「いびき」「無呼吸」を指摘されます(90%程度)。

また、日中の過剰な眠気、熟睡できない、だるい、夜間頻尿、集中力の低下などさまざまな症状を起こします。

《睡眠時無呼吸症候群の何が問題なのですか?》

狭心症、心不全、脳卒中、心房細動、大動脈解離、突然死など命に関わる重大な合併症を起こしやすくなることが知られています。また、夜間や早朝の血圧があがるタイプの危険な高血圧や糖尿病になりやすいことも知られています。

また、日中の過剰な眠気は居眠り運転による重大事故や作業効率の低下にもつながる可能性があります。

《検査について》

携帯用の機械による簡易検査を行います。当院では下図のウォッチパット ユニファイド (フィリップス🄬) を貸し出し、検査を実施します。

指先のセンサーで体の中の酸素の状況と覚醒状態をモニターし、胸部につけるセンサーで体の動きを検査します。鼻のモニターなど煩わしい機械は不要でどなたでも簡単に検査を行えます。

この検査で軽症~中等症の睡眠時無呼吸症候群と判断された方や持病に心不全などがある方については入院で行う精密検査 (終夜睡眠ポリグラフィー) が必要ですので当院より紹介させていただきます。

《治療について》

睡眠時無呼吸症候群は、年単位でよい状態を保っていくことが大切です。初めからがんばり過ぎず、無理のない範囲で治療していきましょう。コツは、「多少細くても長く続けること」です。次の受診までにうまく出来ないことがあっても、嫌にならずにコツコツ通院を続け、出来ることをやっていきましょう。医師や看護師が相談にのりますので、あなたの今後の生活をよくしていくために、一緒に取り組んでいきましょう。

1.生活習慣の改善

体重が多い方は脂肪により喉が狭くなるため減量をおすすめします。

アルコールは喉の筋肉の緊張を緩め気道を狭くする原因になります。就寝前の飲酒は控えましょう。

30分~60分の有酸素運動を週に4回以上行いましょう。

喫煙は気道の炎症を起こし気道を狭くするため控えましょう。

2.持続気道陽圧(CPAP)

https://www.philips.co.jp/healthcare/consumer/sleep-and-respiratory-care/dreamfamily#dreamstation

鼻マスクを通して気道に圧をかけることで気道の閉塞を防ぐ機械です。出張などの際にも持ち運びが可能なほど小型で、治療の記録はインターネットを通してご自身とクリニックで共有することが可能です。治療により日中の眠気や生命予後の改善が期待できます。

3.口腔内装置

CPAP療法が続けられない、あるいは軽症でCPAPは導入できないが自覚症状のある患者さんでは下あごを固定する装置が使われます。専門的な歯科での作成が必要なため対象となる方は専門医をご紹介いたします。