令和3年度インフルエンザ予防接種について

本年度は新型コロナウイルス感染症への対応のため通常業務と並行してワクチン接種を行うことが困難です。また、ワクチンの供給量は昨年より減少する見込みとなっています。
そこで供給確保の見通しがつくまでは11月より第2、第4土曜日をワクチン接種日としてかかりつけの患者さんから予約を取り接種を行うことといたします。
接種日は11月13日、11月27日、12月11日、12月25日で、価格は1回目4000円、2回目3000円です。65歳以上の高齢者については価格未定です。

製剤確保の状況、高齢者の価格など情報が入り次第適宜更新いたします。

偽性血小板減少症について

健康診断の時期になってまいりましたが、比較的よく見かける異常として偽性血小板減少症があります。実際には血小板が少なくないのに検査では血小板が少なくなってしまう病態です。今回は偽性血小板減少症について解説していきます。

【原因】
みなさんが健康診断やクリニックなどで採血をするときには採血管に血液を入れて検査機器で検査を行います。通常血液を体の外に出しておけば固まってしまうため採血管の中にはEDTAという抗凝固薬が入っています。(写真の白い粉)

EDTA採血管

しかし、このEDTAが入っていることで何らかの反応(今のところ原因不明とされています)が起こり血小板が固まってしまう人が0.1%程度いるといわれています。血小板が固まると機械でカウントされなくなってしまうため実際には血小板はあるのに血小板減少と判断されてしまいます。

【症状】
実際には血小板が正常にあるため出血傾向(青あざ、点状出血、鼻血など)はありません。

【対策】
採血直後(EDTA下で血小板が固まる前)に検査をする、別の抗凝固物質が入ったFC採血管(NaF + EDTA-2Na + クエン酸Na)で採血する。

【患者さんに対して】
偽性血小板減少症は健康な人にも見られる一種の「体質」ですが、検査した際に血小板が異常に少ないと抜歯、手術、出産など希望した処置を希望する病院で行っていただけないことがあります。このため当院では病名、対策などを紙に記載しお渡ししています。昨年度だけでも5人の患者さんに来院頂いており、今後は病名がわかる名刺サイズのカードをお渡ししていきます。

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う診療体制について

当院をご利用の患者様とご家族様各位

診療体制について
平素より当院の診療にご理解とご協力をいただきありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症の流行によりここ数日当院の診療能力を上回る患者さんが来院されております。
かかりつけの患者様におかれましては待ち時間、待合室の移動などご迷惑をおかけし大変ご不便をおかけしております。
当院では新型コロナウイルスの流行初期よりすべての発熱あるいは咳などの患者さんに対して私が研修医の頃からご指導いただいている倉持仁先生(インターパーク倉持呼吸器内科)のご協力もいただき積極的に取り組んでまいりました。しかし、8月23日日に至ってはあまりに多くの患者さんがいらしたためやむなく14時30分に新患の受付を閉めさせていただくに至りました。地域のみなさんに大変申し訳なく思いますが、流行当初より一緒にがんばってくれたスタッフに「何時まででもがんばれ」とは私の口からは言えませんでした。(夏季休暇を通常どおりいただいたのも同様の理由です。)

今後も当院では感染対策に留意ししっかりと診療に取り組んでまいります。また、これまで当院を支えてくださったかかりつけの患者さんにおかれましては優先的に診療をさせていただきます。感染リスクを感じる方につきましては電話再診、オンライン診療を積極的にご活用ください。ご不便をおかけしますが何卒宜しくお願い致します。

COVID-19の検査について
現在のデルタ株の流行においては「数日間の倦怠感」「喘息のような咳」「ワクチン接種後の発熱」の方でも陽性となる方がいらっしゃいました。当院では「発熱」「咳」「味覚障害」などの典型例でなくても総合的に判断し検査を実施しております。
ただし、検査の実施能力には限界があります。13分で結果が出るID-NOWについては多くの患者さんが来院している状況では実施できないこともあります。基礎疾患、ワクチン接種の有無、職業などからクラスターを作るリスクが高いか、他院に紹介する可能性が高い状況であるか、など総合的に判断し検査の適応を決めさせていただいております。現在は非常時であることをどうかご理解いただきますようよろしくお願いいたします。

