偽性血小板減少症について

健康診断の時期になってまいりましたが、比較的よく見かける異常として偽性血小板減少症があります。実際には血小板が少なくないのに検査では血小板が少なくなってしまう病態です。今回は偽性血小板減少症について解説していきます。

【原因】
みなさんが健康診断やクリニックなどで採血をするときには採血管に血液を入れて検査機器で検査を行います。通常血液を体の外に出しておけば固まってしまうため採血管の中にはEDTAという抗凝固薬が入っています。(写真の白い粉)

EDTA採血管

しかし、このEDTAが入っていることで何らかの反応(今のところ原因不明とされています)が起こり血小板が固まってしまう人が0.1%程度いるといわれています。血小板が固まると機械でカウントされなくなってしまうため実際には血小板はあるのに血小板減少と判断されてしまいます。

【症状】
実際には血小板が正常にあるため出血傾向(青あざ、点状出血、鼻血など)はありません。

【対策】
採血直後(EDTA下で血小板が固まる前)に検査をする、別の抗凝固物質が入ったFC採血管(NaF + EDTA-2Na + クエン酸Na)で採血する。

【患者さんに対して】
偽性血小板減少症は健康な人にも見られる一種の「体質」ですが、検査した際に血小板が異常に少ないと抜歯、手術、出産など希望した処置を希望する病院で行っていただけないことがあります。このため当院では病名、対策などを紙に記載しお渡ししています。昨年度だけでも5人の患者さんに来院頂いており、病名がわかる名刺サイズのカードをお渡ししています。

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う診療体制について

(この記事は2022年1月13日に更新しました)
当院をご利用の患者様とご家族様各位

診療体制について
平素より当院の診療にご理解とご協力をいただきありがとうございます。かかりつけの患者様におかれましては待ち時間の増加、予約が取れないことなどでご迷惑をおかけし大変ご不便をおかけしております。
当院では新型コロナウイルスの流行初期よりすべての発熱あるいは咳などの患者さんに対して積極的に取り組んでまいりました。今後も当院では感染対策に留意ししっかりと診療に取り組んでまいります。
感染リスクを感じる方につきましては電話再診、オンライン診療を積極的にご活用ください。ご不便をおかけしますが何卒宜しくお願い致します。

COVID-19の検査について
当院では「発熱」「咳」「味覚障害」などの典型例でなくても総合的に判断し検査を実施しております。
ただし、検査の実施能力には限界があります。13分で結果が出るID-NOWについては多くの患者さんが来院している状況では実施できないこともあります。基礎疾患、ワクチン接種の有無、職業などからクラスターを作るリスクが高いか、他院に紹介する可能性が高い状況であるか、など総合的に判断し検査の適応を決めさせていただいております。現在は非常時であることをどうかご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
PCR検査(外部委託)については通常時は翌日朝に結果が出ていますが最近の検査件数の増加により翌日夕方、あるいは2日後となる場合もございます。ご了承ください。
無症状で接触歴が明らかでない方につきましては埼玉県PCR無料事業もぜひご活用ください。

内服治療について
ラゲブリオ🄬について当院では院内処方が可能となりました。現状では令和3年12月24日付 厚生労働省事務連絡に沿って18歳以上で妊娠の可能性のない方で重症化リスクを有する方のみの処方となります。それ以外の患者さんは残念ながら対症療法で経過をみることとなります。
オミクロン株ではロナプリーブ🄬(抗体カクテル療法)の適応はないため現状での使用は極めて限られます。

感染予防のお願い
新型コロナウイルス第5波では当院のような零細クリニックでも診療能力の限界を迎えました。多くの方がワクチン接種を終えリスクは少なくなったものの医療資源は有限です。感染爆発すれば再度同じようなリスクにさらされる可能性があります。これまで以上に感染予防に心掛けていただけますと幸いです。