感染予防のお願い
今回の新型コロナウイルスの流行によって当院のような零細クリニックでも診療能力の限界を迎えています。保健所の体制も限界を迎え、診断された患者さんへの連絡も2日後、3日後となっています。
死亡率が低いから大丈夫、というような議論がありますが、果たしてそうでしょうか?私は本疾患の特徴は「粘り強く治療をすれば治癒することがある」ことだと考えています。これまでの重症肺炎であれば人工呼吸管理になった段階で助かる確率は5:5、あるいは3:7ぐらい、1週間治療しても改善がなければ数日でお亡くなりになる、と考えるのが臨床医としての通常の見たてだと思います。さらにECMOまで導入したらたいていはお亡くなりになる、と考えるのではないでしょうか?大変残念なことですが、短期で態勢が決することで次の患者さんが治療を受けられていた、というのも事実です。それが本疾患の場合、20 日を超えるECMO治療を行っても改善する方がいるのです。人工呼吸器やECMOなどといった医療機器はそれによって救命できている場合、いったんつけたものを取り外せば殺人罪となります。したがって、助かるかもしれない患者さんへの治療は期限を区切らず続けなくてはいけません。その一方で医療資源は有限であり、人工呼吸器がなくなったら、次の患者さんは救命できないことになります。現在までは医療施設の頑張りで死亡率は抑えられていますが、医療資源が枯渇した段階で一気に死亡率が跳ね上がる可能性があるのではないか、と大変恐ろしく思ってみております。抗体療法を外来でも許可する、というような記事もありますが、実際に当院まで薬が届く可能性はほぼないでしょうし、そんな点滴をやる時間もスペースもスタッフも確保できないためその恩恵を受ける人は限られるでしょう。
このように医療は限界の状態です。個人的には税金と保険料を支払い、対価となるサービスを受けられない現状は民間であれば詐欺行為と思います。しかし、そんなことを言っても始まらないのでぜひこれまで以上に感染予防に気を付けていただくようよろしくお願いいたします。先述のように典型的な症状(熱、咳)がなくても新型コロナウイルスに感染している可能性があります。近所のスーパーマーケット、学童保育、保育園でも多数の感染者が発生しており「自身が感染していない」と絶対の自信をもって言える方はいないはずです。「他人にうつされるかもしれない」という考えは捨て「自分も他人に感染させるかもしれない」という考えで感染予防に心掛けていただけますと幸いです。

乳がんの啓発について

(このブログは2021年8月27日に更新しました。)
今回は東京医科歯科大学のときから拝見している患者さんの活動についてご紹介します。

患者さんとの最初の出会いは患者さんが乳がんに罹患後、抗がん剤治療を受けていたころでした。治療中に出現した白血球減少が長引くため血液内科に紹介されました。原因は自己免疫が関与する血球減少でしたが、感染のリスクもあり血液内科で経過観察させていただきました。
お会いしたばかりのころは、病気に対する心配に加え、乳房を切除したことに大変落胆されていました。私は男性なので「乳房を切除すること」に対して想像をするしかありませんが、「授乳」という機能的な側面ではなくアイデンティティに関係する非常に重要な決断をされたことを強く印象づけられる患者さんでした。

通院が進むにつれて患者さんは乳房形成術を受けられ、化学療法も終わりご自身の髪の毛も取り戻されました。ウィッグなしで来院されたときのうれしそうな顔が印象的でした。

その後、患者さんはご自身のような経験をされた女性の方たちのためにピンクリボンアドバイザー(上級)の資格を取得されました。2021年7月現在108人のみの極めて難しい資格で、中高生への乳がんの啓発活動や社会を変える活動に積極的に取り組んでいらっしゃいます。

患者さんの活動が実り、多くの女性のみなさんが罹患される乳がんについて正しい知識を得て、適切な検診を受けられることをぜひお願いしたいと思います。
乳がんについて
乳がんは全国がん登録によると日本人女性の罹患数95,525人(2016年)、死亡者数は14,653人(2018年)です。部位別の罹患数は日本人女性の第1位で、9人に1人(10.6%)が生涯で乳がんに罹患すると推定されています。つまり、一般的な40人学級で女性20人のクラスでは2人以上が乳がんに罹患するということになります。
一方で死亡数は日本人女性の第5位であり適切な治療で根治する可能性がある疾患です。早期発見が極めて重要で厚生労働省は40歳以上の女性は、2年に1度のマンモグラフィによる検診を推奨しています。(参照:日本がん治療認定医機構テキスト)
乳がんエコー
最後に
当院では乳がんなどの化学療法の一般的な副作用に対する初期対応を行っています。最近は外来化学療法を行うケースが多く、口内炎、便秘、嘔気、下痢、発熱などでお困りの方も多いと思います。血液内科は抗がん剤治療の専門家であり、がん治療認定医の資格も生かしこれまで肺がん、乳がん、卵巣癌、GISTの治療後の副作用に対する初期対応を行っています。お困りの際にはご相談ください。

HPVワクチン(その2)

コロナ禍の1年の中で、HPVワクチンについても3つの大きなニュースがありました。前回のブログ以降のニュースをまとめました。

①定期接種の個別通知の再開
HPVワクチンは定期接種で小学校6年生~高校1年生の女性は公費負担で無料で接種することができますが、接種後に重篤な副反応が疑われた方がいたことから積極的勧奨(接種時期の案内や個別の推奨)を中止しています。しかし、2020年10月9日に厚生労働省はHPVワクチンの定期接種対象者に個別通知を出すよう求める事務連絡を都道府県に発出しました。これにより「積極的勧奨の中止」自体は継続していますが、接種対象者に連絡されるようになりました。

②男性へのHPVワクチン接種が可能に
HPVは子宮頚がん以外にも肛門がんや陰茎がん、中咽頭がんなどの原因になります。2020年12月に添付文書の改訂が行われ9歳以上の男性にも4価ワクチン(ガーダシル®)を接種できるようになりました。HPVを女性に感染させないためにも男性への接種は重要ですが、現時点では任意接種となっています。

③9価ワクチン発売
2021年2月に9価HPVワクチン(シルガード9🄬)が発売されました。ガーダシル🄬が対応している4つの型(HPV6、11、16、18)に加え、5つの型(HPV31、33、45、52、58)に対応できるため子宮頚がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーできるようになりました。ちなみに2価ワクチン(HPV16、18)のカバー率は65.4%です。

ここでシルガード9🄬について簡単に記載します。
①予防効果
国際共同試験において4価ワクチンに追加されたHPV31、33、45、52、58型に関連した腫瘍を96.7%予防。ガーダシル🄬でカバーされていたHPV6/11/16/18型の抗体価はガーダシル🄬群と比較して、劣りませんでした。
②安全性
接種後5日間の注射部位の副反応は90.7%、接種後15日間の全身性の副反応は29.6%でおおむねガーダシル🄬と差はありません。
日本人では、接種後5日間の注射部位の副反応は127例中104例(81.9%)、接種後15日間の全身性の副反応は127例中15例(11.8%)でした。
薬剤との関連性が否定されない死亡例は認められていません。
③安全対策
過去に重篤な副反応が疑われた経緯から全例登録が義務づけられています。具体的には接種医、被接種者がともにワクチンQダイアリーという全例登録システムに登録し、副反応を確認していきます。
④接種方法
初回、2か月後、6か月後の合計3回筋肉注射で投与します。
サーバリックス🄬、ガーダシル🄬との途中での変更はできません。
⑤接種費用
残念ながら現時点では任意接種であり自己負担となります。また、ワクチンが極めて高価です。当院では1回27,000円とさせていただきます。

以下のページも大変わかりやすいのでご参照ください。
知って欲しいHPVと子宮頚がん予防 最新学術情報
HPVワクチン 変わり始めた風向き… 9価の「シルガード9」申請から5年半越しの発売