乳がんの啓発について

(このブログは2021年8月27日に更新しました。)
今回は東京医科歯科大学のときから拝見している患者さんの活動についてご紹介します。

患者さんとの最初の出会いは患者さんが乳がんに罹患後、抗がん剤治療を受けていたころでした。治療中に出現した白血球減少が長引くため血液内科に紹介されました。原因は自己免疫が関与する血球減少でしたが、感染のリスクもあり血液内科で経過観察させていただきました。
お会いしたばかりのころは、病気に対する心配に加え、乳房を切除したことに大変落胆されていました。私は男性なので「乳房を切除すること」に対して想像をするしかありませんが、「授乳」という機能的な側面ではなくアイデンティティに関係する非常に重要な決断をされたことを強く印象づけられる患者さんでした。

通院が進むにつれて患者さんは乳房形成術を受けられ、化学療法も終わりご自身の髪の毛も取り戻されました。ウィッグなしで来院されたときのうれしそうな顔が印象的でした。

その後、患者さんはご自身のような経験をされた女性の方たちのためにピンクリボンアドバイザー(上級)の資格を取得されました。2021年7月現在108人のみの極めて難しい資格で、中高生への乳がんの啓発活動や社会を変える活動に積極的に取り組んでいらっしゃいます。

患者さんの活動が実り、多くの女性のみなさんが罹患される乳がんについて正しい知識を得て、適切な検診を受けられることをぜひお願いしたいと思います。
乳がんについて
乳がんは全国がん登録によると日本人女性の罹患数95,525人(2016年)、死亡者数は14,653人(2018年)です。部位別の罹患数は日本人女性の第1位で、9人に1人(10.6%)が生涯で乳がんに罹患すると推定されています。つまり、一般的な40人学級で女性20人のクラスでは2人以上が乳がんに罹患するということになります。
一方で死亡数は日本人女性の第5位であり適切な治療で根治する可能性がある疾患です。早期発見が極めて重要で厚生労働省は40歳以上の女性は、2年に1度のマンモグラフィによる検診を推奨しています。(参照:日本がん治療認定医機構テキスト)
乳がんエコー
最後に
当院では乳がんなどの化学療法の一般的な副作用に対する初期対応を行っています。最近は外来化学療法を行うケースが多く、口内炎、便秘、嘔気、下痢、発熱などでお困りの方も多いと思います。血液内科は抗がん剤治療の専門家であり、がん治療認定医の資格も生かしこれまで肺がん、乳がん、卵巣癌、GISTの治療後の副作用に対する初期対応を行っています。お困りの際にはご相談ください。

HPVワクチン(その2)

コロナ禍の1年の中で、HPVワクチンについても3つの大きなニュースがありました。前回のブログ以降のニュースをまとめました。

①定期接種の個別通知の再開
HPVワクチンは定期接種で小学校6年生~高校1年生の女性は公費負担で無料で接種することができますが、接種後に重篤な副反応が疑われた方がいたことから積極的勧奨(接種時期の案内や個別の推奨)を中止しています。しかし、2020年10月9日に厚生労働省はHPVワクチンの定期接種対象者に個別通知を出すよう求める事務連絡を都道府県に発出しました。これにより「積極的勧奨の中止」自体は継続していますが、接種対象者に連絡されるようになりました。

②男性へのHPVワクチン接種が可能に
HPVは子宮頚がん以外にも肛門がんや陰茎がん、中咽頭がんなどの原因になります。2020年12月に添付文書の改訂が行われ9歳以上の男性にも4価ワクチン(ガーダシル®)を接種できるようになりました。HPVを女性に感染させないためにも男性への接種は重要ですが、現時点では任意接種となっています。

③9価ワクチン発売
2021年2月に9価HPVワクチン(シルガード9🄬)が発売されました。ガーダシル🄬が対応している4つの型(HPV6、11、16、18)に加え、5つの型(HPV31、33、45、52、58)に対応できるため子宮頚がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーできるようになりました。ちなみに2価ワクチン(HPV16、18)のカバー率は65.4%です。