リツキサン皮下注製剤について

リツキサンとは?
CD20に対するモノクローナル抗体製剤でB細胞リンパ腫および白血病の治療薬として1997年に登場しました。(日本では2001年に承認。)
画期的な治療成績とこれまでの抗がん剤と異なり病気の細胞のみを攻撃する性質からこれまでに全世界で400万人以上の患者さんに投与され予後を改善しています。

リツキサンの問題点
リツキサンでは注射後反応と呼ばれるアレルギー反応を起こす患者さんがいます。このため点滴で投与する際には解熱剤、抗アレルギー薬を投与のうえで非常にゆっくり投与し、徐々にスピードを上げていくことが必要です。このため点滴には合計3時間以上の時間がかかり、抗がん剤と併用すると患者さんは1日がかりで治療をする必要が出てきます。最近では外来化学療法室で治療を行うことも多く、治療を受ける患者さん、必要なベッドや看護師さんの確保などが課題となっています。

リツキサン皮下注射製剤とは?

リツキサンの皮下注射製剤は欧米ではすでに一般的に利用できています。
皮下注射製剤では静脈注射の12倍(120㎎/ml)の濃度で遺伝子組み換えヒアルロン酸(rHuPH20)と混合します。ヒアルロン酸との混合により皮下に投与しても拡散、吸収が促進され静脈注射のときと同じ血中濃度が達成されます。(rHuPH20は欧米では緩和医療の領域で広く使われ、リツキサンと混ぜても特に問題にはなりません。)また、この製品の面白い点としては通常の抗がん剤と違い体表面積によらず同じ量を投与する、という点です。これにより調剤の時間や設備なども不要となります。

治療成績
未治療ろ胞性リンパ腫に対するSABRINA試験(第3相試験)、未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するMabEase試験(第3相試験)、未治療慢性リンパ性白血病に対するSAWYER試験(第1b相試験)で治療成績に差がないことが示されています。

副作用
注射部位の腫れなどの副作用は3割くらいの患者さんにみられるものの静脈注射のリツキサンと同じ程度の副作用でした。また、同一用量による影響(体の大きい人は投与量が相対的に少なく、体の小さい人は投与量が相対的に多くなる問題)については特に問題なし、とされました。

患者さんの好み
治療の途中で皮下注射と静脈注射を入れ替え、アンケート調査をするPrefMab Studyでは患者さんの多くは皮下注射を好んでいることがわかりました。病院にいる時間が短くなること、より快適であること、などが主な理由です。

日本での状況
残念ながら開発は行われていないようです。理由は
●すでにジェネリック(バイオシミラー)が出ており、メーカーにメリットが少ないこと
●「ヒアルロン酸を皮下に投与する」ことから承認が必要(膝関節などには打っているのに!)
とのことのようです。

感想
リツキサンは抗体治療を世の中に広めた画期的な製剤です。悪性リンパ腫以外にも多くの疾患に利用されています。効率のよい医療資源の活用、患者さんの利便性の向上、COVID-19が流行している中で病院での滞在時間をできるだけ短くする、クリニックでも治療ができるようになる、など良いことづくめの皮下注製剤について検討いただけるとうれしいです。

モノクローナルBリンパ球増加症

血液は通常、からだで必要な分だけを作り、やがて寿命を迎えて壊されます。この仕組みは厳密に制御されていますが、「がん」になると制御が効かない異常血球が増加し、正常血球が減少したり、異常血球が正常組織に入り込んだり(浸潤)、発熱や体重減少などの全身症状をもたらします。

しかし、異常血球はあるけれど何の症状も起こしていない、いずれ治療が必要な「がん」に進行する可能性がある病気が存在します。その代表が異常な形質細胞が見られるMGUS(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)で、1年間に約100人が多発性骨髄腫に進展します。同じように慢性リンパ性白血病に進展する可能性がある異常なBリンパ球が見られる病態をモノクローナルBリンパ球増加症と言います。

【定義】
●モノクローナル(同じ性質を持って増加した)なBリンパ球が5000/μl未満で、その状態が3ヶ月以上続く。
●リンパ球が増えることによる所見(リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、正常な血球の減少、リンパ節以外への浸潤)がない。