ここでシルガード9🄬について簡単に記載します。
①予防効果
国際共同試験において4価ワクチンに追加されたHPV31、33、45、52、58型に関連した腫瘍を96.7%予防。ガーダシル🄬でカバーされていたHPV6/11/16/18型の抗体価はガーダシル🄬群と比較して、劣りませんでした。
②安全性
接種後5日間の注射部位の副反応は90.7%、接種後15日間の全身性の副反応は29.6%でおおむねガーダシル🄬と差はありません。
日本人では、接種後5日間の注射部位の副反応は127例中104例(81.9%)、接種後15日間の全身性の副反応は127例中15例(11.8%)でした。
薬剤との関連性が否定されない死亡例は認められていません。
③安全対策
過去に重篤な副反応が疑われた経緯から全例登録が義務づけられています。具体的には接種医、被接種者がともにワクチンQダイアリーという全例登録システムに登録し、副反応を確認していきます。
④接種方法
初回、2か月後、6か月後の合計3回筋肉注射で投与します。
サーバリックス🄬、ガーダシル🄬との途中での変更はできません。
⑤接種費用
残念ながら現時点では任意接種であり自己負担となります。また、ワクチンが極めて高価です。当院では1回27,000円とさせていただきます。

以下のページも大変わかりやすいのでご参照ください。
知って欲しいHPVと子宮頚がん予防 最新学術情報
HPVワクチン 変わり始めた風向き… 9価の「シルガード9」申請から5年半越しの発売

リツキサン皮下注製剤について

リツキサンとは?
CD20に対するモノクローナル抗体製剤でB細胞リンパ腫および白血病の治療薬として1997年に登場しました。(日本では2001年に承認。)
画期的な治療成績とこれまでの抗がん剤と異なり病気の細胞のみを攻撃する性質からこれまでに全世界で400万人以上の患者さんに投与され予後を改善しています。

リツキサンの問題点
リツキサンでは注射後反応と呼ばれるアレルギー反応を起こす患者さんがいます。このため点滴で投与する際には解熱剤、抗アレルギー薬を投与のうえで非常にゆっくり投与し、徐々にスピードを上げていくことが必要です。このため点滴には合計3時間以上の時間がかかり、抗がん剤と併用すると患者さんは1日がかりで治療をする必要が出てきます。最近では外来化学療法室で治療を行うことも多く、治療を受ける患者さん、必要なベッドや看護師さんの確保などが課題となっています。

リツキサン皮下注射製剤とは?

リツキサンの皮下注射製剤は欧米ではすでに一般的に利用できています。
皮下注射製剤では静脈注射の12倍(120㎎/ml)の濃度で遺伝子組み換えヒアルロン酸(rHuPH20)と混合します。ヒアルロン酸との混合により皮下に投与しても拡散、吸収が促進され静脈注射のときと同じ血中濃度が達成されます。(rHuPH20は欧米では緩和医療の領域で広く使われ、リツキサンと混ぜても特に問題にはなりません。)また、この製品の面白い点としては通常の抗がん剤と違い体表面積によらず同じ量を投与する、という点です。これにより調剤の時間や設備なども不要となります。

治療成績
未治療ろ胞性リンパ腫に対するSABRINA試験(第3相試験)、未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するMabEase試験(第3相試験)、未治療慢性リンパ性白血病に対するSAWYER試験(第1b相試験)で治療成績に差がないことが示されています。

副作用
注射部位の腫れなどの副作用は3割くらいの患者さんにみられるものの静脈注射のリツキサンと同じ程度の副作用でした。また、同一用量による影響(体の大きい人は投与量が相対的に少なく、体の小さい人は投与量が相対的に多くなる問題)については特に問題なし、とされました。

患者さんの好み
治療の途中で皮下注射と静脈注射を入れ替え、アンケート調査をするPrefMab Studyでは患者さんの多くは皮下注射を好んでいることがわかりました。病院にいる時間が短くなること、より快適であること、などが主な理由です。

日本での状況
残念ながら開発は行われていないようです。理由は
●すでにジェネリック(バイオシミラー)が出ており、メーカーにメリットが少ないこと
●「ヒアルロン酸を皮下に投与する」ことから承認が必要(膝関節などには打っているのに!)
とのことのようです。