【頻度】
男:女=1.5:1

欧米では
40歳未満 0.2~0.3%
40歳~60歳 3.5~6.7%
60歳~ 5~9%

とされています。しかし慢性リンパ性白血病は欧米では白血病の30%なのに対して日本では3%程度、年間10万人に0.3人とまれです。ここから推測すると、日本人の場合の頻度はそれぞれ10分の1程度と考えられます。

【どういう人で疑うか?】
健康診断などの採血で白血球、特にリンパ球が増加(だいたいは4000/μl以上)している場合。(数年間続いている場合はさらに怪しい。)
家族に慢性リンパ性白血病やリンパ球の腫瘍の人がいるとき。

【原因は?】
不明です。
遺伝のほかC型肝炎、肺炎との関連性が指摘されています。

【診断】
採血した血液でフローサイトメトリーという検査を行います。これは血液細胞ひとつひとつに抗体をつけてレーザー光を当てて性質を調べる検査です。通常、Tリンパ球ならCD2,CD3,CD5,CD7とCD4あるいはCD8が陽性、Bリンパ球ならCD10,CD19,CD20が陽性でκ:λが0.5~3倍程度の比率で見られます。もし、この原則に合わない細胞集団がいた場合は腫瘍と考えます。

モノクローナルBリンパ球増加症では以下の3つのタイプに分類されます。

①慢性リンパ性白血病タイプ
CD5,CD19,CD23陽性、CD20,表面免疫グロブリン陰性~弱陽性、κかλに偏りあり。
Tリンパ球で見られるCD5とBリンパ球で見られるCD19が同時に存在し、Bリンパ球に特徴的に見られるCD20が抜けていることが異常です。

②非典型的な慢性リンパ性白血病タイプ
CD5,CD19,CD20陽性、表面免疫グロブリン陽性、CD23±。
慢性リンパ性白血病の典型例で見られるCD23が陰性でも良いこと、CD20が落ちていないことが①と違います。

③慢性リンパ性白血病と異なるモノクローナルBリンパ球増加症
CD5は陰性~弱陽性、CD20陽性、表面免疫グロブリン陽性。
こうなると慢性リンパ性白血病に連なる病態と言うより低悪性度B細胞腫瘍と言っても良いかも知れません。

【異常血球量による分類】
●多い>2000/μl
●少ない<50μl
と分類します。中間はほとんどいません。

数が多い場合の方が少ない場合より感染症を起こす可能性と慢性リンパ性白血病に進展する可能性が高い、と報告されています。数が少ない場合には慢性リンパ性白血病への進展はほとんどありません。

【鑑別診断(どういう病気と区別するか?)】
●慢性リンパ性白血病
異常血球が5000/μl以上、リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れがある、正常な血球が減少しているときは慢性リンパ性白血病と診断されます。

●低悪性度B細胞リンパ腫
マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、原発性マクログロブリン血症は似た性質を示す場合があります。それぞれ、特徴的な性質があるため注意深く鑑別していきます。

【診断されたらどうすれば良いの?】
基本的には特に何かをする必要はありません。普通の生活を送ってください。異常血球数が多い人でも同じ年齢、性別の方と生存期間は変わりません。
残念ながら現時点で病気を根治する、あるいは進行を遅らせる方法はありません。仮に慢性リンパ性白血病と同じ治療を行えば異常血球を減らせるかも知れませんが、得られるメリットよりも副作用や合併症によるデメリットが圧倒的に多くなります。

ただし、以下の3点だけは気をつけましょう。

●感染症
健康な人と比べて入院するような感染症になる可能性が3倍になるため感染予防をしっかり行ってください。発熱などの際には早めに受診しましょう。

●進展
治療が必要な慢性リンパ性白血病に進展する可能性は年に1~2%あります。何も症状が無くても半年~1年に1回は定期的に受診してください。フローサイトメトリーやCT検査を定期的に行う必要はありません。

●がん
血球のがん、血液以外のがんに普通の方の2倍程度かかりやすい、と言われています。健康診断を積極的に受けて早期発見に努めましょう。

【まとめ】
モノクローナルBリンパ球増加症は日本人には稀な慢性リンパ性白血病の前段階と言える状態です。リンパ球が数年間多いときに疑い経過を見る必要があります。病気が進展することはまれですが、感染症やがんには注意が必要です。

参考
Blood.2015;126(4):454-462.Paolo Strati and Tait D.Shanafelt. Monoclonal B-cell lymphocytosis and early stage chronic lymphocytic leukemia:diagnosis, natural history, and risk stratification.