感想
リツキサンは抗体治療を世の中に広めた画期的な製剤です。悪性リンパ腫以外にも多くの疾患に利用されています。効率のよい医療資源の活用、患者さんの利便性の向上、COVID-19が流行している中で病院での滞在時間をできるだけ短くする、クリニックでも治療ができるようになる、など良いことづくめの皮下注製剤について検討いただけるとうれしいです。

モノクローナルBリンパ球増加症

血液は通常、からだで必要な分だけを作り、やがて寿命を迎えて壊されます。この仕組みは厳密に制御されていますが、「がん」になると制御が効かない異常血球が増加し、正常血球が減少したり、異常血球が正常組織に入り込んだり(浸潤)、発熱や体重減少などの全身症状をもたらします。

しかし、異常血球はあるけれど何の症状も起こしていない、いずれ治療が必要な「がん」に進行する可能性がある病気が存在します。その代表が異常な形質細胞が見られるMGUS(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)で、1年間に約100人が多発性骨髄腫に進展します。同じように慢性リンパ性白血病に進展する可能性がある異常なBリンパ球が見られる病態をモノクローナルBリンパ球増加症と言います。

【定義】
●モノクローナル(同じ性質を持って増加した)なBリンパ球が5000/μl未満で、その状態が3ヶ月以上続く。
●リンパ球が増えることによる所見(リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、正常な血球の減少、リンパ節以外への浸潤)がない。

【頻度】
男:女=1.5:1

欧米では
40歳未満 0.2~0.3%
40歳~60歳 3.5~6.7%
60歳~ 5~9%

とされています。しかし慢性リンパ性白血病は欧米では白血病の30%なのに対して日本では3%程度、年間10万人に0.3人とまれです。ここから推測すると、日本人の場合の頻度はそれぞれ10分の1程度と考えられます。

【どういう人で疑うか?】
健康診断などの採血で白血球、特にリンパ球が増加(だいたいは4000/μl以上)している場合。(数年間続いている場合はさらに怪しい。)
家族に慢性リンパ性白血病やリンパ球の腫瘍の人がいるとき。

【原因は?】
不明です。
遺伝のほかC型肝炎、肺炎との関連性が指摘されています。

【診断】
採血した血液でフローサイトメトリーという検査を行います。これは血液細胞ひとつひとつに抗体をつけてレーザー光を当てて性質を調べる検査です。通常、Tリンパ球ならCD2,CD3,CD5,CD7とCD4あるいはCD8が陽性、Bリンパ球ならCD10,CD19,CD20が陽性でκ:λが0.5~3倍程度の比率で見られます。もし、この原則に合わない細胞集団がいた場合は腫瘍と考えます。

モノクローナルBリンパ球増加症では以下の3つのタイプに分類されます。

①慢性リンパ性白血病タイプ
CD5,CD19,CD23陽性、CD20,表面免疫グロブリン陰性~弱陽性、κかλに偏りあり。
Tリンパ球で見られるCD5とBリンパ球で見られるCD19が同時に存在し、Bリンパ球に特徴的に見られるCD20が抜けていることが異常です。

②非典型的な慢性リンパ性白血病タイプ
CD5,CD19,CD20陽性、表面免疫グロブリン陽性、CD23±。
慢性リンパ性白血病の典型例で見られるCD23が陰性でも良いこと、CD20が落ちていないことが①と違います。

③慢性リンパ性白血病と異なるモノクローナルBリンパ球増加症
CD5は陰性~弱陽性、CD20陽性、表面免疫グロブリン陽性。
こうなると慢性リンパ性白血病に連なる病態と言うより低悪性度B細胞腫瘍と言っても良いかも知れません。

【異常血球量による分類】
●多い>2000/μl
●少ない<50μl
と分類します。中間はほとんどいません。

数が多い場合の方が少ない場合より感染症を起こす可能性と慢性リンパ性白血病に進展する可能性が高い、と報告されています。数が少ない場合には慢性リンパ性白血病への進展はほとんどありません。

【鑑別診断(どういう病気と区別するか?)】
●慢性リンパ性白血病
異常血球が5000/μl以上、リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れがある、正常な血球が減少しているときは慢性リンパ性白血病と診断されます。

●低悪性度B細胞リンパ腫
マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、原発性マクログロブリン血症は似た性質を示す場合があります。それぞれ、特徴的な性質があるため注意深く鑑別していきます。

【診断されたらどうすれば良いの?】
基本的には特に何かをする必要はありません。普通の生活を送ってください。異常血球数が多い人でも同じ年齢、性別の方と生存期間は変わりません。
残念ながら現時点で病気を根治する、あるいは進行を遅らせる方法はありません。仮に慢性リンパ性白血病と同じ治療を行えば異常血球を減らせるかも知れませんが、得られるメリットよりも副作用や合併症によるデメリットが圧倒的に多くなります。

ただし、以下の3点だけは気をつけましょう。

●感染症
健康な人と比べて入院するような感染症になる可能性が3倍になるため感染予防をしっかり行ってください。発熱などの際には早めに受診しましょう。

●進展
治療が必要な慢性リンパ性白血病に進展する可能性は年に1~2%あります。何も症状が無くても半年~1年に1回は定期的に受診してください。フローサイトメトリーやCT検査を定期的に行う必要はありません。

●がん
血球のがん、血液以外のがんに普通の方の2倍程度かかりやすい、と言われています。健康診断を積極的に受けて早期発見に努めましょう。

【まとめ】
モノクローナルBリンパ球増加症は日本人には稀な慢性リンパ性白血病の前段階と言える状態です。リンパ球が数年間多いときに疑い経過を見る必要があります。病気が進展することはまれですが、感染症やがんには注意が必要です。

参考
Blood.2015;126(4):454-462.Paolo Strati and Tait D.Shanafelt. Monoclonal B-cell lymphocytosis and early stage chronic lymphocytic leukemia:diagnosis, natural history, and risk stratification.

Up to date. Topic 118011 Version 6.0  Monoclonal B cell lymphocytosis.

バリフローを導入しました。

(このブログは2021年7月26日に更新しました。)
感染対策としてバリフローを導入しています。
この機械により院内に陰圧ブースを作ることが可能です。

これまでインフルエンザの診断では鼻から検体を採取して抗原検査をしていましたが、コロナウイルスの流行によりこの検査は通常の外来では実施できなくなりました。
また、コロナウイルスを疑い唾液や鼻からの検体採取をする場合もウイルスへの曝露を防ぐ必要があります。

当院ではこの陰圧ブースを利用して上記検査を安全に行っています。

青あざが出来やすい

ぶつけた覚えがないところに青あざを見つけること、ありますよね?そんなときの考え方について解説したいと思います。

【どのくらいいるの?】
健康な人の12~18%は青あざが出来やすい、と報告されています。この中で本当の病気はわずかです。

【青あざが出来る過程】
青あざは皮膚の下に血液がたまることで出来ます。ケガなどで血管が破綻して出血すると、血小板が働き血液を応急的に止めます。その次に凝固因子が働きしっかりと止血します。この過程のどこかがおかしいと青あざが出来やすくなります。

簡単な理解として
コンクリートが剥がれ水があふれだしている=出血
穴を土で塞ぐ=血小板
土を踏み固めて平らにする=凝固因子
頑丈にコンクリートで舗装する=凝固第XⅢ因子

という役割分担です。

【どういうときに病気を疑うの?】
●原因
強い外傷がないのに青あざが出来たとき。(皮膚が薄い人、肥満の人、女性では思い出せないくらいのわずかなケガで青あざが出来ることがあります)

●場所
肘より先・膝より下以外に出来た青あざや、5箇所以上に青あざが出来たときには異常を考えます。関節内の出血も異常です。

●あざの種類
点状出血や紫斑は普通の青あざより病気を考えます。

●経過
手術・歯科治療・出産のときに血が止まりにくかった、経血が3日以上減らない、ヒゲそりなどの傷で血が止まりにくい、鼻血や歯肉出血を繰り返す、家族に血が止まりにくい人がいるときには異常を疑います。