Up to date. Topic 118011 Version 6.0  Monoclonal B cell lymphocytosis.

バリフローを導入しました。

(このブログは2021年7月26日に更新しました。)
感染対策としてバリフローを導入しています。
この機械により院内に陰圧ブースを作ることが可能です。

これまでインフルエンザの診断では鼻から検体を採取して抗原検査をしていましたが、コロナウイルスの流行によりこの検査は通常の外来では実施できなくなりました。
また、コロナウイルスを疑い唾液や鼻からの検体採取をする場合もウイルスへの曝露を防ぐ必要があります。

当院ではこの陰圧ブースを利用して上記検査を安全に行っています。

青あざが出来やすい

ぶつけた覚えがないところに青あざを見つけること、ありますよね?そんなときの考え方について解説したいと思います。

【どのくらいいるの?】
健康な人の12~18%は青あざが出来やすい、と報告されています。この中で本当の病気はわずかです。

【青あざが出来る過程】
青あざは皮膚の下に血液がたまることで出来ます。ケガなどで血管が破綻して出血すると、血小板が働き血液を応急的に止めます。その次に凝固因子が働きしっかりと止血します。この過程のどこかがおかしいと青あざが出来やすくなります。

簡単な理解として
コンクリートが剥がれ水があふれだしている=出血
穴を土で塞ぐ=血小板
土を踏み固めて平らにする=凝固因子
頑丈にコンクリートで舗装する=凝固第XⅢ因子

という役割分担です。

【どういうときに病気を疑うの?】
●原因
強い外傷がないのに青あざが出来たとき。(皮膚が薄い人、肥満の人、女性では思い出せないくらいのわずかなケガで青あざが出来ることがあります)

●場所
肘より先・膝より下以外に出来た青あざや、5箇所以上に青あざが出来たときには異常を考えます。関節内の出血も異常です。

●あざの種類
点状出血や紫斑は普通の青あざより病気を考えます。

●経過
手術・歯科治療・出産のときに血が止まりにくかった、経血が3日以上減らない、ヒゲそりなどの傷で血が止まりにくい、鼻血や歯肉出血を繰り返す、家族に血が止まりにくい人がいるときには異常を疑います。

【原因別に考える】

  1. 血管や周辺の結合組織の異常:たんぱく質やビタミンCの摂取不足、アルコールの飲みすぎ。加齢。ステロイド薬の長期使用。生まれつき皮膚が伸びやすい病気(Ehlers-Danlos症候群、Marfan症候群など)など。
  2. 血小板の異常:血小板が減る病気、血小板の機能を落とす薬(アスピリンやクロピドグレルなど)を飲んでいるとき、生まれつき血小板機能が落ちる病気(May-Hegglin異常、Bernard-Soulier症候群など)など。
  3. 凝固因子の異常:ビタミンKの欠乏、肝障害、血友病、抗凝固薬(ワーファリン、リクシアナなど)を飲んでいるとき、など。

【検査】
血算(血液の数を調べる)、凝固検査(PT,aPTT)を調べます。必要に応じて血小板機能を調べます。以前行われていた出血時間については不確定要素が多く推奨されません。

【まとめ】
青あざは皮下に出血したときにできるもので悩んでいる方は12~18%と、意外にいます。女性は皮膚が弱く、手足が見える服装も多いことから青あざに気づいて受診される方も多い印象です。

一般的に気づかずにぶつけることが多い肘より先、膝より下の青あざはあまり心配はいりません。繰り返す出血、家族に出血しやすい病気の人がいる、もともとの病気がある(内服薬がある)人、検査に異常がある人は原因を調べることが必要です。

判断がつかない場合、不安が強い場合は血液内科にご相談ください。