【原因別に考える】

  1. 血管や周辺の結合組織の異常:たんぱく質やビタミンCの摂取不足、アルコールの飲みすぎ。加齢。ステロイド薬の長期使用。生まれつき皮膚が伸びやすい病気(Ehlers-Danlos症候群、Marfan症候群など)など。
  2. 血小板の異常:血小板が減る病気、血小板の機能を落とす薬(アスピリンやクロピドグレルなど)を飲んでいるとき、生まれつき血小板機能が落ちる病気(May-Hegglin異常、Bernard-Soulier症候群など)など。
  3. 凝固因子の異常:ビタミンKの欠乏、肝障害、血友病、抗凝固薬(ワーファリン、リクシアナなど)を飲んでいるとき、など。

【検査】
血算(血液の数を調べる)、凝固検査(PT,aPTT)を調べます。必要に応じて血小板機能を調べます。以前行われていた出血時間については不確定要素が多く推奨されません。

【まとめ】
青あざは皮下に出血したときにできるもので悩んでいる方は12~18%と、意外にいます。女性は皮膚が弱く、手足が見える服装も多いことから青あざに気づいて受診される方も多い印象です。

一般的に気づかずにぶつけることが多い肘より先、膝より下の青あざはあまり心配はいりません。繰り返す出血、家族に出血しやすい病気の人がいる、もともとの病気がある(内服薬がある)人、検査に異常がある人は原因を調べることが必要です。

判断がつかない場合、不安が強い場合は血液内科にご相談ください。

起立性調節障害について

立ち上がったときのめまい、ふらつき、失神など「貧血」と表現される症状は医学的には起立性調節障害と呼ばれます。今回は起立性調節障害について解説したいと思います。

【症状】
急に姿勢を変えたときなどに起こる、「力が入りにくい、感覚が鈍くなる、めまい、もうろうとする、目の前が暗くなる、首の後ろが痛くなる」などの症状。

【起立性調節障害はどのくらいの患者さんがいるの?】
日本小児心身医学会によると小学生の約5%、中学生の約10%のお子さんが起立性調節障害です。
成人の5~20%で高齢になるほど多くなります。

【どういう病気なの?】
普通の人は立ち上がると
➀交感神経という興奮させる神経が働き
➁副交感神経というからだをリラックスさせる神経が抑えられ
➂足や内臓の血管が細くなり、心臓に戻ってくる血流が増え
血圧が維持できます。
起立性調節障害の患者さんはこの仕組みがおかしくなり「脳貧血」という状態になってしまいます。

【こういう人が危険です】
・仰向けで血圧が高い。
・頸動脈が狭い(50%以上の狭窄)。
・薬を飲んでいる(高血圧、糖尿病、抗うつ薬、向精神薬など)。

・アルコールを飲んでいる。

・貧血や脱水がある。
 

・パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などの変性疾患がある。
・糖尿病、シェーグレン症候群、アミロイドーシスなど末梢神経に障害を起こす病気がある。
・高齢者(血圧の変化を感じにくいため)。

【似た病気】
体位性頻脈症候群(POTS)起立時に血圧は下がらないが、脈が早くなる病気です。若い女性に多く、症状は起立性調節障害と同じで目の前が暗くなったりします。原因不明で血液量の減少、静脈の機能低下、心機能の低下、交感神経の活性化などが推定されます。脱水などを避け、適度な運動をすることが有効です。

食後低血圧食後15分~90分で血圧が下がる病気です。食後に内蔵への血流が増加することが原因と考えられています。

反射性失神:何らかの刺激が原因で血管が拡がり、脈が遅くなることで脳貧血を起こします。刺激としては感情の変化、痛み(注射をしたあとなど)、恐れ、長時間の立位、暑い中にいるなどのほか、排尿、咳、排尿、排便、嚥下などが刺激となります。足をクロスさせるのが有効です。

【診断】
仰向けの状態から立ち上がり(2~5分後に)収縮期血圧20mmHg以上あるいは拡張期血圧10mmHg以上低下する。原因の解明のために診察や採血などを行います。

【治療】
治療の目標は症状を取ることで、血圧を正常にすることではありません。
①原因となる薬の中止
②生活指導 ゆっくり起きる、緊張を避ける、激しい咳をしない、暑い中を歩かない、いきんで排便しない、上体を少し起こして寝る、適度な運動をする、血糖値が上がりやすいものを食べない
③弾性ストッキングや腹帯を使う
④足をクロスして立つ、口をすぼめて息を吸う
⑤飲水(1.5リットル以上)と塩分摂取を増やす。

これらでも改善しなければ薬による治療を行います。交感神経を刺激するミドドリンやドロキシドパを用いますが、副作用の注意が必要で、長期に使った場合の効果などについて十分な報告がありません。

副作用のリスクが少ない漢方薬では苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯なども有効とされています。

【まとめ】
血圧は自律神経という神経が調節してくれています。しかし、病気のある人、薬を飲んでいる人、脱水やアルコールなどの条件によって調節がうまくいかなくなり脳にいく血流が落ちると「貧血」と言われるような症状を起こします。体位性頻脈症候群、食後低血圧、反射性失神なども大きくみると同じで自律神経の調節がうまくいかないために起きる病気です。いずれも原因の回避、身体処置(足をクロスするなど)、飲水が有効で、薬で治すような病気とは言えません。自粛期間開け~夏場にかけて明らかに増えている症状ですので注意して生活してみてください。

参照:
Up to date
Topic 5103 Ver23.0 Mechanisums, causes, and evaluation of orthostatic hypotension.
Topic 5105 Ver18.0 Treatment of orthostatic and postprandial hypotension.
Topic 5100 Ver12.0 Postural tachycardia syndrome
Topic 1050 Ver32.0 Reflex syncope in adults and adolescents : Clinical presentation and diagnostic evaluation.
Topic 111958 Ver11.0 Reflex syncope in adults and adolescents : Treatment
Topic 1032 Ver30.0 Syncope in adults : Managemet
起立性調節障害 日本小児心身医学会HP

新型コロナウイルス検査について(令和4年1月6日に更新しました)

※この記事は令和4年1月6日に更新しました。

【検査の方法】
①検査会社での検査の場合
唾液によるPCR検査を実施しています
当院では唾液によるPCR検査(Real time PCR)を実施しています。結果が出るまで1~2日程度のお時間を頂戴いたします。鼻腔による検査については医療従事者の感染のリスクが高いため小児や唾液が出ない高齢者以外には行わない方針です。
➁院内での検査の場合
アボット社のID NOWによる検査を行います。
通常のPCR検査と陽性95%、陰性97.9%と高い相関が取れている検査で独自の核酸増幅技術により約13分で結果が判明します。検体は鼻咽頭ぬぐい液を綿棒で採取します。

【検査の費用】
①有症状者
当院は保健所と契約を結んでいます。通常の診療と同様に、症状の推移や接触歴等の問診で得られた情報や診察所見、検査所見、併存疾患等の臨床的特徴を総合的に判断したうえで、必要と認められた患者さんについて検査を実施いたします。保険診療では全て保険と税負担になることから本当に必要な患者さんのみが対象となる点についてご理解ください。
➁無症状~症状からコロナウイルス感染症と疑わない方
残念ながら無症状の方は保険での検査の対象とはなりません。自費での検査となります。
検査会社、さいたま市にご協力いただき、より多くの希望者が検査できるように1月7日からID NOWによる検査は7,700円(税込)、検査会社での検査は14,850円(税込)といたします。
海外渡航を目的とされる方については外務省のホームページをよくご確認いただいたうえで当院にご相談ください。

【検査の限界について】
PCR検査は「新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者さんの中から陽性患者さんを早く見つけるための検査」です。偽陰性や検査の実施が早すぎて陰性となる場合もあります。つまり「新型コロナウイルスに感染していないことを証明する検査」ではありません。企業の皆様におかれましては陰性証明を求めて従業員に検査を受けるように指導されないようくれぐれもお願いいたします。また、検査結果が出る前に外出、出勤などすることがないようにお願いいたします。